キン肉マン以前
ラーメンマン−闘将、最後の戦い(中編)


「気がついたか…」

ラーメンマンが目覚めたのは日も暮れようかとする頃だった。ラーメンマンはまだ虚ろなビジョンの中で次第に実体化される像に驚いた。

「ラ…ランボー…!」

ラーメンマンを助け起こしたのは、ラーメンマンの戦友であるラーメンマン・ランボーだった。彼について説明を加えよう。ランボーはラーメンマンの爪とラーメンマンの闘気、そして…玉王の血から造られた人造人間だった。そして玉王の悪の血に従い陳老師を撃破しラーメンマンと戦うが、その戦いを通して正義に目覚めたのだ。皇帝のお守り役選抜大会参加後は再びゴビ砂漠へ修行の旅に戻っていたはずだが…

「なぜお前がこんな所に!?」

「修行の成果を試そうと総本山に手合わせしに行ったのだがな… あの通りの有様だった。陳宗明にも会ったのだが、『あいつの性格のことだから、止めてもムダだろう。せめてこれを持って行け…』とこれを渡されたのだ。」

ランボーは懐から包みを出した。

「こ…これは…」

「ラーメンマン、目覚めたか!」

「ど…どこだ!?」

突然の声に二人は辺りを見回した。確かに玉王の声がしたのである。と…次の瞬間、二人の前に玉王の姿が浮かび上がった…

「立体映像か…」

「おおっ、見ろ…ラーメンマン! あの映写機からだ。」

ランボーが指さす先には岩影に隠された立体映像専用の映写機があった。玉王はラーメンマンが目覚めるのと同時に作動されるようセットしておいたのだ。

「紫電龍の千脚萬雷を食らって気絶したようだが、このままお前を殺さなかったのには訳がある。勝つには勝ったが、紫電龍もお前の命奪崩壊拳が予想外に効いてな…ダメージが残ったままだ。そこで…お前の持つ昇龍胴着を持ってこい。ダメージをたちどころに回復する胴着のメカニズムを解析すれば、改造拳士用の最高級戦闘服が大量生産できる。イヤとは言わさんぞ。こいつがいる限りな…」

玉王は鋼鉄の手で気絶したままのシューマイの頭を鷲掴みにして差し出した。

「シューマイ!」

「落ち着け、ラーメンマン! これは明らかにワナだ。」

「し…しかし…!!」

「やむを得ん!」

ドガァッ…!!

我を失ったラーメンマンをランボーが殴りつけた。

「ラ…ランボー…」

「すまない…こうでもしないとお前は何も考えずに行ってしまうだろう。だが、考えてもみろ…あの玉王が胴着を渡したところで素直にシューマイを返すと思うか…」

ハッと我に返るラーメンマン。

「ランボー…謝るのはわたしの方だ。しかし、わたしはこの胴着をヤツの所に送り届けなければならない。」

ラーメンマンは持っていた包みの中身を空に投げ上げた。それは空中で広がり、同時にジャンプしたラーメンマンに覆い被さった。

「だが、この胴着を渡す時は…わたしが倒れた時だ!!」

昇龍胴着を装着し、すっかり戦闘態勢が整った。

「ラーメンマン、オレも助太刀させてもらうぜ。」

「ランボー…お前の気持ちは有り難いが、これはわたしの問題だ。お前まで巻き込むわけには…」

「何を言ってるラーメンマン、水くさいぜ! お前とオレは元々一心同体だ。それとも…オレがこんな状況を見せつけられて黙ってられるほどの腰抜けだと侮るか!」

ランボーはポンとラーメンマンの肩に手を置いた。ラーメンマンには、これ以上頼もしい手はないほど感じられた。

「さあ、行こうぜラーメンマン。そして玉王のヤロウを片付けたら、今度はオレとの勝負だ。」

「ああ。」

ガッ、ガッ!

ラーメンマンとランボーは互いに拳をぶつけ合った。

(そうだ…そうだったな… 何もわたしが気負う必要はなかったのに…)

いつしか、玉王の立体映像は消えていた。

「だが、行こうにも肝心の玉王のアジトが分からんと手の打ちようがないな。」

勇んではみたが、ランボーは現実に引き戻され途方に暮れる。

「それなら心配ないだろう。この血の痕を追っていけばいい。おそらくこれはわたしが命奪崩壊拳を紫電龍に打ち込んだ時にヤツが負った傷からのものだ。」

「なるほど、そうか。これを追っていけば…」

二人は既に闇の広がる荒野の中に飛び出していった。

あとがき

ごめんなさいーっ! いきなりアヤマってますが、話の区切りが悪くて中編になっちまいました。今月中には完結となる後編をアップできるようにします。大して期待せずに待て!
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