【四 診】
中医における診察法で望診・聞診・問診・切診の4つをいう。中医、日本漢方、西洋医学を問わず診察という行為の基本的なものだ。これに医療機器による検査を加え五診と言ってもよいが、薬局レベルでは望・聞・問までが限度である。まず診察という言葉を使ってはならない。診察は医師の専権事項であり、薬局又は治療家は相談という控えめな言葉を使用する。鍼灸師などボディーワーク系の治療家は体に触れる事が許されるので、資格を得て脈診、腹診を行う薬局もある。逆に鍼灸師が医薬品販売の許可を得て鍼灸と漢方薬の治療にあたることもある。「望・聞・問・切」いずれに偏ることなく、すべての情報を総合的に分析し、正確な弁証を行うことは言うまでもない。しかし、実際は得意不得意、治療家の感性や性格が反映し、バイアスが生じることは避けられない。 ...................................................................................................... 視覚による診察法で、患者の全身、局所、分泌・排泄物などから病状を捉える。精神・意識状態、色沢、形態などを見る。なかでも舌を観察する舌診が重要な意味を持つ。 (1)精神・意識 |
得 神 | 精神状態良好、意識晴明、目に力と輝きがあり言語明瞭で力がある。 正気が衰えておらず病状は軽く予後良好。 |
失 神 | 精神状態委縮、顔色不良、無欲無気力、目に光なく、言語不明瞭で 力なし。正気が衰弱し病状重く、予後不良。危急の症状がなくても 注意が必要。さらにすすむと、言語錯乱、意識障害、昏迷などの危急 状態に陥る。 |
仮 神 | もともと口数が少なく、音声も低く途切れがちだった人が、急に多弁 になったり、顔色不良の人の両頬が紅潮するなど、病状不一致の 変化は急変・悪化の症候なので注意を要する。 |
(2)形態・動態 発育・栄養状態良好、皮膚にうるおいがあり血色がよいのは、体質が強壮で、発育・栄養状態不良で皮膚につやがなく血色が悪いのは身体虚弱。肥満気味で色白、皮膚はきめ細かく筋肉が柔らかいが元気が不足し、息切れや多汗は気虚・陰虚が多く、痰飲や湿盛を伴う。痩せて皮膚の色が悪くつやがなく乾燥しているのは血虚・陰虚が多い。普通に活動ができるのは病状軽く、自力で活動や体位変換が出来ないのは極度の衰弱である。 |
熱証・実証 | 横になっても手足を動かし、布団・衣服をはぎ、イライラ、多弁 ・不安状態。 |
寒証・虚証 | 暗い方向に向い体を縮めて寝る、口数少、布団・衣服を重ね 体位を変えにくい。 |
肝風内動 | 舌・手指の震え、頭の揺れ、口唇・顔面・四肢の筋肉がピク ピク収縮。 |
肝陽化風 (血虚生風) |
微力で力のない痙攣をいい、高熱で激しい痙攣は熱極生風 という。 |
亡 陽 | 無欲状態で冷汗、顔面蒼白。 |
(3)色 沢 色つやをいい、とくに顔面を重視し、全身や手指の皮膚や指紋も観察する。 |
顔 色 |
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白 色 | 顔面蒼白で浮腫があれば陽虚・気虚。痩せてつやのないものは 血虚。突然顔色蒼白になり冷汗が出るのは亡陽のショック。 悪寒・頭痛・腹痛を伴えば表寒や裏実証。 |
青紫色 | 小児の熱性痙攣やてんかん発作で起りやすい。風寒の頭痛や 裏寒の腹痛で顔面蒼白になる。顔色青く口唇が青紫は血於。 |
紅 色 | 顔面紅く目が充血するのは表熱・心火旺・肝火旺。顔面紅潮し 多汗・口渇・便秘をともなうのは裏実熱。顔に艶がなく午後に 両頬が紅潮するのは陰虚火旺の虚熱。 |
黄 色 | 眼や全身の皮膚の黄染は黄疸で、鮮明な黄色は湿熱による 陽黄、黒ずんだ黄色は寒湿による陰黄。皮膚がかすかに黄色 でカサカサ又はむくみ、口唇蒼白で眼に黄染がないのは気血 両虚や寄生虫による脾胃の損傷によるもので萎黄。 |
