【今月のコラム】


【あんず】

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医者の大罪 近藤誠著 SB新書 -その2-

高血圧、糖尿病、高コレステロール血症など生活習慣病の話は繰り返し紹介したので省略するが、「健康常識の大罪」という章からいくつかを取り上げた。

ピロリ菌除菌も、健康人を対象とした「公共事業」であるわけです。--総死亡数が増えるのも、事業の執行上のやむをえない犠牲なのでしょう。

ピロリ菌は胃の中に住む細菌で、世界人口の50%以上がピロリ菌に感染しているという。業界にとって垂涎の市場ともいえる。胃がんの患者にピロリ菌感染者が多かったことから胃がんの原因とされているが、そのころの胃がん死亡数は一貫して減少していた。日本は検査でピロリ菌を見つけ出し、胃がん予防の除菌キャンペーンをおこない、2000年11月に除菌療法が保険適用された。多くの人がピロリ除菌を受けているが、除菌の効果を調べる比較試験では除菌グループのほうが総死亡数が増えることが分かっている。中国で実施された比較試験では非除菌群の総死亡数が142人に対し、ピロリ除菌群では157人。韓国で実施された比較試験では非除菌群の総死亡数が6人に対し、ピロリ除菌群では11人。総死亡数が増えた原因はピロリ除菌による胃がん減少効果が弱いか無いか、それと除菌に用いた抗菌剤のクスリの副作用で死亡したことが考えられる。除菌が成功しても胃がんになることがあるため、医師から半年に一度の内視鏡検査が言い渡される。もう一つピロリ除菌に成功すると胃液分泌が増え、逆流性食道炎を起こすことがあり、食道粘膜が障害され食道がんが増える。胃がん死亡が減ったという報告は、食道がん死亡数も調べ総数で判断する必要がある。わざと転んでタダでは起きないという話だ。

世界有数の長寿国であり、健康人の多い日本では、以下で述べるように不要・危険なワクチンも少なくないため、現行ワクチンの全部が必要ということはありえない。そもそも高齢者は、ワクチンがほとんどない時代を生きてきたから今があるのです。

インフルエンザワクチンは毎年5000万本が打たれ、高齢者には肺炎球菌ワクチンを打つ。子供は乳児から就学時まで40本近くを打つことになる。ワクチンを打つかどうかは自由とされているが、死亡や障害が起こっても国や医師は責任を取らない。

肺炎球菌ワクチン:肺炎で亡くなる高齢者が増えたため必要を感じる人も多いが、死亡につながる肺炎の大半は、脳卒中の後遺症やボケなどで食事がうまく摂れずに起こる誤嚥性肺炎だ。介護施設入所者を対象とした比較試験では、ワクチン接種により総死亡数が増えた。非接種者で80人の死亡に対して、接種者は89人と多く、ワクチンは無効というより有害である。

BCGワクチン:日本で新たに発症する結核は激減し、子供の結核はゼロに近い。BCGを行っていた国もほとんどが廃止し、先進国では日本だけが続けている。接種には生きているウシ結核菌を用いるため、乳児にウシ結核が発症し、その数は乳児結核の数を超える恐れがある。これと似ているのが獣医の生活保護のための狂犬病ワクチンだ。1957年を最後に狂犬病の発生はなくなり、予防接種を止めた国もあるが日本はいまだに続けている。このため年間、数十頭の犬が副作用で死亡する。

ワクチンの副作用が疑われても、専門家からなる厚労省の審議会では努めて副作用と認定しない。「因果関係不明」で済ましてしまう。厚労省は将来の天下り先となるワクチンを製造する製薬会社におもねり、医師はワクチン接種で手間賃を稼ぐ、いわゆる公共事業として実施されている。

狩猟採集をおこない、「雑食」が基本だった人類は、なにか特定のものを過剰に摂ることには慣れていない。そのため摂りすぎると副作用が出る。

月に数人くらい、本や広告記事を片手に薬局を訪れる客がいる。時間の無駄だと邪険には扱えないので、取り扱いのないことを穏便に伝える。いままで知られなかった植物や食品を万病に効いたとの体験談で薬効を暗示させ、広告は科学用語で体裁を整える。サンプル進呈、初回500円などとまき餌で釣り、喰らいついたら半年、一年飲まねば効かないといい大量購入を促す。もうこれだけで健康とは無縁のマネービジネスであることが分かる。薬効の証拠がないため食品として販売するが、薬効はなくても副作用はある。ニンジンジュースに含まれるベータカロテンについてフィンランドで実施された試験がある。3万人の喫煙男性をベータカロテンを飲むグループと飲まないグループに分けて飲ませたところ、飲むグループの肺がん発生率が18%も増加し、総死亡率も8%増加した。

