住民の皆様にご意見致します
 

 
1.公務員は自覚が足りない?

 全体の奉仕者であるべき公務員が起こした不祥事が、よく報道されています。
 公務員は、国民の税金を給与として戴いています。そのことを各自が自覚し、自らの行動に責任を持たなければならないことは言うまでもありません。

 公務員にも色々な種類(国家・地方など)があり、それらを合計すれば全国に約400万人の公務員がいます。多すぎるという批判はさておいて、この400万人という公務員の中には、全体の奉仕者にあるまじき人も存在しています。人間の性格や思想は千差万別で、どんなに指導しても変わらない部分があります。残念なことです。

 ただ、ご理解頂きたいのは、全ての公務員に、また役所(職場)に問題があるわけではないということです。
 確かに、職務上の立場を悪用した公務員がいたことは事実です。しかし、ほとんどの公務員が真面目に一生懸命働いているのも事実なのです。
 一部の者の不祥事によって、全ての公務員がそうであるかのようなご批判をされる人がいますが、その方は公務員に対する”偏った固定観念”をもった単なる認識不足な方です。
 
2.地方公務員の給料は高過ぎる?

 公務員の場合、給与が景気に影響されにくいこともあって、景気が悪くなると決まって”白羽の矢”がたてられます。それは公務員にとっての宿命でしょう。
 高いと言われる公務員の給与については、具体的に何と何を比較しているのかを明確にしないと、一概には論じられないはずです。恣意的なテレビ番組などでは、民間企業は平均的な数値を取り上げ、公務員は一部の高級官僚と比較したりして報道されます。渡り鳥的な天下りなどで、何度も高額な退職金を手にする公務員がいるようですが、これはごく一部の高級官僚だけで、地方公務員の実態を示したものではありません。
 全ての公務員が、さも同じであるような印象を与えるマスコミ報道を真に受けてか、「公務員は給料が高すぎる」と騒いでいる人がいますが、あなたの近くにいる公務員が、実際にどのような仕事をして、どの程度の給料を貰って、どのような暮らしをしているのかを、知った上で言われているのでしょうか?
 批判する以上は、自分なりに明確な根拠を持って批判してほしいものです。

 また、あまり知られていないようですが、ひとくちに地方公務員といっても給料が同じ訳ではありません。自治体によって初任給や昇任のスピードが違い、また昇給額の幅も異なっていることがその要因です。
 公務員の給料の比較に用いられるものに「ラスパイレス指数」というものがあります。これは、国家公務員(特定職は除外されている)を100とした場合の、各自治体の給与水準を示すものです。これには調整手当などの各種手当の額は含まれておらず、単純な平均給料の比較です。
 平成16年における全国各市(政令市を除く)のラスパイレス指数では、最高が東京都立川市の102.8で、最低が沖縄県石垣市の85.2、平均では98.2となっています。ただし、この指数には物価や生計費の違いを根拠として支給される調整手当などの手当を含んでおらず、実際の給与ではもう少し差が大きくなります。立川市では12%の調整手当が支給されますが、石垣市では支給されません。この調整手当を含めて考えると、立川市と石垣市の職員の平均給与額との間には30%ほどの差が生じることになります。
 これは極端な例であり、もともと物価も違うので、この差が適当かどうかを判断することは難しいです。しかし、このように同じ市職員といっても給与は一律ではありません。つまり、給与の面で全ての市職員をひとまとめにすることはできないということです。
 市以上の自治体では、広報等で職員の給与を公表することが義務付けられています。どうしても批判したいのであれば、各自治体の職員給与を把握した上で「○○役所(役場)は給料が高い」と、限定的に批判すべきです。

 
3.役所は暇か?

  「土日が休みで、自分の好きなことができていいね」と、よく言われます。確かに、私が入庁する前は、休日出勤などほとんどなかったと聞いていますし、今でもセクションや担当業務によっては指摘どおりの場合もあります。
 しかし、役所やセクションによってはその状況が全く異なっています。私の役所でも、年間50日以上も休日出勤している職員がいます。理由は様々ですが、暦どおりに出勤すれば良いというのは建前であって、現実とは大きく違っています。

○仕事量では測れない地域活動
 国家公務員や都道府県職員と違って、市町村職員の多くは自らが永住型の地元住民です。特に自治体が小さいほど、地域住民との繋がりが深くなります。
 役所の職員というだけで、地域の各種団体・組織への参加を半ば強要されることも多々あります。地元の役所職員がメンバーの中にいると、役所への陳情や協力要請などの際に役に立つことがあり、さらに時間的にもゆとりがあると思われているため、重宝されるのです。
 本来であれば、断っても良いものかもしれないが、地域密着型の地方公務員という立場上、なかなか断りきれるものではない。この点は、国家公務員や都道府職員、または大都市の職員とは異なる点です。
 もちろん、全ての職員が各種団体に首を突っ込んでいる訳ではなく、全く関係していない職員も少なくありません。ただ規模が小さい自治体ほどこの傾向が強いのは間違いないようです。

