こんな事があった。
最近血圧が高く、この日も朝から血圧の薬を服用して出かけた。
朝9時頃京丈山のワナバ谷登山口に到着、靴を履き替えたりしていると、丁度通りかかった人に声をかけられた。
先日の台風で、ルートが荒れているので、気をつけて登るようにとのこと。聞けば「九州ハイランド」というホームページの関係の方という。いつも山情報を仕入れているHPなので、その由告げてお礼を言って、登り始めた。
いつも登り始めは、体が重いものだが、この日は特に重い。おまけにいつにも増して、汗が出る。
途中沢が崩落し、石灰岩の巨石のごろごろと流れ落ちたような状態となり、ルートは完全に寸断されている。
最後の水場で一息入れ、京丈山に続く尾根すじに出る道を登り始めた。
登りにかかるといつにも増して動悸が激しい。胸全体にドクドクと響く。しばらく立ち止まり、動悸が治まったら又登る。そんな事を繰り返しながらやっと尾根すじに出た。
ここからもかなり急な道が続く。相変わらず動悸は激しい。おまけに動悸がひどくなると頭がボーとするようになった。どうも血圧が下がりすぎているようだ。
しゃがみこんで足の動脈を圧迫して、上半身の血圧を上げてやるとよくなる。しかし又立ち上がる時立ち眩みが起こるので注意が必要だ。
そんな事を繰り返しながら、少しずつ登っていった。
又動悸がひどくなり、意識も朦朧として来たので、しばらくしゃがみこんだ。
朦朧とする意識の中に、急に鳴き交わす小鳥の声が聞こえてきた。頭を上げて見ると、
すずめくらいの小さな小鳥たちが、周りの木々を鳴きながら飛び回っている。時々手を伸ばせば届くような近くに来たりする。赤いくちばしに胸の黄緑が印象的だ。
このときふと釈迦の涅槃像の周りにいろいろな動物たちが描かれている仏画を思い出した。
自分のような凡人でも、涅槃の時には動物が来てくれるのかなどと考えてうれしくなった。
思わず『ありがとう』といい、小鳥たちを眺めていると、だんだん気分がよくなってきた。
それに伴い小鳥たちの声もだんだんと遠くへ離れていき、いなくなった。
後で調べたら、マヒワという小鳥だった。

---------------------------------------------------------------------------------

山中倚譚