黒 色 | 慢性病による腎虚や陳旧性血於では顔色がどす黒く、又は紫黒 色を呈する。 |
皮 膚 |
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斑・疹 | 皮下出血・発疹を斑・疹といい、営分・血分に入った熱邪を、正気が 体表部に駆出していることを示す。斑・疹が多数出るの病邪の勢 い強く、出ないのは病邪が身体内部に籠っている。斑疹の色沢は 紅潤が良く、どす黒いのは予後が悪い。反復し出現する紫紅色の 皮下出血は脾不統血又は気虚血於。 |
白バイ | 白色の小水疱で汗とともに出現する。湿熱によって生じ、邪を駆出 できたことを示す。透き通ったものが良く、白色不透明で液のない ものは津液が消耗し予後が悪い。 |
血 管 | 腹壁静脈の怒脹、下肢静脈瘤、糸状血管、くも状血管などは血於。 |
皮 膚 | 乾燥し粗造で光沢がなく、又は魚鱗状を呈するのは陳旧性血於。 |
指 紋:3歳以下の小児のみに行われ、人差し指を数回擦り、静脈血管の |
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薄 色 | 淡紫色が正常で、薄いのは虚証、寒証。 |
紫 紅 | 熱証 |
青 色 | 風寒、疼痛、熱性痙攣。 |
黒 色 | 血於 |
(4)舌 診 中医学では舌診を重視し、舌体と舌苔の観察により、陰液と陽気の状態、病邪の深浅、病状の進退、疾病の寒熱などを診断する。外感病や脾胃の疾病では舌象に変化が現れることが多く、弁証の拠り所となるが舌象がアテにならない疾患もあるので四診合算して検討する。
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舌 質 |
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形態 | 胖 大 | 舌体大きく腫れぼったい:淡白色・湿潤は気虚・陽虚。淡紅色・舌苔膩 は湿盛。紅色で腫れて痛むのは胃熱・心熱。 |
痩へつ | 舌体薄く痩せている:淡白色は気陰両虚・陰陽両虚。紅色〜深紅色 は熱盛傷津。 |
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点 刺 | 舌尖・舌辺に見られる紅色の点又はとげ状の隆起:熱盛 | |
列 紋 | 様々な方向へ伸びる溝:乾燥したものは津液不足。乾燥した深紅色 は熱盛傷津・陰虚火旺。 |
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光 滑 | 光舌・鏡面舌、舌苔がなく舌面が平滑・乾燥・光沢:淡紅色は気陰 両虚。深紅色は肝風内動。 |
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運動 | 強 硬 | 舌の運動が悪くろれつが回らない:淡紅色・膩舌苔は痰迷心竅。 深紅色は肝風内動・熱盛傷津。 |
萎 軟 | 舌が弛緩し運動無力:淡白色は気血両虚。紅色〜深紅色は熱盛傷 津。陰虚火旺。 |
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顫 動 | 舌が震顫(しんせん)する:紅色〜深紅色は肝陽上亢・熱極生風。 淡白色は気虚。 |
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短 縮 | 舌体が短縮し口外へ出せない:淡白色で湿潤は寒盛・陽虚。 深紅色で乾燥は熱盛傷津・肝陽化風・熱極生風。 |
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弄 舌 | 口腔内で絶えず舌を動かしたり、唇を舐める:心熱・胃熱 | |
色沢 | 淡白色 | 胖大でないのは気虚・血虚。胖大で柔らかいのは陽虚。 |
紅 色 | 鮮紅色は熱盛。暗紅色は陰虚。 | |
