キン肉マン2000
第3回超人オリンピック編
第15話 ノーティーの苦悩の巻


「エー、ウホン! それでは発表する。第7試合…テリーマン&ステカセキングVSバッファローマン&ノーティー・ブラット! 第8試合…キン肉マン&キン骨マンVSキン肉真弓&ハラボテ・マッスル!」

「…………………!!」

「だははは、やったぜーい! パパが相手ならもう予選通過したも同然じゃ! だが…こいつまで一緒とはのう…」

狂喜乱舞するキン肉マンは自分とタッグを組むことになった超人…いや、怪人のキン骨マンにじーっと目をやった。

「それはこっちの台詞だわいな。」

「スグルめ…楽できるものと思っているようだが、それは大きな間違いだと気付いてないようじゃ。」

「まったくその通りじゃ、真弓くん。フォフォフォフォ…」

キン肉マンとキン骨マンの骨肉コンビを見て不気味な笑みを浮かべた。

「オレもテリーや盟友だったステカセと戦うのは気が進まねえが…これも勝負、仕方なく…おい、聞いてるのか?」

「何て事になったんや。オイラが先生と戦えるわけないやろ…」

「おい!」

「ああ…バッファローマンはん…よろしゅう…」

完全に意気消沈しているノーティー。

「大きな運命の分かれ目…か…」

ノーティーの脳裏にはジオ・スタジアムに入る前に占い師に言われた言葉が浮かんだ。

『さあ、手元の資料によりますと、Aリングのノーティー・ブラットとテリーマンはテキサス超人学校の師弟にあたります。そしてBリングのキン肉マンとキン肉真弓は言うまでもなく実の親子。これは両リングとも目の離せない試合になってまいりましたーっ!』

自軍コーナーにもたれかかったまま虚ろな目で中空を見上げるノーティー。

「おい、ノーティー。もうすぐゴングが鳴るぜ。…ったく、仕方ねえな。オレが出るか。」

ロープを掴んで屈伸運動をするバッファローマン。

(向こうはバッファローマンが出るようだな。ステカセでは戦いづらいだろうな…)

「ステカセ…こっちからはわたしが出よう。」

「ケケケ…分かった、任せたぜ。」

「それより…バッファローマンと戦うのに迷いはないか…」

「ケッ…テリーマン、オレたちは仮にも冷酷非道の悪魔だぜ。正義超人のような余計な情で手加減をするなんて考えられないぜ。」

「そうか、なるほどな。」

テリーは、この時だけは悪魔超人たちの哲学が少しだけ羨ましいと思った。平静を装ってはいたが、テリーも愛弟子のノーティーと戦うのは正直言って気が進まなかったのだ。ステカセでさえ、このような割り切り方をしている悪魔たちの自立心と完全な個の確立…正義超人にも見習うべき点があるかもしれない。

そうこうしているうちに制限時間に達したようだ。

カァン!

「さあ、予選最後の試合のゴングが鳴ったーっ!」

「いくぜ、ハリケーン・ミキサー!!」

出鼻から大技を繰り出すバッファローマン。意表を突いた攻撃だろうか、テリーは直立不動の体勢のままピクリとも動かない。しかし…彼は待っていたのだ。

(まだだ、まだ動く時ではない…)

『あーっと、バッファローマンのハリケーンミキサーがテリーの心臓に…』

その瞬間、テリーの姿がバッファローマンの視界から消えた。

『と思ったら、バッファローマンの背中に乗っていましたーっ!!』

「テリーマン、貴様…!」

「侮ったな…バッファローマン。わたしの家は牧場でね…暴れ牛の扱いなら慣れてるのさ。」

「な…何だと…オレを牛風情と一緒に…」

「食らえ、カーフブランディングーッ!!」

テリーはそのままバッファローマンの頭を掴んでコーナーの鉄柱に叩きつけた。

『ハリケーンミキサーを紙一重でかわしたテリーマン、必殺のカーフ・ブランディングでバッファローマンの額を割ったーっ!』

「このまま決勝トーナメント進出を決めさせてもらうぜーっ!」

テリーは額から血を流しているバッファローマンを無理矢理立たせると、パンチの雨アラレを叩き込む。

『強い、強い! これはテリー…バッファローマンの1000万パワーをモノともしません。』

(た…確かに強え… あの圧倒的な強さで予選を勝ち上がったギャラクティカに勝るとも劣らないパンチだ。いつものテリーとは迫力が違う!)

