【今月のコラム】


【どくだみ】

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医者のデマ 近藤 誠 (株)エクスナレッジ 

新型コロナウイルスによる未曽有の危機に直面し、専門家、一般を問わず様々な情報が飛び交う。ついに「デマに惑わされるな」という警告が発せられた。医者や研究者など専門家が発信するものは説得力があり、ことによると医療は「説得」で動いているのかもしれない。

ちまたには「医者がすすめる」「名医が太鼓判」とPRする健康法、治療法があふれています。「これをやったら健康になる」「これで病気を防げる、治せる、長生きできる」....その9割はデマで、多くの人を苦しめたり早死にさせたりしています。

健康法のデマよりひどいのが病気の治療で、「脅し」が加わる。著者は医療業界の「あおり運転」だという。世界中の医学論文を読み込むと、成人病の9割は白髪と同じく老化現象であって、防止も治療も無理だ。本書は氷山の一角として、医者たちがいいふらす52項目のデマが書かれていた。さらにその一角を紹介する。最後の章は近藤先生推奨のホントの話も10数項目あった。

※体温を上げると健康になる

免疫学者・安保徹氏の「低体温は万病のもと、体温を上げるには入浴が最適で、体がポカポカすると免疫力が上がる」との説だ。がんの温熱療法というのもあり、1980〜90年代半ばまで脚光を浴びたが、理論は確立しておらず導入する病院も学会の会員数も減っている。実は体温が高い人ほど死亡リスクが高まり、平熱35℃台の人たちが死亡率は最も低い。0.149℃体温が上がるごとに年間死亡率が8.4%増加する。温泉好き、風呂好きは、嗜好が長生きに通じるならと温泉巡りや長風呂で体温を上げようとする。1時間毎に温泉につかる、皮膚が赤らむほど熱い湯につかる。どれもこれも結構なことと思いきや、風呂での年間死者数は19000人で交通事故死者数の5倍以上だ。とりわけ長生きへの欲求が強い高齢者が危ない。シャワー文化の欧米では入浴中の死者は10万人中1〜2名だ。消費者庁のアンケートでは42℃以上の高温入浴派が4割、10分以上つかる人が3割、高温浴は熱中症のリスクに加え血液を凝固させる血小板が活性化する。発汗で体内の水分も減っているので、それが心臓や循環器系などの事故を引き起こす。風呂は41℃以下、10分までと心得るべし。

※ストレスとがんは無関係

がんではない男女11万6056人のストレス状況を詳しく調べた後、12年間追跡したところ、大腸がん522人、肺がん374人、乳がん1010人、前立腺がん865人の発症がみられ、いずれもストレスの多少とは関係が認められなかった。かつてドイツの心理学者が「がんのリスクはタバコよりストレスの方が絶大」と言ったことが世界中に広まった。この学者はタバコ産業から莫大な寄付金を受け取っていた。がんは正常遺伝子に傷がつき突然変異して生じるもので、日光、放射線、排気ガス、タバコなど様々な物質が関与する。いつ発症するかは運命だ。原因をストレスに帰するのは医者のみならず各種治療家にもみられ、説明困難な逃げの方便でもある。「きちんと薬を飲まなかったからだ」、「なぜ、こうなるまで放っておいたのだ」、「食事の摂り方が間違っている」、「運動不足だ」などの口上はあまた聞かされる。祈祷師にお伺いを立てると「先祖の霊」、「水子の供養」などと御宣託を垂れるが、これと本質は変わらない。

※漢方薬はおやめなさい。効能も副作用も不明です

自然由来だからと無批判に穏かで安全と思い込む。医薬品中、漢方薬のシェアは1%に過ぎないが、過去5年間に報告された1220件の重篤な副作用のうち風邪薬404件、解熱剤系234件、漢方薬系123件と副作用の発生率は高い。副作用も不明だが、薬理作用はさらに不明で、「いままで使ってきたから多分効くし安全だろう」くらいの理由で利用するのが現状だ。漢方薬の科学データは山ほどあるが、治療における比較試験など証拠となるデータはない。痛いアドバイスだが、仕事では、たくさんある漢方薬や生薬のなかのいくつかは「多分効くだろうし安全だろう」といった信仰にすがっている。

