「悪のある所必ず現れ、悪の行われる所必ず行く。俺は『正義』の戦士キカイダー01!」
おなじみのイチローが登場する時、悪に言い放つ前口上です。
キカイダー01は「世界に悪のエネルギーが充満した時、それに反応して目を覚ます」と
本編冒頭で説明されていますが、これって結構疑問点が多いんですよね…。
まず、なぜダークが活動している間は復活しなかったのか。「キカイダーがいたから」では
説明できません。アカ地雷ガマにバラバラにされた時もありましたし。
そもそも、なぜ封印されなければならなかったのでしょうか?
よく01には「完全な良心回路」が付けられている、と言われますがこれもまた疑問です。
良心回路はゴールドウルフに付けられたのが試作品で、ジローのでさえも不完全…
時期的にそれより以前に造られた01が完全版を持っているのはやはり変です。
それでは彼の善悪の判断はどこから来ているのでしょう?
01がギルの笛の音の影響を受けないのは、彼とグレイサイキング以降のロボット達とでは
基本となるプログラムに違う規格のものが採用されているためであろうと思われます。
それでも彼は自分で物事の善悪を判断し、行動することができています。それは何故か?
実は彼には良心回路とは異なる、ある別の回路が組み込まれていたのです。
その回路を説明する前に、人造人間とは異なるあるロボットの説明をせねばなりません。
第二次大戦中、日本軍により開発が進められていた機械の兵士…その名を『超人機』。
このロボットは普段人間と変わらぬ外観をしていますが、いざ戦いとなれば戦闘形態へと
「瞬転」し、なおかつ自らの判断で自律行動する事も可能だったと言います。
これは人間が生まれてから日々の生活を営む中で価値観や倫理観を養うのと同じように
ロボットが学習した中から自分なりの判断基準を持てるようにする、という画期的な試みで
それを司どる回路が「自制回路」でした。
恐らく光明寺博士は自らもこの計画に参加していたか、その責任者であった古賀博士と
面識があったのではないでしょうか。超人機に使用されていた回路は学習するのに時間が
かかるため、、01には博士が改良を加えたものを使用しましたが、それでも判断基準の
作成完了までには3年ほど要します。万一の暴走を恐れた博士は学習が終了するまで
仁王象を模した情報収集・処理端末の中に01を隠し、外界の情報を学習させました。
01がハカイダーの死やダーク壊滅を知っていたのもこのためです。
その後博士はダークの悪を知り、それに対抗し得るロボットの開発を進めますが、01の
学習はまだ終了しておらず、急遽あらかじめおおよその判断基準がプログラムされている
回路を開発します。これこそが後の良心回路です。
そして学習を完了した01は自ら仁王像を破り、その雄姿を我々の前に現わします。
確固たる「正義」の信念を持って。
余談ですが01のカラーリングは件の超人機を参考にしたものと思われます。さすがに
赤と青の配色は逆にされていますが(後継機は青一色になる予定だったとか)
また、永く封印(実際はメンテや改修がなされていたでしょうが)されていた超人機自身も
01覚醒から15年ほど後に起動したとの情報もあります。
願わくば、彼らが共に力を合わせ悪に立ち向かう姿を見たいものです。 |