キン肉マン21
第3回超人オリンピック編
第11話 運命の足音…の巻

第3回超人オリンピック1回戦第5試合、ペンタゴンVSギャラクティカ。我を失ったギャラクティカはペンタゴンの空中殺法に苦しめられ、エアリアル・アタックでKO寸前に追い込まれる。だが、ネプチューンマンの一言で目を覚ましたギャラクティカは新パンチで逆転。ペンタゴンをはるか彼方へ吹き飛ばす。

Bリングでの試合が行われている間、Aリングでは既にAブロックの1回戦最後の試合、デッキマスターVSアシュラマンの試合が行われていた。が…

『さあ、アシュラマン…デッキマスターの体を抱え上げようとしますが…脇腹へのキックで逃れ、後ろに回って…ジャーマン・スープレックスだーっ!』

(まただ…今度こそ阿修羅バスターの体勢に入れると思ったのに…あと一瞬のところでうまくかわされてしまう。こいつ…決して強いという雰囲気はないが、何故かやりにくい…)

「キン肉マン、どうだ?」

「うむ…こんな試合展開は初めてじゃい。」

「デッキマスターはアシュラマンの大技を寸前でスルリとかわしている。しかも、一瞬でもタイミングが狂えば技にかかって大ダメージを負ってしまう際どさで… こ、これは…」

「こやつはアシュラマンがどんな攻撃を繰り出すかが分かっているようだわい…」

「そうだ… しかし、ありえない…こんなことは…」

「ふーん、よく分からんけど先生たちがそう言うのならホンマなんやろなー。」

そう、この奇妙な試合展開の見極めは生と死の狭間で命のやりとりを経験した者にしかできない。絶大なパワーを持ってはいても、超人格闘者としては駆け出しのノーティーには理解し難い領域なのだ。いや、観客として来ている超人のほとんどに理解されていないのだから、ノーティーの方が正常と言える。

『さあ、Bリングでは3試合目のキン骨マンVSバッファローマンが行われようとしております。が… おや…?』

Bリングには既にバッファローマンがリングインしているが、キン骨マンの姿は全く見あたらない。

『あーっと、キン骨マンは何処へ行ってしまったんでしょうか? 制限時間までに現れないと失格になってしまいますが、これは何かの作戦でしょうか!?』

「…まったく、作戦も何もないだわさ。」

「先生、本気なんですか?」

通路の陰でキン骨マンは唐草模様の風呂敷包みを背負っていた。その傍らには迷パートナーのイワオが控えている。どう考えても逃げる準備をしているとしか思えない。

「何と言われようが命あっての物ダネだわさ。今までは何とか残れたにしても、あんな化け物に勝てるわけないだわさ。」

「しかし、先生。怪人の市民権は!?」

「えーい、うるさい。ならお前がやれ!」

イワオは遠目でBリングにスタンバイしているバッファローマンを一目チラと見た。確かにキン骨マンの言うとおりどうやっても勝てる相手ではない。その場でガタガタと震えるしかなかった。

「怪人の市民権認定はまた別の方法を考えるだわさ。今日の所は退散だわさ。」

「…だわいな。」

怪人コンビはスタコラサッサとジオ・スタジアムを後にした。キン骨マンの不戦敗が告げられたのはそれから5分後のことだった。とりあえず勝利したが、暴れ中毒のバッファローマンは物足りなさでコーナーポストに何度も頭突きを繰り返していた。

話をAリングに戻そう。

「あー、もうイライラするで、こんな試合展開…もう帰ってメシでも食いたいわ。」

確かに技のかけそこないの応酬ばかり。ノーティーだけでなく観客にも飽きがきはじめていた。ノーティーが荷物をまとめて出ようとした時だ。

「いや待て、ノーティー…やっと決着がつくようだ。」

「デッキマスターのやつ、遂にタイミングを外しやがった。あんな試合展開、そう長く続くもんじゃないと思っとったが。これでアシュラマンの2回戦進出は決まったな。」

『あーっと! アシュラマン、デッキマスターを抱え上げると、そのまま…上空に飛び上がったーっ!』

アシュラマンは空中でデッキマスターを逆さにして膝に自分の膝を乗せた。アシュラマン必殺の稲綱落としの体勢だ!

「お前は技が掛けづらいことこの上なかったが、やっとかけさせてもらったぜ!」

「………………」

『あーっと、アシュラマンの大技がついに決まったーっ! このままキャンバスにデッキマスターを激突させれば勝利は確定的だーっ!!』

うたた寝から覚めるかのようにアナウンサーが叫ぶ。今までのダラダラとした試合展開を吹き飛ばすかのようだ。轟音を立てて落下する二人の体…キャンバスまで2メートル…1メートル…


その頃…ロッキー山脈マッキンリー山嶺…人が住むには過酷すぎるその場所にその建物が建っていた。

「やっと見つけたぜ。世界中の秘境という秘境を探し回ったが…」

「ところで、お前の方は一体どんなヤツにやられたというんだ。そろそろ話してくれないか。」

面長の超人の問いに黒ずくめの超人が答えた。

「ああ…あんな超人は初めてだ。ファイティング・コンピューターと呼ばれたオレの上をいく洞察力、そして判断力。ヤツの前にはオレの繰り出す技が全て先読みされていた。しかし、それだけでは…ヤツにはまだ秘密があるように思えてならない…」

「わたしもだ… お前がやられたのとは別のヤツだが…わたしの功夫殺法が全く役に立たなかった。あれは…一切の力…技を無効にしてしまう。全くもって恐ろしい能力だ。一体あの超人に勝てる者がいるのだろうか…」

「それも、ここを調べれば謎が解けるかも知れない…そういうことだったな。」

「多分な。あの方の予測だ。間違いは無いだろう。」

二人は、今まさにその建物に向かおうとしていたのだった。彼らの正体は…そしてその目的とは!?
☆謎が謎呼ぶ展開…そして…
キン肉マン21
第3回超人オリンピック編
第11話
…/おわり
今度こそ2回戦進出者
出揃う!? 乞うご期待!

巻末言
本家に倣って新しい字数にしてみました。ジ
ャンプフェスタに来てくれたみんな、ありが
とう! いや…言ってみたかっただけです。

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