※「糖質制限」を続けると深刻な病気や、早死にのリスクが高まる

クスリの使用に警鐘を鳴らしてきた浜六郎氏の本はコラムで何度も取り上げた。ところが、ある日唐突に糖質制限食を唱えるようになった。それ以来、氏の著書は手にしていない。専門家でさえとり憑かれ妄信もする。それを知識と権威を駆使して説得し、本にまで書く。まったく以て始末に負えない。2019年11月24日放送のNHKスペシャルで、米シモンズ大学教授のテレサ・ファン博士が「糖質抜き」ダイエットに警鐘を鳴らして大きな反響をよんだ。同大学チームは13万人の食生活と健康状態を20年以上追跡した。総カロリーの60%を糖質で摂る人に比べ、糖質が35%の人は死亡率が1.3倍以上になった。石器時代から人類の栄養源は糖質だった。糖質を抜くと、ブドウ糖しか利用できない脳がまず悲鳴を上げる。体が無理をして脂肪やタンパク質からブドウ糖を供給しようとするため、有害物質のケトン体が生じ体を痛めつける。しかし、まったく逆の発想をする専門家も珍しくない、驚くことに「ケトン体が人類を救う」とまで豪語する本もある。専門家と称する人々は影響力も大きく、言われたとおり実践する信者が存在するから厄介だ。これとは逆に、糖質は重要だからと胚芽の栄養まで摂れる玄米がいい、という人もいる。たいがい菜食とセットでの食事療法が多い。「栄養を減らしがんを兵糧攻めにする」という理屈もあるが、栄養が不足すると正常細胞のほうが先にやられ、体力も抵抗力も落ちてしまう。がん患者の8割は栄養障害による感染症で死んでいる。肉、魚、牛乳、卵などを糖質とのバランスを考えながら摂るべきである。

※減塩で体内バランスが狂う。1日10〜15gが最も長生き

減塩、体重減らせも医者や治療家の逃げの方便の一つで、治らない患者に責任を転嫁する。権威ある医学誌「ニューイングランド・ジャーナルの報告によると、塩分を1日10〜15g摂る人たちが最も長寿で、それより減るほど心筋梗塞などに罹りやすく、死亡率も上がる。水と塩が共同で心臓の拍動を支え命を守っている。どちらが欠けても脱水、めまい、精神障害、腎不全、昏睡、最悪の場合は死に至る。塩を摂りすぎても尿として出ていき必要な分は残る。1g、2g単位の苦行を強いられる人には朗報だ。

※職場検診も、胃がん・肺がんの集団検診も欧米には存在しない

1980年代、チェコスロバキアで肺がん検診の比較試験が行われた。喫煙男性6300人を2群に分け、肺がん検診を年に2回受ける組と受けない組で3年間追跡した。3年後、肺がんの発生、肺がん死亡数、総死亡数とも検診を受けた組が2割以上も多かった。アメリカで行われた同様の試験でも同じ結果が出ている。日本の検診は「毎年検査して早期発見すれば寿命が延びる」との思いつきで広まったが根拠はない。健康なのに、医者から異常を見つけ出され、手術や投薬で不調になる人が激増している。

