【経  絡】


気・血・津液が運行する通路を経絡といい、全身のあらゆるところに分布し、各部の間を密接に行き来することで全身の機能を維持する。12の経絡と、経絡の交差点として365の経穴があり、経絡の気の乱れが病気を引き起こし、針や灸で経穴を刺激してバランスを調整する。12の経絡は中国に12の河があったことに由来し、365の経穴は1年の日数に他ならない。いまほど科学が発達しない時代の仮説ではあるが、当時は自然の法則として説得力があった。ここで空理空論とかEvidenceなどの議論を始めると、先が続かないので古代の医学思想として考えて行きたい。経絡は鍼灸学で用いられるが、薬物治療では生薬の薬性として臓腑への帰経が知られている。

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【経絡の組成】

経脈と絡脈をまとめて経絡といい、経脈は経絡の主幹で多くが深部を一定の経路を持って循行する。絡脈は経脈の分枝で縦横に交錯し網状に全身に分布する。経脈には正経といわれる十二経脈と奇経といわれる八経脈があり、気血は必ず正経を循行し、奇経がこれを補助する。他に別絡、孫絡、十二経別、十二経筋、十二皮部などがある。

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【十二経脈】

部  位

陰経(内側)    陽経(外側)

手経(上肢)
手太陰肺経←→手陽明大腸経
手厥陰心包経←→手少陽三焦経
手少陰心経←→手太陽小腸経
足経(下肢) 足太陰脾経←→足陽明胃経
足厥陰肝経←→足少陽胆経
足少陰腎経←→足太陽膀胱経

 

十二経脈は各々一つの臓腑と直接連結すると考えられ、各経脈に属する臓又は腑の名が付いている。臓に属する経脈を陰経といい、四肢の内側を循行し、腑に属する経脈を陽経といい、四肢の外側を循行する。さらに四肢の上肢(手)を循行するものを手経といい、前・中・後の3部位に沿って陰経・陽経が循行する。下肢(足)も同様である。四肢の内側前部--太陰経、内側中部--厥陰経、内側後部--少陰経といい、四肢の外側前部--陽明経、外側中部--少陽経、外側後部--小腸経といい、一覧すると上表のようになる。

 

 → 手太陰肺経 手陽明大腸経 足陽明胃経

足太陰脾経





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手少陰心経

手太陽小腸経 足太陽膀胱経 足少陰腎経




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手厥陰心包経 手少陽三焦経

足少陽胆経

足厥陰肝経


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経脈はそれぞれ一つの陽経と陰経が連結し、これを「絡す」といい、経絡の語源となった。絡する陰経、陽経は表裏を為し規則性を以って循行する。手の三陰経は胸から手に向かって走行し手の三陽経と交わり、手の三陽経は手から頭に向かって走行し足の三陽経と交わり、足の三陽経は頭から足に向かって走行し足の三陰経と交わり、足の三陰経は足から腹に向かって走行し手の三陰経と交わる。12経脈の走行する順序は上表のようになるが、これに督脈、任脈を加えた14経脈がよく用いられる。

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【奇経八脈】

奇経八脈とは督脈、任脈、衝脈、帯脈、陰維脈、陽維脈、陰橋脈、陽橋脈をいい、12経脈の間を縦横に交錯、走行し、経脈間の連係を緊密にする。12経脈に気血が溢れれば貯え、不足すれば補充する。肝、腎、子宮、脳などとは奇経が直接連結すると考えられている。鍼灸にも独自の理論を展開する流派が多く、奇経を用いた治療を専門とする治療家も見受けられる。督脈と任脈は身体の正中線付近を走行する経脈で気功やヨガではチャクラが存在するとされている。

 

 

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