【食と栄養用語集】
食や栄養について語り続けてきたが、私は定められた栄養学のコースを修めたわけではない。薬学では衛生化学や生化学が栄養化学と交わる分野である。これだけの知識で食を語るには10年早いのかも知れない。栄養士は短大2年間で一体どんなことを学ぶのか興味を持った。知人を通じて教科書を借り受け勉強し、さらに不足を補うため書店で本を求め知識を得た。短期間ではあるが栄養学一本に没頭した数ヶ月であった。栄養士には到底及ばないが栄養学を俯瞰するくらいは許されるだろう。食は命と健康の問題に関わる重要なものであるが、伝統や娯楽など、文化として語られることも多い。食の供給のための農業、食の安全や環境、最近では食育という言葉も聞かれるようになった。栄養指導での「食」は味気ないが、栄養学全体では文化も歴史も娯楽も包括して語られる。食は日々繰り返し行われ、誰もがそれに関わるため、何にも増して多様性と意外性を持っている。栄養学の成果に難色を示し、まったく逆の食行動をとる人々。栄養学の呪縛が食に不都合をもたらすと主張し、新たな食体系を築く人々。もちろん、忠実に栄養学の指導を実践する人々もいる。
あまりにも簡単な表であるが、一般的に人の行動や思考は多数を占めるものが常識とされる。虹色の部分は中央線を隔て左右に揺れる許容域を持ち、大多数の人々の食行動を示すものである。肉が多いか少ないか、野菜が多いか少ないか、穀物の量や種類の相違などあるにしても、この部分は栄養学で支持される部分であろうと思う。さらに左右に揺れた若緑色と白鼠色の部分は、生存や健康の緩衝地帯である。「そんな食生活では、いまに体を壊す」とされる偏食の域になる。両端の緑色や鼠色になると常識では計りがたい食行動が為される。玄米だけの食、肉や牛乳だけの食、野菜や果物だけの食、あるいは断食など、偏食の極みということになる。ハレ食として一食、また治療食として極短期にする食とは異なり、継続すれば健康や生命を脅かすことになる。常識を覆す真理(?)を「目からウロコ・・・」といい説得力を以って行動へと駆り立てるが、常識や栄養学を無視する理由にはならない。科学に問題や脆弱さは潜んでいても、拠り所とすべきは科学であるほうが望ましい。「食の科学」、これこそ栄養学の成果であり役割だと思う。用語集は現在のところ多くの人に支持される知識であり、虹色の部分に該当するものと思っている。「よりよき食」の参考のために。 |
【あ〜お】/【か〜こ】/【さ〜そ】/【た〜と】/【な〜の】/【は〜ほ】/【ま〜も】/【や〜よ】【ら〜ろ】【わ】
【あ〜お】 | |
青梅中毒 | 梅、桃、杏などの未熟果実の果肉や種子には青酸配糖体であるアミグダリンやプルナシン が含まれ加水分解によって青酸が発生する。頭痛、嘔吐、下痢、腹部重圧感、呼吸不規 則、痙攣、動悸がおこり重症の場合は呼吸中枢麻痺により死亡する |
青かび | penicillium属糸状菌の通称で200種以上が知られている。貯蔵農産物や食品に繁殖し品質 を低下させるが、抗生物質やチーズ製造に利用される菌種もある |
青海苔 | 緑藻類アオサ科の海藻、幾つかの種類が「ふりかけ」などに使われるが、細胞壁が硬くヒト の消化液では壊れないため水溶性のビタミン、ミネラル以外の吸収は低い |
悪液質 | 全身の不良状態をさしていう。体重減少、貧血、皮膚乾燥、浮腫、食欲不振などの症状が 徐々に悪化していく。原因となる疾患は感染症、寄生虫症、慢性中毒症、慢性うっ血性 心不全、腎不全、内分泌疾患、糖尿病、血液疾患、悪性腫瘍など |
アクロレイン | 油脂の加熱によって生じる不飽和アルデヒドで揚げ物などの調理中、白煙が上がるほど 加熱するとこれを吸入し食欲を失う。皮膚粘膜に対する刺激性があり神経毒でもある |
アコニチン | トリカブト属の植物に含まれるアルカロイドで毒性が激しくマウスでの経口致死量は 1mg/kg嘔吐、四肢の麻痺、数時間後には呼吸麻痺で死亡する。トリカブトの花粉が 混入した蜂蜜での食中毒、山菜と誤って食べたための食中毒が報告されている |
味 | 甘味、苦味、塩味、酸味を4基本味とする。これに、うま味、渋味、辛味、えぐ味をはじめ 風味といわれる味覚が加わる。風味は味、におい、舌ざわりの要素が複雑に絡みあった もので、さらに美味と表現されるものはこれらに視覚や主観的要素を加味したものになる |
アスタ キサンチン |
カロチノイドの一種で甲殻類に含まれる。生体内では蛋白質と結合し青黒い色を呈している が加熱すると蛋白との結合が切れ空気で酸化され赤色になる |
アセトン体 | アセトン、アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸をいい、飢餓や糖尿病のような体脂肪分解の激し いとき、肝臓での生成が増し尿中にアセトン体が排出される |
アニサキス | 鯨やイルカ類の第一胃内に寄生する線虫で、糞便とともに排出された虫卵は第一中間宿主 である甲殻類を経て第二中間宿主の海産魚類の腹腔内で体長2cm位までに成長する。 その時期の魚の生食によってヒトに感染し、突然激しい腹痛に襲われる。アニサキスはヒト の体内で成育することはなく数週間後には死滅する。食材の加熱又は凍結によって感染力 は失われる |
アフラトキシン | 1960年イギリスで発生した七面鳥X病の原因物質として発見された。飼料を汚染する糸状菌 などによって産生されるカビ毒で、ヒトをはじめ多くの動物に肝障害と発癌をもたらし、 多量では致死性がある。ピーナッツ及びピーナッツバターなどの加工品、トウモロコシ、 ハト麦、そば粉などの穀類及びその加工品、ナツメッグ、白コショウなどの香辛料、 ピスタチオ、雑豆、ナチュラルチーズなど多くの食品から検出されているがすべて輸入 食品であり、国産品からは検出されていない |
油焼け | 不飽和脂肪酸を含む油脂は酸化によって過酸化物を生じ、他のものと反応しやすくなる。 長期間の保存や高い温度での加熱によって生じ、過酸化脂質となったものは変質、変色し、 食べると下痢、嘔吐、腹痛を引き起こすなど様々な毒性がある |
