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パンダセレクタとは?

セレクタは「オートマチックセレクタ」といい、つまりAT(自動変速)付のパンダです(以下、セレクタとします)。ATには当時としては先進的な富士重工製ECVT(電磁クラッチ式CVT)を採用しています。このECVT、当時もかなり厄介なシステムでした。フィアットはウーノ、プントでもECVTを採用しました。ウーノでは評判が悪かったようですが、プントでは改良が加えられていたようです。

セレクタには以下の種類があります。

年式 排気量 モデル 燃料制御 ハンドル 正規販売
91〜93 1,000 セレクタ キャブ
94? 1,100 ミーア インジェクション
95 1,100 CLX セレクタ インジェクション
96〜98 1,100 CLX セレクタ インジェクション
99〜 1,100 CLX セレクタ インジェクション -

ここではセレクタを運転する時の注意点とトラブルについて記載します。

1.セレクタの運転方法

セレクタは次の特徴があります。

またセレクタは急発進と急ブレーキが苦手です。発進と停止は丁寧に行いましょう。またセレクタレバースイッチは華奢ですので、ゆっくり切り替えましょう。セレクタはスナッチが大きいので、運転に慣れない場合はかなりギクシャクした運転となりがちです。これは元々低速時のアクセルワークが難しいこともありますが、エンジンマウントの消耗によることがあります。特にミッション側のマウントは消耗しやすいのですが、スナッチがひどいと繰返し応力によりこれを固定するブラケットが割れることがあります。

発進は以下の手順で進めましょう。

ここで注意すべきは停止時は絶対にアクセルに足を乗せない事です。できればサイドブレーキを引いてアクセルとブレーキから完全に足を離しておきましょう。なおDレンジで停車している場合、電磁クラッチがわずかながらですが繋がっていますので、セレクタレバーをNレンジに入れておくと確実です。

※セレクタのアクセルスイッチはスタート(Start of opening)用とワイドオープン(Wide opening)用の二つがあります。

停車は以下の手順で進めましょう。

バックは以下の手順で進めましょう。

セレクタはCVTFポンプの駆動に華奢なスプラインを使用しています。雑な切り換えをするとこれが壊れてしまい、前進も後退もできなくなりますので、気をつけましょう。また坂道で半クラッチを多用しないように気をつけましょう。

2.セレクタのトラブル

セレクタのトラブルとして良くあるのは、

です。一番多いのは「停止と同時にエンジストップ」でしょう。私も良く経験しています。特に夏場に多いです。MTでもエンストはあるようですが、セレクタの方が多いのではないか・・・と思います。(MTでもクーラーを入れたら、エンストすることがあります。)知っていればとりあえず対処はできます。ただし、これが頻繁に起こるようですと恐らくどこかに異常があります。

エンストの現象は以下のような感じです。

エンストしていたら、ハザードを付け、停止後にセレクタレバーをNレンジもしくはPレンジにしてエンジンを掛け直しましょう。

セレクタのトラブルの原因となる消耗品、部品は以下が多いです。

トラブル要因 発生するトラブル 実際のトラブル
CVT以外 CVT
バッテリー(・・・と思う。) エンスト。
CVTF 進まない。  
アース不良 エンスト。
セレクタレバースイッチ 進まない。  
セレクタレバースイッチ 音が出る。  
エンジンマウントの消耗 スナッチが大きい。  

アクセルスイッチ スナッチが大きい。  

アクセルスイッチ(セレクタスイッチ)
:調整不足または破損
進まない。勝手に進む。エンスト。  
バキュームホースなど アイドリング不安定。エンスト。  
センサー類(O2、吸気温センサーなど) アイドリング不安定。エンスト。  
ECU(アイドルアップ機能) クーラーONでエンスト。  
CVTF用ポンプスプライン破損 ほとんど進まない。  

電磁クラッチ(パウダー、ブラシ) 進まない。エンスト。  
CVT本体(スチールベルトなど) 進まない。  
車速センサー ギヤが上がらない。(スピードが上がらない。)

 
・・・などなど - - -

セレクタのトラブルは良くありますが、その問題の多くはCVT本体ではなく、その補機と周辺部品にあります。やっかいなのは原因の特定が難しいことです。「エンジン-電磁クラッチ-CVT」の内のどれが悪くてもエンストは起きます。原因が多岐に分かれるために、ディーラーや専門店でもなかなかトラブルが解決しなかったりします。修理の基本は問題があるであろう部品を1個1個チェックしていく(場合によっては交換していく)ことです。そのため、どうしても原因に辿り着くまでに時間と費用がかかってしまいます。

これと比較するとMTはシンプルです。セレクタはかなり面倒くさいです。MTは直るのにセレクタはどうして?ということになると、どうしてもユーザーの評判が悪くなってしまいます。

セレクタの調子が悪くなったら、以下を確認してみましょう。

CVTについてのトラブルはこちらを参考にすると後々ためになると思います。

「軽CVT同好会」

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