およそ4~5人前

[伝統料理]鯨のすまし汁 

  昔からあった鯨汁はすまし汁でした。現在の生月島で作られているのは、アゴの出汁を煮立てて生の皮身を入れアオサを入れた鯨のアオサ汁で、皮身のまったりした味がすっきりしたアゴ出汁とよくマッチしています。

 

 [食材]        
・皮身鯨肉(冷蔵スライス) 60g   ・焼アゴ(出汁パックも可)  1本
・豆腐 1/2丁   ・日本酒(料理酒) 小さじ1 
・乾燥アオサ  1g   ・薄口醤油 小さじ1
(※生アオサなら)  20g   ・塩 小さじ1/2
・水  1200cc      

 〔作り方〕
 ① 焼きアゴの場合、料理の8時間程前に水を張った鍋に1本いれておく。 
 ② 皮身鯨肉(60g)を小さく切り、鉢に入れて熱湯をかけ、油を抜く。 
 ③ ①の出汁に②の鯨皮身を入れる。 
 ④ 汁に酒(小さじ1)、塩(小さじ1/2)、薄口醤油(小さじ1)で味をととのえる。 
 ⑤ 汁に豆腐(1/2丁)、アオサ(乾燥1g)を入れて完成 

 



[伝統料理]鯨の味噌汁    

  味噌仕立ての鯨汁はいわば豚汁の鯨版ですが、あっさりとした味です。昔は皮身を湯がいた汁をそのまま使って味噌汁にしましたが、その方が鯨のコクが出て美味しかったそうです。

 

〔食材〕        
・皮身鯨肉(冷蔵スライス)  50g   ・厚揚げ 50g
・大根  200g   ・ゴボウ 30g
・ニンジン  20g   ・小ネギ 5g
・里芋  100g   ・味噌 20g
・タマネギ  20g   ・焼アゴ(出汁パックも可) 1本
・水  1200cc      


〔作り方〕 
 ①  焼きアゴの場合、料理の8時間程前に水を張った鍋に1本いれておく。
 ②  皮身鯨肉を小さく切り、鉢に入れて熱湯をかけ、油を抜く。
 ③  ①の出汁に野菜の具を入れて煮立てる。
 ④  ③を煮立てている途中に②の鯨皮身(50g)を入れる。
 ⑤  野菜が煮えると厚揚げを入れ、中火で味噌を溶かす。
 ⑥  小口切りにした小ネギを上に散らして完成

 



[伝統料理]鯨なます

 

 皮身鯨肉と千切りの大根・ニンジンを酢と酒で和えた料理で、大根を広く切ったカマクラという料理は、かくれキリシタンの行事で用いられました。なおなますは鯨の有無にかかわらず、祝いの席では人参を入れ、葬儀・法事は鯨と大根だけでした。

 


〔食材〕         
・皮身鯨肉(冷蔵スライス) 200g   ・砂糖  少々
・大根 2本   ・酢  少々 
・ニンジン(小)  1本    ・料理酒  少々 
・塩  少々    ・煎り胡麻  少々 
・ユズ  1個       

〔作り方〕  
①  大根とニンジンを千切りし、ボウルに入れて塩少々を加えてもんで絞る。 
②  皮身鯨肉を5mm幅程度の小さな短冊に切り、鉢に入れて熱湯をかけ、油を抜く。 
ボウルで大根・ニンジンの千切りと皮身鯨肉をあわせ、砂糖、酢、料理酒を入れて和えて完成 
④  お好みで、煎りゴマや、ユズ皮を刻んだものを入れると風味が良くなる。 



[伝統料理]鯨と大根の味噌和え      

  なますにセリなどを加え、味噌仕立てにした和えもので、味噌が入っている分、まったりさが増しています。

 

〔食材〕        
・皮身鯨肉(冷蔵スライス)  200g   ・味噌 少々
・大根  2本   ・塩 少々
・ニンジン(小)  1本    ・砂糖 少々
・セリ  2束    ・酢  少々
・生姜 1片    ・料理酒 少々
・ユズ 1個      

〔作り方〕 
大根とニンジンを短冊に切り、ボウルに入れて味噌でもみ、しばらく置く。 
鍋に湯を沸かし、塩を少々入れてセリを茹でる。茹で上がると絞って長さ2cmくらいに切る。
③  皮身鯨肉を大根より小さめの短冊に切り、鉢に入れて熱湯をかけ、油を抜く。 
④  ボウルに大根、ニンジン、セリを入れて混ぜ合わせた上でしぼる。その後皮身鯨肉を加え、味噌、砂糖、酢、料理酒を入れて和える。 
仕上げに刻んだショウガとユズ皮を入れて良く混ぜたら完成 



[伝統料理]鯨のいり焼(じりじり)

  煎焼(いりやき)は肉や魚と様々な野菜を炒めて煮込んだ料理で、見た目も味も今の鋤焼と同じです。皮身鯨肉を炒める時にジリジリと音がするので「じりじり」とも呼ばれ、鯨肉が入手しやすかった昔は、鯨の煎焼がよく作られました。