紫 色 | 紅紫色で乾燥したものは血於で熱盛。青紫色で湿潤したものは 血於で陽虚・気虚・寒盛。 |
舌 苔 |
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質 | 有 根 | 舌苔が舌体にしっかり付着し一体化している:実熱・熱証 |
無 根 | 舌苔厚く容易に剥離できる:虚証・寒証 | |
薄 苔 | 舌苔が薄い:病邪衰退 | |
厚 苔 | 舌苔が厚い:病邪盛・正気強 | |
滑 苔 | 舌苔の湿潤度が強く、透明〜半透明の液で覆われている:湿痰・寒痰 | |
乾 苔 | 乾燥した舌苔で、触れてざらざらするのは造苔:熱盛 | |
類乾苔 | 乾燥して見えるが触れると湿潤:湿熱・痰飲 | |
裂紋苔 | 舌苔に亀裂:津液不足 | |
腐 苔 | 豆腐のおから状で厚い:熱証(食積・湿熱・胃陰虚) | |
膩 苔 | 舌苔厚く、粘稠な物質で覆われ顆粒が消失:湿・痰・食積 | |
剥 苔 | 舌苔の一部が剥離し、跡が光滑で無苔:陰虚・胃気虚 | |
色沢 | 白 色 | 薄苔で湿潤は表寒又は正常。薄苔で乾燥し舌質やや紅は表熱。 滑苔で薄いものは表寒・陽虚。滑苔で厚いものは寒湿・寒痰・食積。 乾苔で薄いものは寒邪化熱・外燥・表熱・津液不足。乾苔で厚いも のは湿邪の化燥。乾苔で積粉苔は湿鬱熱伏。厚膩の舌苔は痰湿。 裂紋・造苔は津液不足。半戴(苔有と苔無に分離)は陰虚。 |
黄 色 | 微黄で薄いのは寒邪の化熱。乾苔で薄いものは熱邪傷津。乾苔で 厚いものは熱盛。深黄・黄黒で乾燥したものは裏実熱。膩苔は湿熱 |
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黒 色 | 灰黒で薄い滑苔は陽虚・寒湿。灰黒〜黒の滑膩苔は寒湿。乾燥し ざらざら、舌質が紅〜深紅は湿熱・熱盛傷津。 |
舌象の変化はすべて淡紅舌・薄白苔から始まり、外感病の表寒では変化はないが、進行すると白苔が厚くなる。寒邪が化熱すると黄色に変化し、裏熱では黄乾苔・紅舌となる。湿・痰・食積が加わると黄膩苔が生じ進行すると黒苔となり舌質も深紅を呈する。風熱では舌尖・舌辺が紅色を呈し、比較的早期に紅〜深紅色へと移行する。熱邪が強まると舌苔が黄乾苔・黄黒苔・黄造苔・黄裂紋苔に変化する。燥邪では薄白乾苔が現れ、津液を消耗すると白乾苔〜黄苔が生じる。湿邪の寒湿では厚白滑苔、湿熱では黄滑苔が見られ食積を伴えば黄膩苔となる。湿熱のばあいは熱証であっても舌苔は湿潤しているが、熱邪で津液が消耗すると類乾苔を生じる。 血虚の舌質は淡紅で、陰虚の初期は少し紅舌を呈するが津液が消耗し虚熱が生じると紅舌〜深紅舌に変化する。陰虚が長期に続き程度が強くなると深紅舌・光滑舌となり、部分から全舌へ及び鏡面舌を呈する。痰・湿・食積を伴えば舌の中央が紅色〜深紅色無苔で、周辺に白苔、舌根部は紅色〜深紅色無苔で舌尖部に白苔・半戴白苔などの舌象が出現する。 気虚・陽虚では淡白舌胖大で舌苔は薄白苔や淡黄乾苔が見られ、湿痰を伴えば滑苔となる。寒証が強まると淡白舌から青白舌に変わり、白苔から黒苔へ変化する。 |
(5)顔面・頭部の形態と色沢
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(6)分泌物・排泄物
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聴覚・嗅覚による診察法。 (1)音声
(2)臭気