アミグダリン | 梅、桃、杏、リンゴ、サクランボなどの種子に含有される配糖体で、分解してシアン化水素 を発生し毒性を呈する |
アミノ酸 | 1分子内にアミノ基(NH3)とカルボキシル基(COOH)を持つ有機化合物で、動植物に 存在するアミノ酸は約80種ある。そのうち蛋白質を構成するのはカルボキシル基が結合 している炭素原子にアミノ基のついたαアミノ酸(約20種)である。ヒト必須アミノ酸: ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニールアラニン、スレオ ニン、トリプトファン、バリン |
アミラーゼ | デンプンを加水分解する酵素。唾液のプチアリン、膵液のアミロプシンはαアミラーゼで、 芋、大根などの植物に含まれるものはβアミラーゼである |
アリシン | ニンニクの抗菌性成分でアイリンにアイリナーゼが作用して生成する。ビタミンB1と結合 してアリチアミンになる |
アルカロイド | 植物中に含まれる塩基性窒素化合物で苦味を呈し生理作用をもつ。(例)お茶/カフェイン ココア、チョコレート/テオブロミン、ジャガイモ/ソラニン、煙草/ニコチンなど..その他、 薬用植物にも各種のアルカロイドが含まれる |
アルカローシス | 塩基の蓄積や酸基の体内からの喪失によって起こる病的状態。(反)アシドーシス |
アルコール | 水酸基(OH)を持つ脂肪族化合物。食品ではエタノール(CH3-CH2-OH)をいいいエチ レンを原料にした合成アルコールと糖蜜、デンプン、穀物を原料に発酵させて作る発酵 アルコールがある |
アルブミン | 単純蛋白質の一種で動物性のものは卵白(オボアルブミン)、乳汁(ラクトアルブミン)、 血液(血清アルブミン)があり、植物性のものは麦類(ロイコシン)、ヒマの実(リシン) エンドウ(レグメリン)などがある |
アレルギー | 蛋白質を主とした成分(抗原)が外から生体に侵入すると、特殊な抗体が産生されこれと 結合し抗原抗体反応が起こる。抗体を産生するまでは体の免疫反応であるが、異常かつ 過敏に反応するのがアレルギーである。発熱、皮膚の発赤、関節痛や時にはショック死を 起こすこともある。食物、室内塵、花粉、薬品などアレルギー物質は無数にある |
アレルギー様 食中毒 |
サンマ、アジ、イワシ、サバ、カツオ、マグロなどの赤身魚類やその加工食品が原因となり 起こる軽い食中毒。赤身肉中の遊離ヒスチジンが汚染菌によって分解されヒスタミンを生じ 発症する |
安静時代謝 | 基礎代謝量に安静を保つための体位維持カロリーを加算したもので、基礎代謝量の 約1.2倍とされる |
胃液 | 主細胞、副細胞、壁細胞から分泌されるpH1.5〜2.0の無色透明で無臭の希薄な液体。 塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸塩、ムチン、ペプシン、レニン、カテプシン、 リパーゼなど含む濃度0.5%の塩酸液で1日2〜3L分泌される。蛋白質や糖類の消化 を促進するとともに発酵による有機酸の生成を防止したり細菌の繁殖を抑制する |
異化 | 体内の物質代謝は分解と合成の過程からなるが、分解過程をいう。 |
異性化糖 | グルコースから製造した糖類で、現在、酵素を用いてデンプンからグルコースを製造し、 それに固定化酵素を作用させグルコース、フルクトース、オリゴ糖などの混合糖液を得る。 これを濃縮したものを「ブドウ糖混合液糖」として菓子、飲料、食品などの甘味料に 利用される |
イヌリン | キクイモ、ゴボウ、ダリアなど菊花植物の根に含まれる配糖体で、人間の消化液では分解 が十分でなく利用効率が低い |
イノシン酸 | 1847年、リービッヒにより肉エキスから分離された核酸系の旨み成分。鰹節の呈味成分は イノシン酸ヒスチジン塩で調味料に用いられる |
インスタント 食品 |
外国ではコンビニエンスフードといい保存ができ、調理の手間がほとんど要らない食品群 インスタントラーメンが代表的なものであるが、油の中を通して乾燥させたものは直射日光 や高温、長期の保存で油脂が酸化し中毒を起こす。(類)即席食品 |
インスリン | 膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるペプチドホルモンで血糖降下作用を持つ。 血糖値の上昇に伴いインシュリンが分泌され、ブドウ糖の酸化とグリコーゲンへの合成を 促進する。さらにブドウ糖、アミノ酸、ピルビン酸から脂肪酸への転換が亢進し脂肪の沈着 がおこる |
インドール | 腸内細菌によってトリプトファンから生じる腐敗物質で、スカトールとともに糞便の悪臭 物質。インドールは腸から吸収され肝臓でインジカンに変化し尿中へ排泄される。尿中 のインジカンは便秘や腸内異常発酵、多量の肉食によって増加する |
ウェルシュ菌 | ヒトや動物の腸管内に常在し、土壌、下水など自然界にも広く分布する。毒素の免疫型に よってA〜Fの6種に分類され、A型菌の変種で耐熱性A型菌が食中毒の原因になることが 多い。鳥獣肉を加熱後長く放置しておくことで中毒が発生し、激しい腹痛、下痢などがお こるが症状は総じて軽い |
運動指導 | 食事、運動、休養という健康指導の3本柱の一つ |
エアロビクス | アメリカのクーパーによって開発された有酸素運動。体に酸素を多量に供給し心臓や肺の 活動を刺激する |
栄養 | 生物が外界から必要な物質を取入れ、それを利用し組織修復、成長、活動などの生活 現象を営むこと。人体の構造(解剖学)・機能(生理学)と食物の化学的性質や食品の 加工、保存、調理など多面的に研究する |
栄養学 | 人体と食物との相互作用を研究する学問。栄養化学、栄養生理学、食品化学、食品学 食品衛生学、公衆栄養学、栄養生態学などの分野からなる |
栄養基準量 | 年齢別、性別、労作別などを検討して算出した日本人1人1日当たりの所要量。 ある集団の栄養基準量は栄養学的にも食糧の生産、需給計画にも必要である。 エネルギー:2000kcal蛋白質:65g、カルシウム:600mg、鉄:11mg、 VitA:1800IU、VitB1:0.8mg、VitB2:1.1mg、ナイアシン:14mg、VitC:50mg、 VitD:150IU |
