キン肉マン21
第3回超人オリンピック編
第9話 二つの友情の巻
第3回超人オリンピック1回戦第4試合、ブロッケンJr.VSゾナーマン。ゾナーマン必殺の象南波羅に苦戦するブロッケンだが、冷静さを取り戻して反撃を開始した。そして…
『あーっと、こ、これは!?』
「い…一体どうしたゾナ!? ブロッケンの姿が…」
そう…ブロッケンの体がおぼろ気に見えたと思ったら二つに分かれ始めたのである。二つの身体が離れるにつれ、それらは徐々に実体化していく。実体化が完全になった時…リング上にはゾナーマンと二人のブロッケンがいることになった。
「ゾ…ゾ、ゾ、ゾ、ゾ、ゾナ…!?」
ゾナーマンは驚きのあまりブロッケンを指さしながら声にならない声をあげた。
『ブロッケンの姿がぼやけたと思ったら二人に分身…これは幻を見ているのでしょうかーっ!?』
(幻…さぁな。しかし…オレとニンジャの特訓の日々は幻なんかじゃないぜ。)
ブロッケンの記憶は2週間前に飛んだ。
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「何だ…ニンジャ、こんな所にオレを呼び出したりして。」
「ブロッケン…まずは決勝トーナメント進出おめでとう。」
「ああ…お前には辛い結果になってしまったが…」
「いや、悔いはない。拙者もオイルマンも全力を尽くして負けた。拙者がここに呼び出したのは、お主の…手助けをするためだ。突然だが、ブロッケン…拙者とお主は似ているとは思わないか。体格も能力も…」
「そう言えば…」
二人の脳裏には黄金のマスク編で戦った時の光景がプレイバックされていた。双方互角のせめぎ合い…ニンジャの順逆自在の術を即興でブロッケンが使った事…ブロッケンの顔をコピーしたニンジャとのもつれ合い…そして決着…
「そう、パワー…スピード…格闘センス…そのいずれも拙者らは双子のように似ている。」
「確かにそうだが…いきなり、どうしたんだ?」
「うむ、ここは見てもらうのが一番早いだろう。」
ニンジャは矢庭に印を組み始めた。
「ゲーッ、こ…これは!?」
ニンジャの体が二重に映り始めた。ブロッケンはゴシゴシと目を擦ったが、錯覚ではない。確かにニンジャの体がダブっている。
「ハ…ハァ…ハァ…ハァ、ハァ…」
ニンジャが印を解くとダブりが消えた。ニンジャは汗だくになってしゃがみ込んだ。
「ニンジャ!」
ブロッケンはニンジャに駆け寄り、助け起こす。
「だ、大丈夫だ。それよりもお前にも見えたか?」
「あ…ああ… 最初は目を疑ったが…」
「この分身の術…実際に極めるにはかなりの精神力…そして集中力が必要だ。今、拙者が見せられるのはこれくらいだが…拙者と同等の能力を持つお主も…」
「ニンジャ…」
「これから決勝トーナメントが始まるまでに、この技を身に着けるのは困難を極めるだろう。だが…拙者は同様に信じている。お主が困難に打ち克つことも…!」
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(そう…これはオレとニンジャの友情の結晶なんだ!)
『あーっと、ブロッケン猛然とラッシュを開始ーっ!』
ブロッケンの攻撃は的確にゾナーマンを捉えていた。攻撃のリズムを完全に読まれてしまった上に、2人になってはどうしようもない。
「ゾ…ゾナ…」
「これで終わりだ、ジークフリート・アタック!!」
『あーっと、ブロッケン渾身の手刀、ジークフリート・アタックが炸裂ーっ!!』
「ダス・エンデ…」
「ゾ…ナ…」
呟くブロッケンと轟沈するゾナーマン。勝負がついた瞬間だった。
『あーっと、ブロッケンJr.…ゾナーマンを下して2回戦にコマを進めましたーっ!! おや…』
「ま…まだまだゾナ。」
「ゾナーマン…! お前…」
「わたしはまだ負けるわけにはいかないゾナ…」
「やめろ、お前はもうこれ以上は戦えん。峰打ちとはいってもジークフリート・アタックをマトモに食らっては…」
「ゾナーマン…」
リングサイドでテレコを持って象南波羅のリズムを流していた少女・レベッカが心配そうにリングに駆け寄っていこうとした。だが…謎の腕がそれを遮った。
「わたしは…わたしは…負けられないゾナ… 強さを…見せつけるために…」
「強さ?」
「そう、おはスタ星にいた頃…わたしは虚弱体質でなぞなぞが取り柄だけの典型的いじめられっ子だったゾナ。そんな時、いつもヒカル…ジムナスマンに助けられていたゾナ。ヒカルはみんなの人気者だったゾナ。だから…ヒカルのように強くなれば…仲間ができると思ったゾナ。しかし、今のわたしについてくるのは同情してついてきたレベッカだけ。ここで勝たなければ何も得られないゾナ!!」
「違うよ、ショータロー…もう、やめるんだ。決着はついている!」
リングサイドに現れたのはジムナスマン…先ほどレベッカを制したのも彼だったのだ。
「ヒカル…わたしは、まだまだゾナ…」
「ショータロー…お前は強いよ。本当に強くなったよ。もうお前をいじめたりする者は誰もいないさ。だけど…お前はさらに孤独になった。ボクは寂しいよ。」
「強くなれば…強くなれば…自然に人が集まってくると思っていたゾナ… しかし… ヒカルの言う通りゾナ… わたしは…どうしたらいいゾナ…」
「ショータロー……まだ、遅くないよ。」
ジムナスマンは手を差し伸べた。
「ヒカル…」
「まだボクがいるよ。それにサイキョー超人軍団の皆もいる。おはスタ小学校時代のカクタス先生だって言ってたじゃないか! 『一つ、一人じゃつまらない。二つ、ふやそう友達を…』って。」
「ヒカル、本当にわたしでも大丈夫ゾナか?」
「ああ、みんな変わり者だからショータローでもきっと馴染めるさ!」
「まったく、人のことは言えないくせに。それにしても…新メンバー加入ですか… また賑やかになりそうですね。」
そう言いながら、隣の席が空いた観客席で笑みを漏らすジョーカー。ゾナーマンがザ・サイキョー超人軍団の一員として新たなる一歩を踏み出した瞬間だった。
「ヒカル…問題ゾナ。『ヤリはヤリでも誰もが一本は持っていたいヤリってなーんだ?』」
「何だよ、いきなり。」
「答は『おもいやり』ゾナ。ヒカル、ブロッケン、ありがとうゾナ。そしてレベッカ… あれ、どこ行ったゾナか?」
(よかったね、ゾナーマン…)
レベッカは無言で拍手に包まれたスタジアムを後にした。
☆勝利より大切な物を得たゾナーマン。彼の未来は明るい…かな?
キン肉マン21
第3回超人オリンピック編
第9話
…/おわり
今度こそBブロック再開!?
あの超人が思わぬ苦戦を…
巻末言
最近の僕のマイブームはMr.Full
swing!ものすご面白い!!よーし
僕はMr.古新聞になるぞーっ!!
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