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質問することで、疾病の発生・経過などの情報を得て診断したり、治療の効果を検討する。望診・聞診・切診は治療家による客観的な症候の把握になるが、問診は患者の主観的な愁訴や思考・感覚が反映する。検査機器のなかった時代に成立した医療なので、患者の訴える症状は弁証に際して大きな部分を占める。しかし、患者の訴えと治療家の知りたい情報とは齟齬が生じやすく、時間の制約のなかで苦慮することもしばしばだ。慣れると、雑談の中からも様々な情報を得ることができる。問診は会話の成り立たない患者では難しい。可能な場合でも患者と治療家の個性や感情が絡むので錯誤が生じやすく、そのまま見当違いの弁証に至ることもある。にもかかわらず、治ったり愁訴が改善することがあるので自然治癒力やプラシーボ効果の存在は否定できない。 (1)家族歴 (2)既往歴
(3)現病歴 (4)主訴 (5)自覚症(現症)
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触覚による診察法で、患者に触れることで病状を把握する。中医では脈診を重視し、日本漢方の古方派は腹診を重視する。 (1)脈診
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左 |
右 |
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寸 脈 | 横隔膜より上の疾病 | 心 |
肺 |
間 脈 | 横隔膜から臍部までの疾病 | 肝・胆 | 脾・胃 |
尺 脈 | 臍以下の疾病 | 腎・膀胱 |
脈診して感じられる脈拍の形象を脈象といい、数・拍動力の強弱・形の大小・リズム・血流の状況・拍動の長短などがある。正常脈を平脈ともいい、一息で4、毎分60〜75くらいでゆったりとして規則正しい。平脈は3つの特徴がある。「有神」ゆったりして力がある。「有胃」胃気があるともいい浮・沈・数・遅のいずれでもなく、ひとつひとつの脈拍が平均して規則的なリズムを示す。「有根」沈取しても一定の力があり、又は尺脈が充分有力である。このほか年齢・性別・体格・体質などでやや変化が見られる。小児は軟で速く、女性は男性より軟でやや速く、肥えた人はやや細で沈、痩せた人はやや大、スポーツマンは緩、妊婦は滑でやや数などいずれも正常範囲の変動である。平脈でないものを病脈といい、脈位の深浅・脈拍の遅速・拍動の強弱・脈の大小長短・脈拍の形状・リズムなどに基づいて28種の脈象に分類される。ある中医の話によれば臨床で診る脈は常見脈といい、浮・沈・遅・数・弦・細・滑・洪・微・促・結・代の12種くらいになる。 |
脈位の深浅 |
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浮 | 浮取で力があり、中取・沈取で弱くなる | 表証 |
沈 | 浮取・中取では触れず、沈取して触れる | 裏証(肝気鬱結・気滞血於でも見られる) |
脈拍の遅数 |
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遅 | 一息3以下、一分間50前後 | 寒証(実寒・虚寒) |
数 | 一息6以上、一分間90以上 | 熱証(実熱・虚熱) |
脈拍の強弱 |
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虚 | 無力・浮取で触れ、強く押さえるほど 減弱。脈形大 |
虚証(無力脈の総称) |
実 | 有力・浮中沈取すべて充実 | 実証(有力脈の総称) |
脈の大小(細) |
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大 | 脈形がゆったりと大きい | 大で有力は邪盛、大で無力は虚証 |
細 | 軟らかい、脈形が細い | 気血不足・陰陽両虚・血虚・陰虚 |
脈の長短 |
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長 | 脈形が長い | 熱証・実証(長脈だけの時は正常) |
短 | 脈形が短い | 気血不足・痰・気滞 |
脈形の変化 |
