【糖尿病と食養生】


糖尿病(インシュリン非依存性)のかたの話を聞くと、医者・栄養士からご飯やパンは糖類(炭水化物)だから減らすように指導を受けているとの事、1日の基礎代謝1400calは、炭水化物として必要とされているが、そのカロリーにさえ達しないほど極度にご飯を減らし、その代わり野菜や魚などたくさんの種類の食材を、腹を満たすべく食べている人も多く見受けられます。

糖尿病にしばしば見られるのは、元々、酒ばかり飲んで、ご飯は食べず、肉や魚など蛋白・脂肪を多く含む食構成だった人に頻発する傾向があると言う事です。痛風と並んで帝王病といわれる「美食」の病でもあります。美食の病は粗食で治せば良さそうなものですが、医者・栄養士は何が粗食なのか、良くわかっていないどころか、勘違いしてるのではないかと思うこともしばしばあります。

ご飯を食べずに、おかずばかり食べて発症したのなら、逆におかずを減らしご飯を増やせば良かろうと考えるのですが、素人の浅知恵なのでしょうか?

確かに、ご飯を食べると血糖値は上昇する、それは糖類に限らず蛋白・脂肪でも同じことです。但し、表(1)のように糖類の種類によって血糖値の上昇度に違いがあります。

 

砂糖・黒砂糖・水飴・蜂蜜など

パン・麺類・果物

白米

胚芽米・分搗き米
麦・粟・豆・玄米などの雑穀

表(1)

 
砂糖より白米が上昇のピークは低く、ゆっくりだし、さらに胚芽米や玄米は、白米よりゆっくり吸収されます。玄米で糖尿を治したという人を見聞しますが、こんな吸収速度の差があるからかもしれません。砂糖の100cal、パンの100cal、白米の100cal、玄米の100cal、数字だけを弄する栄養士にとっては何ら変わらぬ100calであることでしょう。

しかし、体の中での働きには雲泥の差が生じます。動物の食性を考えるなら、一気に吸収
する、まるでガソリンみたいな砂糖より、薪の如く効率悪くゆっくり燃える、玄米のような、カスの多いものが優れています。砂糖や精製された小麦粉で作られたパンや麺類は、吸収速度も速く、残余のカロリーを脂肪として蓄え、これが体の負担になります。

出来る限り、未精白の穀類もしくは、麦などを混ぜたご飯を推奨したい。玄米も捨てがたい食材ではありますが、硬く、咀嚼に時間を要し、食感や味覚の点で躊躇するひともあります。また脾胃の弱い人にとっては、消化吸収に不都合な事もあります。一般的には胚芽米・分搗き米に麦・粟・豆などの雑穀を混ぜて食べると、それだけ多種類の栄養素も摂取でき、消化吸収、食感、味覚などの不都合もなく、むしろ美味しく食べられます。

確かに、血糖値は一時的に上がるかも知れない、しかしヒトの食性に合った穀物食を続け
れば、やがて体の治癒力が生かされ血糖値も下がるでしょう。

実際この方法で、かなりの数の人の糖尿が治り、また改善した症例を経験しています。

もひとつ、膵臓や肝臓など、食物の消化に寄与する臓器が、栄養素の違いでどれほど消化エネルギーを要するかを考えて見ます。表(2)のように三大栄養素のなかでも脂肪の消化は、臓器に相当の負担がかかります。次に蛋白質、、、炭水化物は最もクリーンでエコロジカルな栄養素と言えます。

 

環境汚染物質・残留農薬・ホルモン剤・抗生物質
化学調味料・食品添加物

卵・牛乳・油脂類
肉・魚

米・麦・雑穀
海草・野菜

表(2)

 
一般に、膵臓の外分泌細胞が1/3近く失われると、脂肪の消化機能がうまく働かなくなりさらに膵臓の障害が進んで1/2が失われると、蛋白質の消化がうまく出来なくなる。しかし膵臓の外分泌細胞が3/4近く失われるまで糖類(炭水化物)の消化能力は機能すると言われています。

膵臓や肝臓機能などに負担をかけないことも、大切な食養の要件です。繰り返しになりますが、(1)、(2)表から未精白の雑穀を中心として、野菜・海草そして肉・魚少々の食構成で1日の必要カロリーを満たせば、細部はそれほど拘る必要はないと思います。食事は厳密なものではなく、元々楽しく、寛容なものなのです。

食養家の中には肉は禁ずるけど、魚は推奨する人もかなり見受けられます。食を考えるうえでは、食材の清浄さにも考慮が要ります。大事な事です。今や地球規模の汚染で、完璧に安全なものは存在しない状況ですが、その中でも水銀、ダイオキシン、環境汚染物質の80%は、魚類から摂取していることも知っておかねばなりません。では肉は、というと、これはホルモン剤や農薬、抗生物質などの汚染が避けられません。不幸にもヒトは食物連鎖の頂点に居るわけで、生き長らえるために、他の生きものの命を頂戴し続けています。

蛋白源としては、もはや、必要量を植物蛋白、肉、魚から広く、浅く摂取するしかありません。食べない事は、もっと深刻な生命の危機を招くからです。

 

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