※ボケ(認知症)、うつ病、骨粗しょう症のクスリで身も心も折れる

認知症の患者が、2025年には約700万人、予備軍も含め約1300万人になると厚生労働省は推計している。65歳以上の3人に1人がボケか半ボケということだ。それに伴いアリセプト、メマリーなど4つの認知症治療薬の市場規模も2000億円になる。しかし脳細胞が老化して働きが衰えたものをクスリでは治せない。フランスでは4つのクスリとも「有効性に乏しい」として公的保険の対象外だ。衰えた脳がクスリで鼓舞され徘徊、妄想、わめく、暴れる、歩行困難など深刻な副作用を引き起こす。うつ病のクスリは脳内のセロトニンが増加し眠気や自殺衝動を引き起こす。骨粗しょう薬はカルシウムが増えても骨は脆弱になり、顎の骨が腐ったり、大腿骨中央部で骨折が起こったりする。

※早く切らないと大変なことに

本当にあった話だ。甲状腺腫である病院を受診したところ「3か月後には大変なことになる」と医師に脅された。「手術受けます」と答えたところ「それでは6か月後に手術しましょう」との事。大きい病院は若手医者を集めるために運営上、手術件数を増やす必要がある。明らかな良性腫瘍でも「放っておくと大変なことになる」と手術へ誘導する。そのうえ予防のためとしてリンパ節も同時に切除する。欧米では「リンパ節切除は無意味・有害」として行わない。リンパ節切除群のほうががん死亡数も総死亡数も多い。

※副作用の少ない、いい抗がん剤がありますよ

副作用の少ない抗がん剤などこの世に存在しない。昔ながらの抗がん剤も新薬も「細胞毒」だが併用される副作用止めが進歩している。おかげで吐き気が少なく、ステロイド剤でだるさや食欲不振も激減した。ところが副作用を感じないだけで毒性はあるので死者数が増えている。以前は副作用の苦しさから患者さんが根をあげたが、いまは副作用止めに騙され蓄積した毒性で突然命を奪われる。

※手洗い、うがい、マスク、ワクチン、クスリ、すべて風邪・インフルエンザに無力

だから「免疫力をきたえて自分で治そう」という話だ。風邪、インフルエンザのウイルスは1mmの1万分の1と極小のため、どんなマスクもすり抜け肺に入る。手洗い消毒でも、その手でなにかに触った瞬間、ウイルスが付着する。うがいも無意味で欧米では行われていない。ワクチンやクスリで防いだり治す効果はない。もっともなことだが、新型コロナウイルスに翻弄されるいま、インフルエンザや風邪と同様の対策でよいのか疑問だ。いままで欧米の人々がマスクをしないとは聞いていたが、現在テレビ報道で見る限り全世界の人々がマスク着用を励行し、手洗い、うがい、人との距離をとるなど努めている。テレビで流される飛沫の映像は誰もが一度ならず見たであろう。特殊な撮影法で飛沫の動きが確認できる。ウイルスが空気感染するなら無意味かも知れないが、新型コロナは飛沫と接触によって感染する。咳やくしゃみによってたちまち部屋中に広がり漂うのを防ぐため、マスクは有効だ。接触を避けるための宴会や集会の自粛も理に叶う。それを納得しているからこそ世界中の人々はマスクを着用し、手洗いをし人との接触を避ける。この項目で比較試験は紹介されていないが、調べてみると、マスク、ゴーグルなどを着用すれば、しない人に比べ70〜80%の予防効果があった。注意をしていても感染は起こるが、その結果を捉えて無力とはいえず、医療スタッフの防護服やマスク姿を否定できない。もっと有効な方法が出てくるまでは最高の対策であろう。いまはマスクがエチケットの域まで広がり、人と対するうえでの標準装備となった。飛沫の映像は少なからず衝撃を受けた。宴会で寄り添って酌をしつつ語る、話は白熱し食べもののカスも唾も飛んできた。料理を作る人も運ぶ人も今まではマスクなしだった。イベントの出店ではむき出しの料理や食品が並び素手で試食もした。コロナが終息したとしても、以前のようには戻らないだろう。インフルエンザも飛沫と接触により感染する。現在のコロナ対策が継続されれば、この冬のインフルエンザは激減するかも知れない。手洗い、うがい、マスク、無力という説が検証される。

 

 
 

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