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滑 | 去来早く、なめらかで盆に球を転がす ような触感 |
痰飲・食積・実熱・妊娠時にも見られる |
渋 | 脈拍なめらかで長く、小刀で竹を削る ような触感 |
血虚・血於 |
弦 | やや有力、脈形長くまっすぐで琴の弦 を押さえるような触感 |
肝胆の疾病・疼痛・痰飲 |
脈拍のリズム |
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促 | 一息6以上、一分間90以上、脈拍が 不規則に欠落する |
実熱に気滞・血於・痰飲を伴う |
結 | 一息4以下、一分間60以下、脈拍が 不規則に欠落する |
心気虚に気滞・血於・痰飲を伴う |
代 | 脈拍が規則的に欠落する | 心気虚 |
合併した脈象 |
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緩 | 一息3以上4以下、一分間50〜60 やや無力・大でも細でもない |
実熱あるいは虚寒(一般に平脈をあら わす) |
洪 | 実脈と大脈を兼ねる、来盛去衰 | 裏実熱 |
微 | 非常に弱い、非常に細く、あるなしが 明確でない |
陽虚 |
緊 | 一息6以上、一分間90以上、有力、弦・ 数・有力なもので、脈が左右に揺れる |
寒証・疼痛 |
濡 | やや弱い、浮・軟・細 | 気血不足・湿証 |
弱 | 無力、沈・軟・細 | 陽気不足 |
革 | 浮取で弦硬、沈取で中空 | 気虚・腎精不足(孔脈とほぼ同じ) |
牢 | 沈取で有力、浮中取で触れず、沈取で 弦・大・長 |
頑固な疾病(沈弦・沈実) |
動 | 一息6以上、一分間90以上、滑・数・短 で、豆のような形 |
疼痛・高熱・妊娠 |
伏 | 沈脈よりさらに沈 | 激痛・邪盛・亡陽 |
散 | 弱い、浮大で中取・沈取ともに空虚 | 心腎陽虚・亡陽 |
孔 | 弱い、浮大で中取で空虚、沈取でやや 触れる、葱の管を押さえるような触感 |
失血・津液の消耗 |
脈診は重視するが絶対のものではない。疾病によっては、脈象に現れないものや、仮象が見られることがあるので四診を十分検討し脈象の捨拾を決定する。脈証と症候が合致しないのは「一方が真象でもう一方が仮象」、「両方真象で、疾病が虚実挟雑」の2通りが考えられる。たとえば、腹痛・圧痛強・便秘・舌苔は黄厚乾で胃腸実熱の症候が見られるとき脈が遅細で虚寒を呈するなら、この脈は炎症性疼痛による迷走神経緊張や表在血管の反射性収縮によるもので、実際の病理現象とは逆で仮象と考えられる。このときは「脈捨従証」で実熱を瀉下によって除く。逆に脈沈数・裏熱を呈し、四肢の冷えなど虚寒の症状があれば「捨証従脈」で対処する。疾病の虚実挟雑の例では、腹水で邪実・脈微弱無力・虚証を呈するとき、正気の虚とそれに伴って生じた邪実とが虚実挟雑でいずれも真象と考えられる。このとき四診合算し邪実と正虚の軽重を判断し「捨脈従証」で先攻後補か「捨証従脈」で先補後攻するが、一般的には攻補兼施の方法をとる。 (2)触診
...................................................................................................... 「患者の訴えに細大漏らさず耳を傾け、あらゆる情報を合算し診断・治療を行う」とは言え、細大漏らさず耳を傾けていると時間もかかり、得た情報は肥大化し、迷いや錯誤をもたらすことがある。治療家が経験と学習で得たパターンに則り効率よく行うのが現実であろう。漢方は古代の医療技術であり、当時は四診で得た情報を最大限生かすことが治療に直結した。冒頭で医療機器の検査を加えて五診と書いたが、現代の漢方診療において西洋医学的診断は不可欠のものだ。患者側も西洋医学の知識が基本にあるため、気血水・陰陽虚実の説明は説得力に乏しい。可能な限り西洋医学の知識に翻訳することが求められる。 |