栄養欠陥症 | 食事による栄養素の供給が不適当か又は吸収障害、体内での利用障害、需要や排泄の 増大により、栄養素が欠乏し正常な代謝機能が侵害される(類)栄養失調症 |
栄養指数 | 栄養状態、相対的発育度、体格など客観的に評価するための指標。体重、身長、胸囲 上腕囲、皮脂厚などの計測値を組み合わせた「カウプ指数」が用いられる |
栄養失調症 | 一般に栄養素の欠乏による疾患をいうが、栄養素の過剰による病的な栄養状態(栄養 過剰症)をいうこともある |
栄養指導 | 栄養学や臨床栄養学さらに保健衛生関係の学問を基に健康の維持増進、疾病の予防、 治癒のために食生活や栄養改善の知識の普及や指導を行う。普通、医師、栄養士、 保健師などが行い、医師、管理栄養士の有資格者に対し知事、市長などが栄養指導員 として任命する |
栄養所要量 | 国民が健康を保持し、健やかに日々の生活を営むために、どのような栄養素をどれだけ 摂取すればよいかという目標。それ以下では健康が維持できない生理的な最低量に安全 率を加えて求められる。生活活動強度U(一般事務作業)では、20歳代男女で2000〜 2550kcal、70歳代後半の男女で1500〜1800kcl。良質な蛋白質の摂取量は、20歳代男女 で60〜70g。カルシウムは、600mg...など年齢、性別、体格、生活状況などに応じて細かく 決められている |
栄養生化学 | 化学的方法で生物の物質組成や栄養と生体の反応を研究する |
栄養生態学 | 学問的に確立された分野ではないが、栄養学的視点で個体や群集の食の問題を考える 食生活、食と健康、食文化、食習慣、栄養教育、栄養評価など |
栄養生理学 | 生体の作用や機能を栄養摂取との関連で研究する |
栄養素 | 個体の生命維持及び正常な機能、形態の恒常性維持や成長のために摂取するべき物質 |
栄養必要量 | 身体の成長及び正常な機能維持のために健康人の集団の要求量を満たすカロリーや 栄養素の量。普通1日当たりの平均値をいう |
エネルギー 代謝 |
生体が保有又は摂取する栄養分や食物の化学的エネルギーを酸化によって、体のあらゆ 熱や運動のエネルギー変える |
エンゲル係数 | ドイツの統計学者エンゲルが生活水準の指標として提唱した。家計の総支出に対する 飲食費の割合で、日本は約20%でヨーロッパと同等、アメリカは13%弱 |
塩蔵 | 野菜、魚貝類、肉類などを食塩とともに漬けることで有害微生物の生育を抑え保存性を 高め、鹹味によって味覚を良くする。塩によって浸透圧が増し、微生物の生育が抑制さ れる。野菜類の一夜漬けや浅漬けは2〜5%で行われ保存性は低いが野菜の自己消化 によって旨みを発揮する。5〜10%で腐敗菌の増殖が抑えられ有用酵母や乳酸菌が増殖 し風味を増す。20%以上では有用微生物の増殖も抑えられ保存性は著しく高まる。肉類の 保存は2〜5%で行うが、この浸透圧では腐敗を抑えるに不十分であり、燻煙、加熱、保存 料、冷蔵などを組み合わせる。特にボツリヌス菌の生育を抑えるには亜硝酸塩が不可欠。 魚類の保存は浸漬するか食塩を直接降りかける。塩サケでは重量の20%ほどの食塩を用 いるが、魚体の塩分濃度は6〜9%である |
エンテロ トキシン |
最初、ブドウ球菌が産生する食中毒の毒素に名づけられたが、その後下痢症の 原因物質として発見された菌体外毒素をエンテロトキシン(腸管毒)と呼ぶようになった。 コレラ菌、病原性大腸菌、ウェルシュ菌、セレウス菌などから発見される |
黄変米 | 米の貯蔵中、微生物に汚染されると各種のカビ米が発生し品質が低下し、カビの種類に よって米の変色が起こる。ペニシリウム属のものが多いが、1954年ころタイなどから輸入 された米に黄褐色のものが発見され毒性が問題となった。現在では米の低温貯蔵施設が 完備され心配は少ない |
おこし | 日本の伝統的な干し菓子の一種で、米、粟、麦などの穀物を加圧焙煎したものを砂糖や シロップなどで固め成形後に乾燥させる |
押麦 | 大麦や裸麦では精麦を行っても粒のままでは糊粉層の一部が残り、米と混ぜて炊くとき 軟らかくなりにくいので挽き割り圧扁する |
オートミール | 燕麦を精白した後、適当に炒って粗砕したもので、欧米では朝食用シリアルとして利用さ れる。オートミールと水を1:2の割合に混合し少量の食塩を加え湯煎で加熱し、食べる とき牛乳と砂糖を加える |
オフフレバー | 食品として好ましくない味や香り。脂肪酸の酸化や加水分解による酸敗、蛋白質やアミ ノ酸の分解によって生じる。(例)魚の冷蔵中の異臭や魚臭 |
【か〜こ】 | |
壊血病 | ビタミンCの欠乏によって起こり、皮膚や歯肉からの出血、貧血、衰弱などの症状がある |
解糖 | 生体内で、グリコーゲンなどが乳酸に分解される反応により、筋肉収縮に必要なエネル ギーが供給される |
貝毒 | 巻貝と二枚貝に含まれる有毒成分で、貝類が本来有する内因性のものと有毒物質を取り 込むことで有毒化する外因性のものがあるが、両者を区別することは困難である |
灰分 | 食品を完全に焼いた時に残る灰。食品中の無機成分が残ることになるが、揮発する無機 物もあるため食品中に含有される無機物と等しいとは限らない |
化学調味料 | 以前は昆布の旨み成分であるグルタミン酸ナトリウムだったが、現在は鰹節のイノシン酸 ナトリウム、しいたけのグアニル酸ナトリウムなどの核酸系、又貝類のコハク酸ナトリウム を化学的に製造したものをいう。製品としては、これらのものにグルタミン酸ナトリウムを 混合した複合調味料が使われる |
角膜軟化症 | ビタミンAが欠乏すると、一般に上皮組織細胞の角化を招き角膜では細胞の変性や破壊が 起こり軟化する |
過酸化物価 | 油脂の変敗の程度を試料1kg当たりの過酸化物のミリ当量で示す。(例)インスタント ラーメンでは30以下であることが要求される |