 

 

〔食材〕        
・皮身鯨肉(冷蔵スライス) 100g   ・チャンポン玉 1袋
・鯨赤身  400g   ・ショウガ  1かけ
・白菜  800g   ・醤油(濃口・薄口半々) 150cc
・深ネギ  200g   ・砂糖  100g
・タマネギ  300g   ・料理酒1  150cc
・生椎茸  1パック   ・料理酒2  大さじ2
・ニンジン  100g    ・塩 少々 
・突きこんにゃく 400g      

〔作り方〕 
①  皮身鯨肉は1.5×3cmに切る。赤身肉は3×4cmくらいに切り、ショウガの絞り汁と酒(大さじ2)を軽く振り、少しして沸騰した湯にさっと通す。 
②  白菜は3cm幅、深ネギは3cmの斜め切り、タマネギは半分に切ってざく切りに、椎茸は削ぎ切りに、ニンジンは3cm幅の短冊切りにする。こんにゃくは塩でもみ、洗って、さっと湯に通してざく切りにする。チャンポン麺も湯で洗ってほぐしておく。 
③  ボウルで砂糖(100g)、醤油(150cc)、料理酒(150cc)を合わせ、軽く混ぜて砂糖を溶かしておく。 
④  鍋を火にかけ皮身鯨肉を入れる。油が出てきたら料理酒を入れて、アルコールを飛ばす。 
⑤   鍋に③を入れ、一煮立ちしたら赤身を入れる。煮立ったら、煮えにくい野菜から入れる。野菜から水が出てくるので再度塩などで味を整え、チャンポン麺を入れ、一煮立ちしたら完成



[伝統料理]鯨とゴボウの炒め煮        

  赤身鯨肉とゴボウの食感が楽しめる家庭料理です。

 


〔食材〕         
・赤身鯨肉 80g   ・醤油 小さじ1
・ゴボウ(小) 1本   ・食用油 大さじ2
・突きこんにゃく 1袋   ・砂糖  大さじ1
・赤唐辛子  1/2本   ・醤油 大さじ1
・おろしショウガ 大さじ1/2       
・みじん切りショウガ 大さじ1/2      

〔作り方〕  
①  赤身鯨肉は3×2cmくらいに切る。おろしたショウガ(大さじ1/2)と醤油を振りかけておく。
②  ゴボウは皮を剥いて洗い、ささがきにする。赤唐辛子は輪切りにする。こんにゃくは塩でもみ、洗って、さっと湯に通してざく切りにする。
③  鍋に油とみじん切りにしたショウガ(大さじ1/2)を入れて熱し、香りがたったら鯨肉を入れて混ぜる。
さらにゴボウ、こんにゃくを入れて油を馴染ませたら、材料がひたひたになるくらい水を入れる。煮立ったら、砂糖、醤油を入れて味をつけ、鍋に蓋をして汁けがなくなるまで煮て完成 




[伝統料理]皮鯨とひじきと大豆の甘辛煮

  今はヒジキを油で炒めてから皮身鯨肉を入れますが、昔はヒジキを炊いた後、最初に皮身をいためて油を出し、その油でヒジキを炒めていたそうです。おかずで食べる事もありますが、ご飯の上に盛ったり、ご飯と混ぜて食べるのも美味しいです。

 


〔食材〕        
・皮身鯨肉(冷蔵スライス) 250g   ・ゴマ油 少々
・乾燥ヒジキ  55g   ・砂糖  90g
・水煮大豆  500g   ・醤油  200cc
・ニンジン  110g   ・料理酒 少々

〔作り方〕 
皮身鯨肉は長さ3cm、厚さ3mmくらいに切る。
②  乾燥ヒジキはぬるま湯に入れて戻す。 
水煮大豆は水を切っておく。ニンジンは短冊切りにする。 
鍋にゴマ油をひく。 
鍋に皮身鯨肉を入れて中火で炒め、ニンジン、ひじき、大豆を入れる。 
砂糖、料理酒、醤油を入れて煮込む。
味を整え、弱火で落とし蓋をして味を染みこませて完成



[伝統料理]鯨の竜田揚げ

  昔から学校給食で大人気でしたが、舘浦の大阪屋さんという店が売っていた竜田揚げがとても美味しかったそうです。

 


〔食材〕        
・赤身鯨肉 300g   ・サラダ油 適量
・タマネギ 1/4個   ・日本酒 大さじ1
・リンゴ  1/4個   ・砂糖 小さじ1
・生姜 1片   ・醤油 大さじ1
・片栗粉  少々      

