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いっしょけんめいサン社員 〜マダムキラー風雲再起編〜



「重松」魔界店   魔界一うまい、早い、安いと言われ、また地上にも店を出しているこの串カツ屋にいつもの様に通い詰める大きな影があった。

 「グビッグビッグビッ・・・・・」注文したビールを一気に飲み干し、「だん」と叩きつけるようにグラスを置く。

「なぁ、サンシャインはん今日も一段と荒れていますなぁ。dmpがうまいこと運営されていないんでっか?」

と串カツ屋の親父が言う。そう、この大男はかつて正義超人を何度となく苦しめ、サンドモンスターとして恐れられたサンシャインその人であった。しかし、長きに渡る超人レスラー生活で片目はつぶれ、腕もまがり、歯もぼろぼろになって今では現役を退いている。そして株式会社デーモンメイキングプラント(dmp)の一社員として企業戦士サン社員となっていた・・・そこでの彼の役職は人事部悪魔超人担当。わかりやすく言うと、とっびきり凶悪な悪魔超人を見つけそれを教育することであった。

 「親父、どこかにとびっきり強くて凶悪な悪魔超人はいないものなのか?」

 「さあ、最近は魔界といえども平和ボケしていますから」と串カツ屋の親父が答える。

「ふぅ、やはりそう簡単にいるわけはないな・・・」

 大きくため息を付くとサン社員はコートの胸ポケットから一枚の色あせた写真を取り出した。何とそこには若かりし頃のサン社員を始め7人の悪魔超人や悪魔騎士が仲良く写っているではないか。おそらく合同トレーニングか何かの時の写真なのであろう、「悪魔にだって友情はあるんだーっ」と言う往年のサン社員の名ぜりふを彷彿とさせるさわやかな写真であった。

「昔はこれだけ大勢の仲間がいたというのに・・・」 一筋の涙がサン社員の頬を流れ落ちる・・・。 

串カツ屋のオヤジはまたまた始まったよ・・・と言ったうんざりとした感じでそんなサン社員を眺めていた。
余談だがこの串カツ屋の親父はごぶがりのダンナ(赤岩刑事)にうりふたつでこの界隈ではちょっと有名であった。
と、その時

 「何だ!?この野郎!!この俺様とマジでやる気なのか!!!」表からドスのきいた声が響きわたる・・・

急いで表に出るサン社員!またまた串カツ屋の料金踏み倒し!そこには片腕が恐竜の形をしている超人と、何やらケツのような超人がケンカをしていた。と言うよりは恐竜超人がケツ超人を一方的にブチのめしていたと言う表現の方が正しいであろう。

 「キョーっキョッキョッキョッキョッ!このレックスキング様にぶつかっておいて挨拶もないからこういう目に遭うんだ。何がプリプリマン2世だ!?親父の名前を出せばこの俺様がビビるとでも思ったのか?」

片腕が恐竜の超人が言う。

「あの凶悪さ、強靱な体つき・・・いける!コイツなら超一級の悪魔超人になる!!みんな、見てくれ!ワシはついにダイヤの原石を発見したぞーー!!」

さっきまでのしみじみとした雰囲気はどこへやら、興奮しながら
これでもかと言わんばかりに写真を前に付きだし恐竜超人の勇姿を皆に見せようとするサン社員!!

「喰らえー!!ジュラシックハンドーーー!!!」

「ぎゃああああああ!!!!」

ストリートファイトが完全決着した所でキラリとサン社員の目が輝きおもむろにレックスキングに近づく。

「あの・・・」

「ん?なんだ、おっさん」 

「ワタクシこういう者ですが・・・」

サッと名刺を取り出しレックスキングに手渡す。この辺の低姿勢はdmpの社員になってから身につけた必殺ワザである。

「何々・・株式会社デーモンメイキングプラント 人事部悪魔超人部門担当 サン社員?お、おっさんあの有名なdmpのスカウトマンなのか?」

「恥ずかしながら・・・それで私の目にあなたがとまったわけです」

「え?じゃあ俺様もあの有名なdmpの超人レスラーになれるわけだな。キョーッキョッキョッキョッこれで毎日戦いが楽しめるぜ〜」

「ではこちらの契約書の方にサインを・・・」 ジュラシックハンドを元に戻し契約書にサインをするレックスキング。そして、サインが終わった瞬間・・・

「グフォフォフォフォ、これでお前もワシの教え子だ!」

さっきまでの低姿勢は何処へやら急に態度の大きくなるサン社員、いや、むしろその不敵な姿は
昔のサンシャインであった。

「おっさん、なに急に態度がでかくなってるんだよ」

「黙れ!ワシを悪魔超人界の重鎮、サンシャインと知ってのことか〜!」

バッとコートを脱ぎ捨てるサンシャイン。年老いたといえど、その迫力は十分に伝わってくる。

「こ、これが伝説悪魔超人(デビルレジェンド)の迫力か・・・」

さすがのレックスキングもその迫力に圧倒され
急におとなしくなる。

「分かったらさっさとワシについて来い!それとこれからワシのことはサンシャインマスターと呼べ!」 

「わ、分かりました。サンシャインマスター。」

妙に素直なレックスキング。このあたりのかわいさが食事中のかわいらしさにも出ているのだろう。(ゆで卵の白身を食べているシーン参照)
一方、サンシャインはその横でサンシャインマスターと呼ばれることに陶酔していた・・・。

 この様にして悪魔超人再興を目指す二人の師弟関係が始まったのである。
 ちなみにサンシャインが投げ捨てたコートには彼のほぼ全財産が入っており次の給料日まで彼は串カツ屋「重松」には来れなかったそうである。

管理人より

この作品は、ナチスマンJrさんの投稿です。今や人気爆発のサンシャインを主人公にしたヒューマンドラマになっています。「幼稚な内容の小説…」とご本人はおっしゃってましたが、なかなかどうして… サンシャインの苦労や貫禄がこっちにも伝わってきました。また、投稿をお待ちしています。本当にありがとうございました。
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