バッファローマンは額の血が目に入り、ガードし続けるのが関の山だ。デタラメに放ったキックがテリーの脇腹に入り、ようやくラッシュから逃れた。

「ノーティー、タッチだ!」

一旦、ここは退くバッファローマン。緩慢な動作でリングインするノーティー。注目の師弟対決だ。

『テリーマンとノーティー・ブラット、共に手の内を知り尽くした二人ですが…どのような試合展開を見せてくれるのでしょうか。』

(まずい…ノーティーが出てきたか。できればバッファローマンが出ているうちに仕留めておきたかったところだが…)

仕掛けたのはテリーマンだ。ロープのリバウンドを利用し左右に動き回る。ノーティーは動きについていけず、ただキョロキョロとするばかりだ。

「あーっと、テリーのジャンピング・ニーパットが炸裂ーっ!」

呆気なくダウンするノーティー。どうやら完全に気が抜けているようだ。ノーティーは、これまたゆっくりと起き上がった。すかさず畳みかけるように攻撃を開始するテリー。

『あーっと、テリー、再び猛ラッシュだーっ! まさにやりたい放題ーっ!』

目が冴えてきたバッファローマンはこの様子を見て歯がみしていた。

(ノーティーは完全に戦意を喪失している。喝を入れてやらなければ…)




一方、Bリングでは…

「ええい、わたしが出る!」

「いいや、あちきだわさ!」

キン肉マンとキン骨マンがロープに絡まりながら、未だに先陣争いをしていた。既にリングインしている委員長は呆れ返り、自軍コーナーを挟んで真弓と茶を飲む始末だった。アナウンサーも観客も最初からBリングだけは無視している。

「真弓くん、一体ワシらは何しにここに来たのかのう…」

「さあ…」

しばらく…試合は動きそうもない。



ガキィッ!!

テリーのフックが入り、ノーティーがダウンする。これで何度目だろうか。完全にグロッキー状態のノーティーはバッファローマンにタッチを求める。

『あーっと、これは…バッファローマンは両手を高々と挙げタッチを拒否しましたーっ!』

「こ…この光景は…」

テリーは気付いたようだ。

「キン肉星王位争奪戦でマンモスマンに恐怖心を抱いたバッファローマンのタッチをソルジャーが拒否した時と同じ…」

そう…この時はバッファローマン本来の自立心を呼び覚ますためのソルジャーの愛のムチだったが、今度はバッファローマン自身がノーティーへ愛のムチを与えようというのだろうか。

「あう…バッファローマンはん…」

「ノーティー、甘ったれるな!」

「せ…せやかて…」

「これからの長い超人戦士としての生活の中ではどうしても望まざる戦いというものも出てくるだろう。しかし、それから逃げ出すことが果たして解決になるのか! そんな困難をも乗り越えられる強い精神力…それが本当の力というものだ!!」

「バッファローマンの言うとおりだ。わたしはお前にやる気があろうとなかろうと全力で叩きつぶしにかかる! この試合に師匠も弟子もない!」

「ノーティー…お前の夢は!」

「オイラの夢は…オイラの…夢は…」

ノーティーの心にあの誓いが甦ってきた…テキサスの大地での…あの…

▼運命に翻弄されるノーティー…立ち直れるか…
キン肉マン2000
第3回超人オリンピック編
第15話
…/おわり
今回は二本立て!
「N・ストーリー」はこの後すぐ!

巻末言
最近は仕事場に変な人たちが現
れる。王監督に田村亮子、ビン
ツケ油の強烈な力士(実話)。


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