○ある活動記録
 ある年の休日のスケジュールを分析してみました。その結果が次の内容です。
 
 ・仕事上の休日勤務 29日
 ・休日のうち地域団体・ボランティア等への参加日数 34日
 
 ボランティア等の内容は、小学校PTA・幼稚園後援会の活動、まちづくり団体や自治会等の活動などです。
 ちなみに、私の役所では休日の勤務に手当は支給されず、全て振替休日又は代休で対応しています。従って、実質29日の振替休日があるはずですが、慢性的に忙しいから休日出勤しているのであって、平日にそんなに休めるはずがなく、大半は振替指定日にも出勤しています。ちなみに、この年の有給休暇の取得は、子どもの急病で2時間ほど早退したのが3回あっただけです。
 私は、地域活動には積極的に参加しているつもりですが、私だけが特別に多いという訳でもありません。他人に「今日は○○をします」と説明する訳ではありませんから、このような状況であることは、家族や一緒に活動している仲間など、身近な人でないと分かりません。

  特に小規模自治体の職員の場合、このように仕事と直接関係のない活動も多いわけで、単純に市町村職員としてどんな仕事をしているのかだけでは計りきれない部分があります。
 もちろん、セクションによっては、本来の仕事だけで過酷な状況になっているところも多く、当然ながら、全ての役所が、また職員が暇なわけではありません。
 それでも「公務員は暇だ」と批判をしたいのであれば、噂や思い込みだけに頼らず、それぞれの役所の状況を自分で調べて、明確な根拠を持って批判してほしいものです。


4 どの役所も厚遇?

 大阪市に端を発した厚遇問題は、全国に飛び火して、数多くの自治体で厚遇制度が明らかになっています。同じ地方公務員としても驚くべき内容です。
 厚遇の中身を列挙すると、公費から直接負担しているものとして、管理職への残業代加算、係長級職員への管理職手当支給、結婚祝い金(結婚貸与金)の支給、特殊性のない特殊勤務手当の支給、スーツ支給など。また、公費で運営を助成している職員厚生団体を経由しての数百万円にものぼる退職金(退会給付金)支給などもありました。
 これらの制度が作り上げられた原因については、職員組合との蜜月関係などが取り沙汰されているように、給与の是正措置に対する代替措置によるものが多いように感じます。報道のなかには、誇張し過ぎたような内容もあるようですが、正当性のない制度は早急に是正すべきです。

 一連の報道を受けて、多くの国民が地方公務員に対して疑念を抱いたと思います。しかし、このようなことをやっていない自治体が全国には数え切れないほどあるのも事実であり、そんな自治体の職員にとっては、非常に迷惑な話でもあります。ほとんどの自治体がそのような厚遇制度を採用しているのではなく、問題があるのはごく一部の自治体なのです。
 カラ残業どころか、残業しても手当が打ち切られている自治体が全国いたるところにあります。管理職への残業代支給や係長級への管理職手当の支給、結婚貸与金などは、制度として成り立たないと考えている自治体が大半でしょう。
 このほか、互助会などの職員厚生団体について考えれば、平成17年度当初において都道府県と政令市の中でもっとも高額な助成をしていた京都市で職員一人当たり4万4千円。ちなみに私の役所は4千円です。それでも助成があるだけマシなほうで、近隣には全く助成をしていない市がいくつもあります。
 公費からの直接支給することが難しいため、互助組織を迂回させるという手法をとって助成金を増やし続けた自治体があるのかもしれません。このような大きな財源があるから、ヤミ退職金などの措置ができるのであって、僅かな助成しか受けていない団体が同様にヤミ退職金などを支給していたら、それこそ1〜2年で財政破綻してしまうでしょう。

 このような不適切な措置が表沙汰になってから、右へ習えで即座に見直しを図る自治体が多いようです。そんなに簡単に見直せる内容ならば、なぜこれまで手が付けられなかったのか疑問に思います。もし表沙汰にならなければ、いつまでも無駄遣いが続いていたであろうと思うと、マスコミの報道は影響力があり、感謝しなければならない部分も多いのです。
 これからも、マスコミには行政の悪い部分をどんどん報道してもらいたい。ただし、どんなに小さなことでも、説明のできる裏付けをとった上で、偏りのない報道だけは心掛けてほしいと思います。

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