果実酒 | 果汁を発酵させて作る醸造酒。多くは10〜15%のエタノールを含み糖分は原料の果実によ って異なる。ぶどう酒、りんご酒、なし酒、ビワ酒、イチゴ酒、チェリー酒など |
果汁 | 果実を搾った液汁で、濃縮果汁を希釈して果実の搾汁の状態に戻したものを含む。合成 甘味料、合成殺菌料、合成糊料、漂白剤、合成香料、着色料などを含んではならない |
可食部 | 食材中の廃棄部を除いた食用可能な部分。廃棄率(%)=廃棄量/入手時の量×100 可食率(%)=入手時の量−廃棄量/入手時の量×100。廃棄率の目安:ジャガイモ10% 魚貝40%、鶏卵13%、緑黄色野菜12%、果実20%、藻類5%など |
ガストリン | 1906年Edkinsにより発見された消化管ホルモンのひとつで、胃や十二指腸粘膜に存在し、 肉やアルコール摂取時に血中に放出され胃酸の分泌を促す |
数の子 | にしんの卵とその加工品で、原料卵を塩水に数日漬け血抜きしたあと、30%くらいの食塩 をふりかけて漬け込み、さらに食塩を加える |
片口鰯 | 全国に分布するイワシ科の魚で口を開けたとき下顎が目立つことから名付けられた。寿命 は2.5年、体長15cmまでになり、かつお一本釣りの餌とされる。一般には煮干しとするが 大型のものはみりんや丸干しに、稚魚はたたみいわし、しらす干しにする |
脚気 | ビタミンB1欠乏によって起こる病気で、かつては白米に偏った食生活で見られた。現在では 少なくなったが、インスタント食品の摂取過剰による発病が報告されている。全身倦怠、 食欲不振、運動時の動悸、足や指の感覚異常、運動障害などが起こる |
果糖 | 別名、レブロースともよばれ、自然界に広く分布する。蔗糖(砂糖)を酸や酵素で分解 するとブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)に分解する |
カフェイン | 茶、コーヒーなどに含有されるプリン塩基で、熱湯に溶けやすくタンニンと結合して 沈殿する。中枢を刺激し脳や筋肉を興奮させ、利尿、強心剤として利用される。 最後は尿酸などに代謝され尿中に排泄される |
粥 | 流動食から常食に移行する際の中間食として用いる。おもゆと粥の混合比により一部粥、 三部粥、五部粥、七部粥、全粥などがある。(例)五部粥はおもゆと全粥の比が1:1 |
カラギーナン | 紅藻類の海藻の細胞壁構成成分で、熱湯で抽出する。栄養的にはまったく利用されない が乳飲料の安定化剤として用いられる |
ガラクトース | 脳神経細胞のセレブロシドや乳糖の構成成分で蔗糖の1/3の甘味を持つ |
辛子 | からし菜の種子で褐色〜黒色の和辛子(黒からし)と黄色の西洋辛子(白からし)がある。 和辛子を温湯で練るとシニグリンがミロシナーゼにより加水分解され、アリル辛油が発生 し辛味を呈する。西洋辛子はシナルビンが同様に加水分解され白辛子油を発生する。 白辛子油が刺激も香りも穏やかで、普通、両者を混合して利用される |
カラメル | 砂糖やグルコースを約150〜180℃に加熱して黒褐色にしたもので、弱い苦味を呈し、 水に溶けやすい。醤油、ソース、ウイスキー、コーラなどの着色料として用いる |
カリウム | 生命を維持するために必須の無機質で生物界に広く分布する。リン酸塩、蛋白結合物として すべての細胞に存在し、健康人で体重1kgあたり約45mEqの体内量になる |
カルシウム | 成人で約1200gの体内量で、その99%はリン酸カルシウムとして骨格と歯が占める。 神経、筋肉の働きや血液の凝固に不可欠である。体重あたりの平均維持量は10mg/kgで これに体重を乗じ安全量を上乗せして、成人1日所要量600mgとするが300mgまで減少 しても平衡は保たれることが知られている |
カレー粉 | インド発祥の世界で最も普及している複合香辛料。色にはウコン、陳皮、サフランなど を辛味には胡椒、唐辛子、ジンジャー、マスタードなどを、香りにはコリアンダー、 メース、クミン、フェンネル、カルダモン、オールスパイス、クローブ、シナモン、 ナツメグ、ディルなどを任意に配合する |
カロテノイド | 野菜の黄赤色の色素で約100種類ある。特にβカロテンが有名で小腸で分解され ビタミンAの分子となる。ニンジンをはじめ緑黄色野菜に多く含まれる |
カロテン血症 | 食物中に含まれるカロテノイドは小腸粘膜で吸収され、βカロテンなどはビタミンAに転換 され血中に移行する。転換されなかったカロテノイドは血中にそのまま入り、リポ蛋白質に よって全身に運ばれ、その量が多い場合は手掌などに沈着し橙黄色を呈する。(陳皮症) |
カロリー | 動物、ヒトの栄養科学において用いられる熱量の単位で、1カロリーは1gの水を1気圧で 1℃(14.5→15.5℃へ)上昇させるのに要する熱量 |
間食 | 3度の食事の間に与えられる補食で、食事だけで不足しがちな栄養を補給し、生活に楽しみ やうるおいを与える。成人の間食は単に楽しみであることが多いが、成長期の子供にとって は食事の一環として考慮する。1日の必要エネルギーの10〜20%が目安となり、時間が 不規則になったり、本来の食事への影響がないように、穀物、芋類、果物などにする |
かんすい | 炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ニナトリウムやその混合物で、中華そばの製造に 用いられる。古くは天然かんすいが用いられたが、現在は精製されたものを配合する。 小麦粉に0.1%ほど混ぜて練るとグルテンの変性が起こり、「あし」と「こし」が出て風味を 増す。また、フラボノイド色素と反応し麺が淡黄色になる |
乾燥食品 | 水分の多い食品から水を取り除き重量を減らし、運搬しやすくしたり、腐敗、発酵、化学 変化などを抑え貯蔵性を高める。また、干しブドウや干物など乾燥によって食材の物性 をより好ましい状態に変える場合もある。自然乾燥、加圧乾燥、常圧乾燥、真空乾燥など があり、予め凍結乾燥した後に真空乾燥する方法は復元性の良い乾燥食品が得られ、 近年多く利用されている |