食事療法についても、それでがんが縮小・消失することを示した研究は存在しません。

サプリメントの広告や食養の本や治療家はこぞって「がんが治った」と喧伝する。がん患者の直接死因でいちばん多いのは栄養失調だが、治療家は末期のがん患者にも玄米菜食を勧めることがある。末期の患者たちこそ十分な栄養を摂るべきだ。「糖質制限食」は玄米菜食と対極の食養になるが旗を振り続ける医師もいて、一般は何を信じていいのか迷う。ほぼ完全な糖質制限をおこなうと体内にケトン体が増え「がんの完全寛解」がみられるという。食養家は病気の発生は食事の誤りであるとの論調で展開するため、あたかも食事さえ修正すれば無病息災が得られると勘違いする。がんは遺伝子の病気で遺伝子を傷つける要素は様々だ。がんには自然縮小も消失もあるので、それと療法の偶然の一致が「効果アリ」と錯覚させる。実験的研究では体にケトン体を増やすとがん細胞の増殖や転移が増加するとされている。多くの食養は制限にまみれ禁欲的ですらあり、真面目な実践者ほど痩せ衰え寿命を縮める。

健康な人たちに、がんや生活習慣病の検査を呼びかける番組は、ウソだらけと言えます。

医師が語ると話に重みが増すので芸能人に種々の検査をさせ、出演した医師が余命を宣告するという健康番組がある。「余命3年、寿命44歳」などというのは一から十まウソだ。余命とは半数が亡くなるまでの期間をいい、高齢者でも余命期間は相当長い。90歳の男性で余命は3〜4年、病人が含まれていても半数は4年以上生きる。40歳の男性では半数が亡くなるまで42年もかかる。テレビの医師たちは芸能プロダクションに所属し、視聴者を面白がらせるため「余命3年」などというが、本来の余命とは異なり根拠はない。最近のマスコミを見ていると政治に忖度し、隠蔽・改竄は当たり前の様相を呈しているが、医療については昔から連綿とスポンサーたる製薬会社を忖度した。稀に比較試験のデータなど熟知し、医療を批判する記者もいるが、上層部の方針に従わざるを得ないジレンマにさらされ、従う。

「生活習慣病のクスリはすぐやめるが吉」と近藤氏はいう。ステロイドや抗不安薬、睡眠薬など、急な断薬は危険なものもあるが、降圧剤、血糖降下剤、コレステロール低下薬、骨粗鬆症薬などは飲み始める前は元気で自覚症状はなかった。これらのクスリは検査で異常値が出たがため病気とされ飲み始めたものだ。

「降圧剤をやめたら大変なことになる」というのは、なんとしても患者たちにクスリを続けさせたい医師たちがつくりだした「都市伝説」なのです。

検査で異常値が出たためクスリを飲む、そのクスリの副作用でまた異常値が出て体調を崩す。種々の副作用対策のクスリも併せ5種類、10種類と飲んでいる人は多い。病気の診断ができるのは医師のみであり、健康人を検査し「がんだ、生活習慣病だ」と病名をつける。医師はなにもないところから病気をつくりだし、そこで仕事が生まれる。昔から言われたことで江戸時代の名医、中神琴渓は著書で次のように述べている。

昔も今も、日本でも中国でも、人を病気にさせ、人を殺すのは医者が最も多い。--中略--病気でもないのに病気とし、軽い病気を重くし、重い病人は殺して、人の主君や父や子弟を長く苦しめ、あるいは殺し、そして自分の妻子を養う。大罪を犯しながら刑罰を免れている医者の罪を、天がどうして見逃そうか。

救命医療、緩和医療、老人介護、非薬物的精神医療、未熟児医療など、本当に必要とされ医療利権とは無縁の分野で働く医師や医療者についていうべきことではないが、軽い病気や老化現象で安易に検査を受け、病気へ踏み出さないことが肝要であろう。しかし、一般人は軽いか重いかわからず、軽いものが重症の兆候かも知れず、老化と思いたいが大病かも知れない。医療には疑心暗鬼がつきまとい、その隙間に闖入する魔物が行動を攪乱する。死ぬような思いをしてまでも生きたいというのが本音であろう。

 

 
 

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