キン肉マン2000
第3回超人オリンピック編
第17話 復活! 伝説のパワー!!の巻

「うああああああ〜っ!!!」

ノーティーの大絶叫がジオ・スタジアム中に響き渡った。

スタジアム中がびりびりと震える。Bリングではロープに絡まったキン肉マンとキン骨マンがどぎゃと、リングに転がり込む。その震えはノーティーの絶叫が止むと、徐々に収まっていった。

「………………………」

会場内は水を打ったように静まり返る。誰もが言葉を失っていた。そんな中、一人だけマイペースな男がいた。大絶叫の主であるノーティーだ。

「あー、スッキリした。」

「ふ、ふふ、ふははははは…!」

テリー、そして一緒に笑ったのはバッファローマンだ。

「はははは、はーっはっはっはっは…」

「な…何や、何がおかしいんや?」

「いやぁ、失礼。だが…」

「ああ…」

テリーとバッファローマンは同じ考えのようだ。

「だが…いい顔になったな。」

「さあ先生、遠慮なくいくでー。」

「おお!」

「待て、ノーティー。お前はスタミナの消耗が激しい。今はタッチするんだ。」

「へへ…バッファローマンはん。ここは黙って見ときや。」

「わかった…」

バッファローマンはノーティーに任せることにした。

『あーっと、テリー再び攪乱作戦だーっ! ロープを利用して左右に動き回るーっ!』

「ノーティーよ、この動きが見切れるかーっ!」

テリーの動きは徐々に速くなっていく。

『こ…これは…ノーティー、目を閉じたーっ!』

「先生…ここは先生が教えてくれた通りに目を閉じて…」

『あーっと、テリー必殺のテキサスコンドルキックが飛び出すーっ!』

「殺気を見ろってかーっ!」

ノーティーは体を反らすとテリーを捉えた。そのままテリーを抱え、豪快に…

『バックドロップだーっ!!』

「ガハッ!」

「先生、バッファローマンはん、これが答えや!」

テリーとバッファローマンは共に頷く。ここでバッファローマンはノーティーからようやくタッチを受けることができた。出突っ張りだったテリーもステカセと交代する。一方…


Bリングではようやく試合が動き始めた。

『さあ、Bリングに目を移してみましょう。リング上ではキン肉マンとその父親であるキン肉大王が対峙しています。』

二人はリング中央で力比べを始めた。両者とも超人界屈指のパワーファイターだった。だが、現役バリバリのキン肉マンと一線を退いて久しい真弓とではまるでケタが違う。

「うおーっ、火事場の…クソ力ーっ!!」

『あーっと、キン肉マンの若い力がまさったか!? 大王を徐々に押しているーっ!』

「ぬ…ぬう…」

「へへ…パパ…おとなしく隠居してればいいものを…こんなんじゃ…わたしを倒せやしないぜーっ!!」

『あーっと、キン肉マン、一気にたたみかけたーっ! いや…』

「まだ…まだじゃ…烈火のクソ力ーっ!!

『あーっと! 大王、キン肉マンを押し戻したーっ!』

(こ…これがパパの力…)

「フォフォフォ…真弓くんのクソ力が発動したか。ワシも昔何度か垣間見たが…まったくもって恐ろしいパワーじゃわい。これも王家の血が成せるワザなのか…」
 
真弓はそのままキン肉マンを押し切ってブリッジに追い込む。

「おりゃあ!」

『あーっと、キン肉大王、キン肉マンの足首を掴んでジャイアントスイングだーっ!』

ミスミスミスミス…!

真弓のジャイアントスイングは速度を増していく。そのままコーナーに放り投げられるキン肉マン。

「パパめ…こっちが手加減してると思えば、やってくれるじゃないの。」

キン肉マンは頭を振りながら起き上がった。まだ余裕はあるようだったが。

「スグル…今日のワシはひと味違うぞ。」

「パパ…ん…?」

キン肉マンは真弓が目配せしているのに気付いたようだが、それが何かは全く分からなかった。それはキン肉マンの背後…ロープ際の委員長に向けられたものだった。委員長は動き出した。

「おわ〜っ、どうしたというんじゃ!」

委員長にロープ越しに羽交い締めをかけられるキン肉マン。その姿は格好の攻撃の餌食となった。真弓はキン肉マンに迫った。

「スグル…」

「おわ〜っ、何だか怖いよーっ!」

真弓の顔が不気味だったのか、攻撃が怖いのかは分からない。あるいは両方かもしれない。

ビシバシビシバシ…!

キン肉マンに容赦のないチョップの嵐が飛ぶ。日頃の戯れで打っているものとは、もちろん威力が段違いだ。

(真弓ちゃんはいつもふざけ半分でスグルくんに技をかけているようだったが、他のどの超人も及ばない掛かり方が身についていたわけじゃのう。お遊びも思わぬところで役に立つもんじゃわい。)

委員長は真弓の健闘ぶりを冷静に分析する。確かにキン肉マンにとって、呼吸を知り尽くされている真弓は最悪の相性と言えるだろう。

「そうはさせんだわさ!」

さすがに見かねて、キン骨マンがカットに入ろうとする。

「真弓ちゃん!」

「おお!」

真弓はキン肉マンへの攻撃からすかさず背後の攻撃にスイッチする。振り向き様に繰り出したのは…

『出たーっ! これが伝説のマッスルボンバーだーっ!』

強烈なラリアートに骨がバラバラになるほどの衝撃を受けるキン骨マン。

「さあ、真弓くん…一気に勝負を決めるとするかいの。」

「言われなくともそのつもりじゃ。」

キン肉真弓、伝説のパワーの完全復活…勝負の行方は全く分からなくなってきていた。
●キン肉マンコンビ敗北決定…!?
キン肉マン2000
第3回超人オリンピック編
第17話
…/おわり
キン肉マンたちに逆転の秘策は!?
次号、『王家の秘術』の巻!

巻末言
坂本真綾さんの学園祭コンサー
トに行く。最新シングル『マメ
シバ』プロモを大画面で鑑賞。


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