官能検査 | 人間の感覚器官を使って行う検査法で、特定の識別能力や資格を持った人の集団を 用いて効果的な実験計画を立てる |
甘味料 | 天然甘味料:砂糖(蔗糖)、果糖、麦芽糖、ブドウ糖などの糖類、Dアラニン、Dセリン Dトリプトファンなどのアミノ酸類、甘草のグリチルリチン、甘茶のフィロズルチン、 ステビアのステビオサイドなどの植物成分など。合成甘味料:かつてはズルチン、 チクロなど使用されたが安全性に問題が生じ使用禁止となった。現在は、サッカリン グリチルリチン酸ナトリウム、アスパルテーム、Dソルビトール、Dキシロース が用いられる |
肝油 | 一般に水産動物(魚類肝臓)から得た油をいい、ビタミンAを濃厚に含有するが、合成 ビタミンAの出現以来、肝油はわずかしか製造されない |
含硫アミノ酸 | 硫黄(S)を含んだアミノ酸でメチオニン、シスチン、システインの3種 |
飢餓 | 生体に食物供給の足りない状態。完全飢餓:一切の飲食物を摂らない又は水だけは摂る ものをいい、絶食、断食と同じである。半飢餓:慢性的に食物摂取が不足する。著しい 肥満者で完全絶食を行い、異常を認めないまま236〜249日で終了したという報告がある |
飢餓療法 | 古来多くの宗教が行事や修行として取り入れてきた。治療としては2000年以上前から 記録が残る。現代では肥満、糖尿病、腎炎、消化器疾患などに用いられる。代替医療 などではさらに多くの疾患の治療に用い、効果は心身両面にわたると主張するが、 根拠は明らかではない |
キサントフィル | カロテノイド系色素の一種で栄養効果はほとんどないが、飼料に配合し卵の着色や鯉、 金魚の発色に用いる |
基準蛋白質 | 蛋白質の栄養的価値はアミノ酸の組成によって規定される。生体にもっとも効率よく 利用されるアミノ酸組成を想定した蛋白質で、実在する全卵や人乳などを基準にする |
寄生虫 | ある動物(寄生虫)が他の生物(宿主)の体表や体内に生活し、栄養、代謝を宿主に 依存する。単細胞の原虫類から多細胞の吸虫類、条虫類、線虫類、昆虫類、 ダニ類など |
基礎食品 | 食材は1000種くらいあり、そのうち日常摂取するものは数百種になるといわれる。 一品目で完全に栄養を満たせるものはないので、バランスのとれた栄養摂取が 必要である。そのため栄養特性から6群に分類し、各群を組み合わせることで 食事を構成する。1群:魚介類・肉類・卵・大豆製品/2群:牛乳・乳製品・骨ごと 食べる魚・海藻/3群:緑黄色野菜/4群:その他の野菜・果実類/5群:米・小麦粉・ パン・めん・いも類/6群:油脂類 |
基礎代謝 | 肉体的にも精神的にも安静な状態で、消化吸収の働きをせずに体温は保ち、内臓の 諸器官は活動を続け筋肉の緊張を保つために要する代謝量 |
キャンピロ バクター |
食中毒の原因菌で、汚染された水や飲食物によって腸炎や下痢を引き起こす。ニワトリ、 イヌ、ネコ、ウシ、ブタなどの腸管にも存在し、これらの糞便による食品の汚染が 原因になりやすい。熱と乾燥に弱いので加熱調理する |
救荒食品 | 凶荒時の飢をしのぐ食品で600種以上あったと伝えられる。ヒエ、アワ、木の実、 サツマイモ、トウモロコシ、山菜、菱の実、どんぐりの実、かやの実、トチの実など があり、そば、くず、わらび粉などは救荒食が嗜好食にもなった |
吸収 | 消化管内で消化された物質が胃腸粘膜を通過し、体内に取り込まれること。主な栄養素 の消化吸収率:蛋白質80〜90%、脂質75〜85%、糖質99%、カルシウム20〜40% 鉄、5〜30%、ビタミンA90%、カロテン30% 吸収率(見かけの吸収率)=摂取量-屎中排出量/摂取量 |
給食 | 喫食者に食事を提供することで、主に集団給食に対していう。通例、1回100食以上又 は1日250食以上の食事を供給する施設を集団給食施設という |
牛肉 | 特有の風味をもち、動物肉のなかでは最も美味とされる。十分に肥育されたものは 肉組織の間に脂肪が交雑(霜降り)する。ステーキ、ローストには2〜3歳牛、 すき焼きには4〜6歳牛が適している |
牛乳 | 牛の乳腺から分泌される液体で、日本ではホルスタイン種が主流である。搾った ままのものを生乳、原料乳または全乳といい、脂肪分を除去したものを脱脂乳という。 市販されるものは牛乳と加工乳、乳飲料に分類される |
牛乳不耐症 | 大量の牛乳や乳糖の摂取で下痢や腹痛を起こすもので、先天性と後天性のものがある。 先天性のものは乳糖分解酵素(ラクターゼ)の欠乏により起こり、後天性のものはセリ アック症候群や慢性胃腸炎などで粘膜障害を起こし、ラクターゼや消化酵素の活性が 低下して起こる |
拒食症 | 食欲の欠如や吐気又は自殺を企図して食物を食べない。食による害毒を恐れたり、 食べなくても生きていけるという妄想などが原因となることもある |
グアニル酸 | 核酸系調味料で椎茸のうまみ成分といわれる。1961年に工業生産が始まり、グルタミン 酸との相乗作用でうまみを引き立てる |
空腹 | 食欲を誘発するための一条件で、空腹末梢説では胃の収縮が胃壁の神経を介し 中枢へ伝える。中枢説では視床下部にあるブドウ糖を感知するニューロンが血中の 遊離脂肪酸の濃度によって放電し食欲を増すといわれる |
クエルセチン | たまねぎ、そばなどに含まれる黄褐色の色素成分でビタミンP様の作用があると されるが発がん性の報告もあり、研究の動向が注目される |
クエン酸 | 柑橘類に多く含まれる酸味で、ミトコンドリアにおける酸化反応(クエン酸回路)に 関与する |
くさや | 伊豆七島の特産品で、ムロアジ、クサヤモロ、トビウオ、マアジなどから作る塩干し。 10%ていどの食塩水であるため腐敗を抑えることができず強烈な異臭を呈するが、 微生物の働きで腐敗が適度にすすむため保存食として利用される |
グリコーゲン | 動物の貯蔵する多糖で筋肉、肝臓に多く分布し活発に分解、合成される。筋肉では 1〜2%を占めグルコースへと代謝分解され筋収縮のエネルギーになる。肝臓では 2〜10%を占めグルコースに分解され血糖を保持する |
