流星は再び流れる
壮絶なる最終決戦の果て、宿敵ゴッドネロスを倒す代償として重力制御装置を損傷したメタルダー。
このまま装置が暴走すれば地球をも巻き込む重力崩壊を引き起こしてしまう!
彼は人間形態・剣流星の姿へ二度と戻れなくなるのを覚悟の上で装置の完全破壊を友・北八荒に託す。
涙ながらに装置に剣を突き立てる八荒。そしてメタルダーは感謝の言葉を残し闇の中へ消えていった・・・
果たしてメタルダーはそのまま隠遁の道を選んだのか?答は否である。
八荒や舞をはじめとする人々との交流、一度は拳を交えながらも共に闘ってくれたトップガンダー、ベンKらとの友情、
そして誇り高き好敵手達との死闘は、永き眠りから目覚めた直後には「なぜこの世に生まれたのだ!?」と問うた
メタルダーをして「生まれてきて良かった」と言わしめたのだ。
そんな彼が自ら「生きること」に背を向けるとは思えない。では彼はその後どうしたのだろうか?
彼の生みの親である古賀博士は戦後アメリカに渡っている。そこで彼は一人のアメリカ人に出会う。
場所は国際宇宙開発研究所、専門分野は惑星開発。名をヘンリー博士と言った。
時に、メタルダーは元々第2次世界大戦中に旧日本軍が極秘裏に開発を進めていた「兵器」である。
兵器であるメタルダーに何故、人間形態をとらせる必要があるのか?スパイとするならば日本人に似せる事はないだろう。
思うに、『剣流星』という存在は、終戦後にメタルダーを隠した古賀博士が付加したものであろう。
旧友の光明寺博士が開発した人造人間に影響を受けたとも考えられる。古賀博士と光明時博士は互いに意見交換をしながら
それぞれの『息子』達を育てていたが、光明寺博士は謎の組織「ダーク」に狙われてしまう。
古賀博士が渡米したのも身の危険を感じての事であったのではないか?
大方の作業は終わっていたものの、人間として普通に生活するためには、まだ一つ大きな問題が残されていた。
力の加減などはコンピュータ制御でどうにでもなるが、それだけではどうにもならないもの、それは質量。早い話が体重である。
これをクリアするために必要なのが件の重力制御装置である(無論用途はそれだけでは無いのだが)。
光明寺博士は完成させていたようだったが、その話をする前にダークの騒動に巻き込まれ音信普通となってしまったため、
古賀博士はその分野を研究している他の人を探している内にヘンリー博士を知ったのだろう。
当時、ヘンリー博士もまた困難な問題に直面していた。
彼の提唱した惑星開発用改造人間計画第1号となるはずだった男性はしかし、改造手術の失敗により
醜い怪物のような姿に変貌してしまい、それを悲観して失踪してしまったのだ。
宇宙空間での活動を想定した各種装備(用途に応じた各種アタッチメントや重力制御装置)に問題は無く、
全てはサイボーグ手術の技術の未熟さが招いた不幸であった…。
失敗を受け、一度は廃棄されかけたこの計画に救いの手を差し伸べたのが古賀博士であった。
彼のロボット工学の知識、特にメタルダーに施した人間形態への「変身」を応用してはどうかと提案したのだ。
こうしてなんとか再開された惑星開発用改造人間計画は、勇気ある青年の志願もあって遂に実現の運びとなる。
実験は成功し、遂に悲願の惑星開発用改造人間・コードネーム『スーパー1』が誕生する事となった。
その頃、古賀博士は入手した重力制御装置のデータを持って一事帰国。メタルダーにこれを装備させるためである。
だが一方、ヘンリー博士を不幸が襲う。謎の組織・ドグマ王国により博士他研究所は壊滅してしまったのだ…。
唯一人難を逃れたスーパー1=沖一也はその後、惑星開発用ツール=ファイブハンドという科学の拳と
習得した赤心小林拳という魂の拳を持ってドグマ王国に敢然と戦いを挑み、見事これを壊滅せしめたという。
メタルダーが頼ったのは正にこのスーパー1だったのではないだろうか?
ドグマ王国、それに続いて現れたジンドグマを打ち倒した彼はその後、本来の宇宙開発に携わったが
絶えること無く現れる悪の組織と戦うべく、再び戦士として世界中を転戦し、所在を知るのは難しかった。
しかしメタルダーが姿を消した1年程のち、彼の仲間達と共に日本に帰国したとの情報がある。
接触があったとすればその時であろう。そしてメタルダー、いや剣流星は復活した…
思えば古賀博士がメタルダーの人間形態に、自分とは何の関連も無い剣『流星』という名を付けたのも、
ヘンリー博士らの宇宙にかける思いへの敬意が込められていたのではないだろうか?