ノンフィクション劇場
あずき家の人々 其の一
この前、本館二階でうんこしてたんですね。そしたら後ろから何か飲み物を
すする音が、聞こえてきたんですよ。ずずずって。「げっ、誰かトイレ(大)でお茶飲 ん でやがる。」
なんて思ったけど・・・さて、 いくら、壁一枚隔ててあるからといったって人がお茶すすってる前でくそたれるのは
ちょっと、気が引けますよね。どうします?そんなとき。
「階を変えて仕切り直しといくか。はたまた、そんなこと気にせず、やっちゃうか。 」
そうこう考えているうちにも、生理現象は待っちゃくれません。 「あああ、もう我慢ができない!」・・・・。
と、そのとき、後ろからまた違う音がしました。
「ぶりりりりっりりりいりりりりいりり。」
あんた、さっきお茶のんでただろおおおおおおおおおお!!!
「ずずずっ」 げっ、また飲んでやがる
「ぶりぶりっばりっぶりぶりぶりぶりぶり!」 げっ、またやりやがった 「ずずずっ、ぶりぶりずずぶりぶり」
なんだこいつは…うんこしながら本当にお茶を飲んでやがる…、 それも交互に。ものすごい奴かもしれないな、どこの奴だろうか。
「しゃかしゃかしゃか」 なんの音だろう 「しゃっしゃっしゃっ」 もしかして…
「3回まわしてと…」 うわっこいつはトイレの中で煎茶やってるんじゃないだろうな! 「ずずっ」 …
「結構なお手前で」 その瞬間私は気が遠くなり、目の前に子供の頃の自分の姿が見えた。
母の声がする
「太郎ちゃんは、虫が好きなのね、かぶとむしとか、くわがたとか、 将来は昆虫学者ね」
父と母が幸せそうに笑っている 「太郎、お父さんにもみせてごらん」
覗き込んだ私の手には生きたまま手足や頭をちぎられたかぶとむしとくわがたが まだ最期の痙攣を起こしながらうごめいていた。
幼い私は目を輝かせてそれを見ていた。 「太郎!太郎!」
すっと幼い頃の映像が目の裏に消えた。
げっ!! 足を便器に片方突っ込んでいる!
「ずずずっ」
何と、不覚にも私は自分の左足を便器の中に突っ込んでいたのだ!
「なんてこった!オリーブ!」
この、情けない事態に気が動転してしまったのか、さらにわたしはとんでもない行動に でてしまった・・・。
上げるべき足を間違えたのだ。
つまり、突っ込んでいた左足はそのままで、何事もない右足をあげてしまったのだ。
しかも、あろうことか、その右足は水を流すハンドルを踏んでいたのだああ!!!
ざああああああああああああ
「うわああああああああああああ」
自分のうんこといっしょに流された人間はこの世で恐らく自分が最初で最後だろう。
それから、どれくらい時間が経ったのだろう。
目が覚めるとそこは所長室だった。
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