グルカゴン | 29個のアミノ酸からなる直鎖の蛋白性ホルモンで、膵臓ランゲルハンス島α細胞から 分泌される。血糖上昇作用、脂肪分解作用や他のホルモンの分泌を促進する 働きがある |
グルタミン酸 | 食物蛋白質の主要構成アミノ酸で、遊離形で食品中や生体内に存在する。生体内では 50%が筋肉、17%が腸、9%が肝、8%が脳、4%が腎に分布し、生体の代謝に重要な 役割を果たす。調味料として利用されるのはL-グルタミン酸になる |
くる病 | ビタミンDの欠乏により骨の軟化が起こる。ビタミンDが不足しても十分光を浴びれば 体内でDが生成する。また、カルシウムの不足や腎臓の病変によっても発症する |
グレーズ | 凍結食品が長く空気に接していると、氷結晶が昇華し表面から深部へと次第に乾燥し 多孔質化し、重量も減少し、脂質の酸化も起こる。この劣化を防ぐため、凍結食品を 2〜3℃の水に数秒漬け表面に薄い氷の膜を密着させる。水には脂質の酸化防止のた めにアスコルビン酸を添加する |
グロブリン | 蛋白質の溶解性にもとずく分類名。硫酸アンモニウム0.3飽和で塩析する蛋白質で、一般 水にに不溶で0.8%食塩水、希酸、希アルカリなどに溶解し熱凝固しやすい。植物グロブ リン、グリシン(大豆)、ファゼオリン(小豆)、カナバリン(なた豆)。動物 グロブリン:血清グロブリン、ラクトグロブリン、筋肉ミオシン、卵白グロブリンなど |
クロレラ | 淡水産の緑藻類で蛋白質含有量が約45%と高く、未来の食糧として研究されたが、現在 までのところ利用に至っていない。硬い細胞壁のためヒトでは消化吸収され難く大量に 飲めば皮膚炎を起こすことが難点である |
経管栄養法 | 栄養補給の方法は経腸栄養法と避経腸栄養法に二分され、前者では口から栄養を摂取 する経口栄養法とチューブを用いて直接消化管内に補給する経管栄養法がある。経管 栄養法は消化管のがん、潰瘍、炎症による狭窄や神経麻痺で嚥下困難なときに用い、 チューブを挿入する部位により次の3つに分類される。鼻から消化管へ挿入する鼻腔栄 養法、手術により直接消化管内に挿入する瘻管栄養法、肛門や直腸からS字結腸に 挿入する滋養浣腸法 |
ケーシング | 食肉、肉製品の一次包装に用いる包装材。天然材:羊、豚、牛の腸。人造材:コラーゲン、 セルロースの加工品 |
血漿蛋白質 | 血液から赤血球、白血球、血小板などの有形成分を除いた血漿画分中に含まれる 蛋白質、フィブリノーゲン、アルブミン、α,β,γ,グロブリンなど |
結石 | 体液成分である有機物や無機物が固形化したもので、鼻石、歯石、扁桃石、唾石、肺石 胆石、膵石、臍石、尿石、前立腺石、静脈石、包皮石、糞石などがある。成分は、カルシ ウム、コレステロール、ビリルビン、シュウ酸、リン酸、尿酸、シスチンなど |
血糖 | 血液中のグルコースで組織細胞へエネルギーを補給する。空腹時の正常血糖値は 70〜90mg/100mlで、膵臓から分泌されるグルカゴンとインシュリンによってコント ロールされる |
解毒 | 生体に備わった機能で、体内に取り込まれた毒性物質を代謝し無毒化する。対象と なるのは食品添加物、医薬品、農薬などがあり、主に肝臓において水解、還元、酸化、 抱合などの反応により、胆汁や尿を経て体外に排出される |
ケトン体 | βヒドロキシ酪酸、アセト酢酸とアセト酢酸から生じるアセトンをいう。ケトン体は エネルギー源の一つで、長期の絶食、低血糖症、重症糖尿病、激しい運動、発熱、 外傷、手術時などに血中や尿中に出現する。脂肪組織から動員された遊離脂肪 酸が肝臓で代謝され生成する |
ケミカルスコア | 蛋白質のアミノ酸組成に基づいた栄養評価法。全卵の蛋白質のアミノ酸組成を基準と して、その必須アミノ酸含有量と試料蛋白のアミノ酸含有量を比較し割合をだす (類)プロテインスコア、アミノ酸スコア |
ケラチン | 硬蛋白質の一種で、脊椎動物の毛、角、蹄、爪、表皮などの主成分。水その他の溶媒に 不溶で薬品、酵素にも抵抗性が強い |
ケルセチン | タマネギなど多くの植物に存在するフラボノイドの一種でビタミンP効果があるといわれる |
減塩食 | 食塩の摂取が影響を及ぼすとされる高血圧、心、腎などの疾患のため食塩を減じた食餌 をつくる。無塩食:食塩ゼロ、中程度減塩食:食塩3〜5g、緩和減塩食:食塩5〜8g |
健康指標 | 社会集団の健康水準の年次推移を観察したり、地域間格差を観察したりするために用 いる諸指標。粗死亡率、乳児死亡率、平均寿命、P.M.I.:ある地区の総死亡に対する 50歳以上の死亡者の占める割合などを用いる。他に、特殊死因死亡率、各種疾患の 罹患率、有病率、医療統計、学校保健統計、労働衛生統計、環境衛生統計などがある |
健康食品 | 通常の食品に比べ、積極的に保健、健康の維持、増進をはかり、時には病気の治療を も可能というイメージを消費者に与えるが、定まった定義がない |
検食 | 集団給食で喫食者に提供する食事献立が、栄養学的に質、量とも適正で衛生的に扱 われているか、味付け盛り付けは適当か、経済的条件を満たすかなどを検討するために 喫食する食事。栄養士または施設の長が検食責任者としてこれを行い検食簿に結果 を記入する |
好塩菌 | 生育のため食塩を必要とする細菌で、感染型食中毒の原因菌である腸炎ビブリオが有名 |
硬化油 | 一般に動植物油を還元ニッケル触媒を用い加圧、高温下で水素添加し硬化させる マーガリンは完全硬化させず、半硬化油として利用する |
抗酸化剤 | 酸化を抑制する物質で、一般に油脂類に対するものをいう。二重結合をもつ不飽和脂 肪酸は酸化しやすく有害なフリーラジカルが発生しやすいので、酸化を防止するため BHA、BHT、NDGA、ビタミンEなどを用いる |
抗脂肝因子 | 肝脂肪の蓄積速度を低下させたり、脂肪の消失を促進させる食餌因子でコリン又は コリン合成に関与する物質 |
高脂血症 | 血漿脂質の一つまたは複数のものが正常値以上に増加した状態。血漿脂質はコレ ステロール、リン脂質、リゾリン脂質、中性脂肪(トリグリセライド)、グリセロール、 遊離脂肪酸などあるが、一般的にはコレステロールと中性脂肪の数値で判断される |
