キン肉マン21
第3回超人オリンピック編
第12話 永遠の一瞬…の巻
第3回超人オリンピックAブロック1回戦第6試合、アシュラマンVSデッキマスター。互いに大技が決まらず興を削ぐ試合展開になったが、遂にアシュラマン必殺の阿修羅稲綱落としが決まる。アシュラマンの勝利は目前…!?
『さあ、アシュラマンの稲綱落としがきまったかーっ!?』
稲綱落としがきまる瞬間、二人の体が光ったように見えた…そして…
ズガガァン…!!
『阿修羅稲綱落としが今、きまりましたーっ!! これは間違いなくKO勝ちでしょう。』
リング上では技の威力を物語るように土煙があがっていた。確かにアナウンサーが叫んだ通り、稲綱落としはきまった。KO勝ちだ。アナウンサーが言ったことに間違いはなかった。しかし…
『今、土煙が晴れました。あーっと…こ、これは!?』
「うっ!」
「何ィ!?」
「ゲーッ!!」
一同が驚いたのもムリはない。リング上では阿修羅稲綱落としが決まり、電光掲示板・ジオビジョンにはKO勝ちのシグナルが点灯していた。ただし…デッキマスターがアシュラマンに対してだが…
『我々は夢でも見ているのでしょうか。稲綱落としをきめていたのはアシュラマンでしたが…キャンバスに激突しているのはそのアシュラマン自身です。何はともあれデッキマスターの勝利です!』
デッキマスターは高々と右手を上げ、勝利をアピールする。対照的にキャンバス上で血ヘドを吐いたままのアシュラマン。命に別状はなかったが、アシュラマンは直ちにタンカで医務室へと運ばれていこうとしていた。
「おい、アシュラマン…一体何が起こったんだ!?」
次の2回戦でデッキマスターと戦うことになってしまったブロッケン。タンカに駆け寄ると係員の制止を振り切り、アシュラマンを揺り動かしながら呼びかけた。
「うう…ブロッケン。あいつは…何か危険な気がする… 今の稲綱落としもヤツに誘い込まれた感じがしてならない… いいか…気をつけろ…」
アシュラマンはそれだけ言うと、気を失った。
「アシュラマン…」
リングではデッキマスターがリングを降り際に、あるカードを片手に呟いていた。
「この戦いも予定通り…『8の逆転(リバースエイト)』でフィニッシュだ…あとはマイナーラスクが計画通りに動けば…」
観客席−ザ・サイキョー超人のジムナスマンとワイルド・ジョーカー、そしてその首領兼軍師であったキン肉アタルが座っている。
「ジョーカー、どうしたんだい。まぁ、考え事はいつもの事だけど…」
「やはりわたしの危惧は的中しましたね。」
「も、もしかして!?」
「そう。あなたもわたしたちが敗退した試合を覚えていたようですね。あの時…ジムナス・クラッチの誤爆をくらった時…わたしは決してマイナーラスクを放すタイミングを誤ったわけではなかった… あれは、体が…何かの力を受けて動かなかったのです。そして、今も…」
「稲綱落としがきまる瞬間、何か光っていたみたいだったね。」
「それだけではありません。さらにその直前、デッキマスターが怪しい手つきをしていました。これも何か関係があるでしょう。」
「フフ…二人とも、よく見ているようだ。」
「軍師…もしかして、何かご存知では!?」
「いや、わたしにもヤツの正体は掴めん。だが、徐々にそれが明らかになるかもしれん。次の試合はそういう意味ではカギとなるな。」
(そう…あの試合展開もそっくりだ…技がかけられそうでかけられない…まるで誘いこまれているような…そして必殺の瞬間に逆転され…今考えると、試合自体がヤツに支配されていたのかもしれない…だが、そんな事が本当にできるのか!?)
ジョーカーの思索はより深みにはまっていった。
『さあ、信じられない結末に場内は騒然としておりますが、先ほどのキン骨マンVSバッファローマンはキン骨マンの試合放棄でバッファローマンの勝利に終わって1回戦も残すところあと1試合になりました。』
「のうテリー、次の試合は誰と誰じゃ…?」
「ロビンと…マイナーラスク?」
「聞かん名前じゃのう…」
「そうですね、王子。彼に関しては謎が多いですね。あれ、どうしたんですかノーティー?」
「……この試合……見とかんと損するばい……」
「ばい…???」
ノーティーはこれまでにないほど観戦に集中していた。仮にノーティーとマイナーラスクが戦うとしても、それは共に決勝に進まなければならないのに… しかし、さっきまで帰りたがっていた彼とは別人のようだ。
リング上では既にロビンマスクがスタンバイしている。後はマイナーラスクの登場を待つばかりだが…
『あーっと、何やら歌が流れています。』
『♪狭い〜路地裏〜駄菓子屋に〜 埃を〜かぶって〜売っている〜 パンに砂糖を塗ったくり〜焼いただけの食べ物さ〜 ホン、トに、マイナー(3、4)、マイナーラスク〜』
何やら「タイ○ーマスク」の主題歌に似ているが、敢えてそこにはツッコまないでおこう。入場口から白い虎のマスクをかぶり、目元は白い前髪で隠れている超人が現れた。マイナーラスクである。彼はそのテーマソングの流れる中、ヒタヒタとリングに歩み寄った。そして懐から何かを出すとかじりついた。どうやらその名の通り、マイナーフード・ラスクのようだ。
『さあ…この超人に関しては、メキシコ代表という事以外は何も分かっていません。先ほどのアメリカ代表のデッキマスター同様、謎に包まれています。優勝候補の一人、ロビンマスク相手に一体どんなファイトを繰り広げるのでしょうか…』
リングインしたマイナーラスク。無言のまま、ロビンマスクと試合前の握手を交わす。思ったより紳士的な超人か…? 両者は一旦離れ、ファイティングポーズをとる。ゴングまでの一瞬…永遠とも感じ取れる一瞬…緊張が駆け抜ける…
カァン!
ゴングが鳴った。しかし…次の瞬間には!
マットの上に仰向けになっているロビンマスクとそこに覆い被さるマイナーラスクの姿があった。あっという間の出来事に、その間の過程が全く見えず…まるでその場面のフィルムをカットしたかのような錯覚さえ感じさせていた。
『1,2、3…』
AJSが3カウントを刻んだ。そしてジオビジョンには「WINNNER MINOR RUSK」というシグナルが浮かび上がった。
○一体何が起こったのか? 試合の行方は!?
キン肉マン21 第3回超人オリンピック編
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| 第12話 …/おわり
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衝撃の決着!
ロビン敗北の真相!
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巻末言
II世の食玩を集める。ミニフィギュアはどれ
もいい出来で満足。中身が分かるのはいい事
なのか悪い事なのか…ちょっと悩みドコロ。
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