〔作り方〕 
赤身鯨肉を2cm角くらいの大きさで3mm程度の厚さに切る。
日本酒(大さじ1)砂糖(小さじ1)醤油(大さじ1)を混ぜて調味液を作る。
②の調味液に、すり下ろしたタマネギ、同じくリンゴ、同じくショウガを入れる。
 ③の調味液に鯨肉を1時間ほど漬け込む。
  ①漬け込んだ鯨肉を出して余分な調味液を拭き取り、片栗粉をつける。 
  ②鍋にサラダ油を入れて180度に熱し、⑤の鯨肉を入れて火が通るまで揚げる。



[伝統料理]鯨の刺身

  昔は塩蔵の皮身肉を薄く切り、味噌をつけて食べたそうですが、相当塩辛かっただろうと思います。冷凍冷蔵技術が発達した現在は、半解凍の鯨肉に醤油をつけて食べるようになりました。晩酌のお供です。

 


〔食材〕        
 ・赤身鯨肉 適量   ・おろし生姜   少々
 ・尾の身 適量    ・ワサビ  少々
 ・生皮身鯨肉 適量      

 〔作り方〕 
①   各部位を厚さ2~3mmに切る。
 器に部位毎に盛りつける。
 おろしショウガとワサビを添える。



[伝統料理]湯かけ皮鯨

皮身鯨肉を薄く切ってゆがいたもので、昔は塩蔵の皮身鯨肉が保存が利くため、生魚が獲がたい夏などに酒の肴として重宝されました。現在もお祝いの席によく出ます。

 


〔食材〕  
 ・皮身鯨肉(スライスしたもの) 250g 
 ・醤油 少々
 ・酢味噌 少々

〔作り方〕 
皮身鯨肉を水でもみ洗いし、余分な塩と油を落とす。
水を入れた鍋に皮身鯨肉を入れ、中火でゆっくりと混ぜながら茹でる。
沸騰寸前に火を止める。
茹でた皮身鯨肉をザルに上げ、2~3回水洗いをする。洗い過ぎると味が抜けるので気をつける。
  ①皿に盛りつけて完成。お好みで醤油や酢味噌でいただく。




[伝統料理]百尋・豆臓(まめわた)のゆがきもの 

  以前は正月に用意する御馳走に、鯨の百尋や豆臓がよくありましたが、近年は高値となり少なくなりました。

 


 〔食材〕        
 ・百尋(冷凍ゆで物)  100g    ・塩  30g
 ・豆臓(冷凍ゆで物)  100g    ・水  1000cc

 〔作り方〕 
 ① 冷凍された百尋、豆臓を冷蔵室に置いて一晩解凍する。 
 ② 鍋に水1000㏄を入れ、60度くらい(泡がぽつぽつ出る頃)まで湧かすと火を止め、塩30g入れて溶かす。
 ③ 百尋、豆臓を②の塩湯に別々に入れてゆっくりと戻す。
 ④ 10分程たったら塩湯の中で洗う。
 ⑤ 再度②の塩湯を作り、④の百尋、豆臓を10分ほど浸ける。
  ①⑤の百尋、豆臓を取り出し、キッチンペーパーで水気を拭き取る。
  ②⑥の百尋、豆臓をできるだけ薄く切って盛りつける。


[伝統料理]鯨フライ

  竜田揚げと違い、塩、コショウで下味をつけた赤身鯨肉にパン粉をつけて揚げたもので、鯨肉の味と食感をストレートに味わえます。

 

 〔食材〕        
 ・赤身鯨肉 適量    ・小麦粉  適量
 ・卵  1個    ・片栗粉  適量
 ・食用油 適量    ・パン粉  適量


 〔作り方〕 
 ① 赤身鯨肉を4cm×5cm、厚さ8mm程度に切って、塩、コショウを振る。 
 ②  ①の赤身鯨肉に小麦粉、片栗粉を付け、それによく溶いた卵を付けてからパン粉をまぶす。
 ③  鍋に油を入れ、火をつけ高温(170度程度)にする。
 ④  ②の赤身鯨肉を4~5枚単位でさっと揚げる。揚げ過ぎると固くなるので注意する。



[伝統料理]鯨天ぷら

  赤身鯨肉に衣をつけて揚げたもので、フライと異なる味や食感を楽しめます。

 


 〔食材〕        
 ・赤身鯨肉 適量    ・生姜汁  8cc
 ・卵 1個    ・小麦粉  適量
 ・砂糖 10g    ・片栗粉  適量
 ・濃口醤油 20cc      


〔作り方〕  
①   赤身鯨肉を4cm×5cm、厚さ5mm程度に切る。
砂糖(10g)、濃口醤油(20cc)、ショウガ汁(8cc)を混ぜてショウガ醤油を作る。 
①の赤身鯨肉を、②のショウガ醤油に漬ける。 
小麦粉、片栗粉、溶き卵を混ぜて、ゆるめに溶いて衣を作る。 
鍋に油を入れ、火をつけ油を高温(170度程度)にする。
③の赤身鯨肉に、④の衣をつけ、⑤の鍋に4~5枚入れてカラッと揚げる。揚げ過ぎると固くなるので注意する。