公衆栄養学 | 栄養学の社会的実践に直結する分野で、社会や集団生活を営む人間の栄養を科学的に 解明し、健康や福祉の向上に生かす学問。行動学、生態学、地理学、環境科学、心理学 経済学、社会学、民俗学、生活学、疫学、公衆衛生学、統計学など広分野にわたる |
酵素 | 組成は蛋白質で2000種以上が知られ、生体内の化学反応に触媒的に関与する |
紅茶 | 茶葉中の酸化酵素を利用して発酵させてつくる茶。茶葉を揉んだあと湿度95%、温度 20〜25℃で2〜5時間発酵させ、その後乾燥させる。緑茶に比べ渋みが減じ着色度は 増すが、カロテノイドが半減しアントシアンやビタミンCは失われる |
酵母 | 真菌植物門の子嚢菌類に属する微生物で、グルコース、蔗糖などの単糖・少糖類を 分解する能力を持つ。嫌気的には炭酸ガスとアルコールを、好気的には炭酸ガスと 水を生成するので酒類の製造に用いられる。デンプンなどの多糖類は分解できない ので、あらかじめ酵素で糖化したり、麹やカビを使い発酵と糖化を同時に進行させる |
糊化 | デンプン粒を水で加熱したり、試薬を用いることで不可逆的な膨潤を起こし、 半透明のコロイド状になる。デンプンの糊化を日本では「α化」とも言う |
国際単位 | 物質の量を生理的効果の度合いで表す単位。栄養学ではビタミンA,Dについて国際単位 で表し、例えばAの場合、A欠乏の幼いシロネズミに投与し体重が1日3g増加する量を 1I.U.(international unit)といい、ビタミンAでは0.3μgに相当する |
穀粉栄養障害 | 乳幼児に穀類中心の糖質偏重食を長期に与えたとき、蛋白質、脂肪、ビタミン、 ミネラルが不足し栄養失調を起こす |
固形脂 | 脂肪の中で、常温で液体のものを油、固形のものを脂として区別し、総称して 油脂という。油は不飽和脂肪酸からなり、脂は飽和脂肪酸が多い |
ゴシポール | 綿実の種子や綿実油に含まれる植物性有毒成分で、飼料の脱脂カスに混入し牛が 浮腫を起し、死ぬこともある。殺精子作用があることから中国では避妊薬として 開発されている |
胡椒 | 胡椒の実を乾燥した香辛料で、黒は未熟実を数日発酵させて乾燥させ、白は完熟実 の皮を去り内部の種子のみを乾燥させる。黒は揮発性辛味成分を白の4倍含むが、 白は黒より香り成分の含有量が多い |
糊精 | 酸を用いてデンプンを軽く分解したもので、デキストリンといい、分解程度によって 名前が異なる。エリスロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリンなど |
ゴマ油 | 胡麻の種子から圧搾やその他の方法で分離された植物油で、東洋系の料理に繁用 される。オレイン酸39%、リノール酸45%と不飽和脂肪酸が多い |
小麦 | 全世界で栽培され耐寒性が強く、粉食文化の中心的穀物。強力粉は蛋白質が多く 薄力粉では少ない。蛋白質はリジン、含硫アミノ酸、トリプトファンが少なくプロテ インスコアは約50で栄養価が低いため、動物性蛋白源との混食が必要 |
米 | 東南アジア原産の穀物で主食として全世界で栽培されている。約75%がデンプンで他に 蛋白質7%、脂質1%を含む。精白米のプロテインスコアは約78で副食として動物蛋白など を必要とする |
コラーゲン | 動物の骨、軟骨、皮膚、腱などの結合組織の成分に広く含まれる線維性蛋白質 分子量は約30万で約1000個のアミノ酸残基からなり、水、希酸などと加熱すると ゼラチンになる |
コリン | 体内でアミノ酸から合成される水溶性のビタミン様物質だが、ビタミンに比べ必要量が 多いのでビタミンには分類されない。レシチン、スフィンゴミエリンの構成成分に なったり神経伝達物質のアセチルコリンなどになる。抗脂肝因子といわれ不足すると 脂肪肝、腎障害、成長抑制などが起こる。卵黄、肝、豆類、小麦胚芽などに多く含まれる |
コールド チェーン |
食品の加工や貯蔵のシステムで、冷凍食品の品質を保つため-20℃以下で貯蔵、流通 させる |
コレステロール | 動物性ステロールで細胞膜を構成する成分。主に肝臓で生合成され、副腎皮質ホルモン ビタミンD、胆汁酸などの材料となる。血管壁に多量に沈着すると動脈硬化の要因となり 胆石も形成する。食事に飽和脂肪酸の割合が多くなるほど血漿コレステロールの濃度も 高くなり、不飽和脂肪酸の割合が多くなると低くなる |
混成酒 | 蒸留酒、エタノール、ワインなどに果実、草木の根・茎・葉・花・種子・糖分、麹などを 浸漬し、それらの成分を利用し風味をつける。(例)リキュール、みりん |
献立 | 喫食の目的や対象によって食材を選択し、数量を決め、それらを合理的に組み合わせ 調理の形式を示したもの。(類)食事計画 |
蒟蒻 | サトイモ科の球茎植物で、乾燥物を精粉しこんにゃくの原料とする。これにアルカリを 加えて加熱すると凝固しゲル化する。食用こんやくには2%ほどマンナンが含まれ、 血漿コレステロール値を低下させたり、腸管で異物を吸着排出するためダイエタリー ファイバーとして知られている |
昆布 | 褐藻類、コンブ科の海藻で、マコンブ、リシリコンブ、ミツイシコンブが有名。うまみ 成分であるグルタミン酸ナトリウムの含量が多く独特の風味を持つため、出し汁の 調整に繁用される。カルシウムを800mg/100g含むためカルシウム供給源とてし も優れている |
【さ〜そ】 | |
細菌性食中毒 | 細菌によって引き起こされる食中毒で、感染型と毒素型がある。感染型は食品中で増殖 した食中毒菌を食品とともに摂取し、菌が腸管内粘膜を冒し下痢、腹痛、発熱などの 急性胃腸炎症状を呈する(サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、病原大腸菌、 ウエルシュ菌)。毒素型は食品中で菌が増殖する際に作られる毒素を食品とともに 摂取し腸管で吸収され嘔吐などの症状を呈する(黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、 セレウス菌) |
魚 | 脊椎動物魚綱に属するが円口類(ヤツメウナギ類)は除かれる。サメ、エイなどの軟骨 魚類とタイ、マグロなどの硬骨魚類に分類され、生息場所によって淡水、海水、汽水系 に分かれさらに深海魚、回遊魚などの分類もされる。世界中で約13000種が知られ、 可食部はアジサバなどで45〜50%、ウナギ、アナゴなどは80〜100%である。 蛋白質は20〜30%を占め海に囲まれた日本では古来から重要な蛋白源として利用された |
作業代謝 | 仕事や労働又は運動をする為のエネルギー代謝量で基礎代謝は含まない。作業維持の ための筋肉緊張、作業周辺に要するエネルギー、作業本体に要するエネルギー、この3 つの要素からなる |
鮭 | サケ科の総称で、ベニザケ、サケ、ギンザケ、カラフトマス、マスノスケなどがあり、 北洋の漁場や日本の河川に流入するものを捕獲する。蛋白質21%、脂質8%で刺身 塩焼き、フライ、照り焼き、鍋などに利用し、荒巻、缶詰、燻製で流通する。卵は コレステロールが多く筋子やイクラとなる |
サッカリン | 蔗糖の約500倍の甘味を持つ人工甘味料で、吸収は良くほとんど代謝されず尿中に排泄 される。1960年代にラットによる膀胱癌の発生が報告され使用が禁止されたが、再度の 試験で発癌性は認められず、現在は食品衛生法で使用できる食品と量の基準が決めら れている。雄ラットによる研究で結石を形成することがあり、この刺激で膀胱癌が発生 すると考えられている |
殺菌 | 細菌などの微生物に不可逆的な増殖阻止を起こさせ死滅させる。死滅させないで阻止 することは静菌といい、殺菌にはすべての微生物を完全に死滅させる滅菌と、病原 微生物を除く消毒とがある。殺菌の方法としては加熱や紫外線による物理的方法と 薬品を用いた化学的方法がある。食品に直接添加する殺菌料には過酸化水素があり、 古くは使用禁止になったAF2が有名である。サラシ粉、次亜塩素酸ナトリウムは水や 器具、食器類の消毒に用いる。また、保存料としてソルビン酸や安息香酸系の 化合物があり、静菌的に働く |
砂糖 | 甘藷、テンサイを原料として製造する蔗糖の工業製品を総称して砂糖といい、普通、 精製糖(白砂糖)を指すことが多い |
サポニン | 植物の種実、根茎、葉などに広く分布する発泡性の配糖体。有毒成分で溶血作用がある が、種類によっては去痰、抗炎症、抗アレルギーなどの作用もある |
サリチル酸 | 酒の防腐剤として用いられていたが、WHOの勧告や世論の反対運動などで1969年、 全面禁止になる。また、腐食作用を利用してイボ取りの薬に利用されている |
酸塩基平衡 | 生体が正常に機能を営むには、体液の浸透圧や水素イオン濃度などの体内環境が一定 でなくてはならない。生体は代謝によって有機酸などを発生し体液は酸性に傾くが、 緩衝作用により、水素イオン濃度を中和させpHの大きな変動を防ぎ平衡を維持する |
酸価 | 油脂やロウ1gに含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で、 油脂やロウの精製度、劣化の程度を示す |
酸化還元 | 酸化と還元は必ず対になって起こる。A,Bふたつの分子の酸化還元反応では、Aが酸化 されるとBは還元を受ける |
酸化脂肪酸 | 脂肪酸が化学薬品や空気中の酸素により酸化され、オキシ酸やカルボニル化合物を生成 し不快臭や味の劣化の原因になる |
酸化油脂 | 油脂の酸化は化学薬品や空気中の酸素で起こるが、特に後者の場合をいう。不飽和脂肪 酸は酸化しやすく、品質の劣化を起こし毒性さえ呈する |
三色配分比率 | 1日に必要な食物のエネルギー量や栄養素を、朝・昼・夕食にどのように配分するかの 比率 |
酸性食品・ア ルカリ性食品 |
味覚を元にした分類ではなく、体内に残る固定酸を持つ食品を酸性食品といい、固定 塩基をもつ食品をアルカリ性食品という。食物を焼いた灰分の水溶液が酸性を示す ものを酸性食品といい、これを中和するのに要するアルカリ溶液のml数を酸度という。 水溶液がアルカリ性を示すものをアルカリ性食品といい、これを中和するのに要する 酸性溶液のml数をアルカリ度という。両方の食品を組み合わせ、酸度、アルカリ度が ゼロに近いものを中性食品という。一部の食養家や団体では酸性食、アルカリ性食 を拡大解釈しその理念の説明に用いる場合があるが、主張のような根拠の 無いことが証明されている |
酸敗 | 不飽和脂肪酸を構成成分とする脂肪は酸化を受けやすく、酸化が進行すると異臭を 発し粘度を増し毒性を示すことがある |
残留農薬 | 農作物や環境に残留し汚染源となる農薬をいい、分解されにくく長期に滞留し毒性の 強いBHCなどが問題とされている |
ジアスターゼ | デンプン分解酵素 |
紫外線殺菌 | 紫外線の殺菌作用を応用するもので、殺菌効果の高い波長2537Åが出る灯を用いる。 脂肪に照射すると過酸化反応を誘発する |
自家中毒 | 2〜10歳の小児に起こる原因不明の病気で、、突然元気がなくなり顔面蒼白で腹痛、 嘔吐を催す。末梢でのグルコースや脂肪酸の代謝障害と考えられている |
自己消化 | 組織中に存在する酵素によって、自己を形成している物質を分解する。例えば、食肉 の熟成に見られる風味の増加、肉質の軟化など |
脂質 | 一般的に水に不溶で、エタノール、クロロホルムなどの溶媒に可溶な、生体内で代謝 される成分の総称。トリグリセリド、リン脂質、ステロール、ロウ、色素類を含み、 単純脂質と複合脂質に分類される |
思春期栄養 | まだ研究が始まったばかりの分野で、特に女性の思春期(8〜18歳)の肥満に関する ものが多い |
紫蘇 | シソ科の植物で、葉、穂、実を食用にする。特有の香りのため添え物に、赤紫蘇は梅干 しなどの着色に利用される |
ジベレリン | イネ馬鹿菌病の原因として発見されたカビの生産する物質で、植物の成長ホルモンの 一種。16種類の類似物質が知られ、ミツバ、セロリー、ほうれん草などの成長促進、 ウド、種なしブドウの栽培に用いる |
脂肪 | 脂質のうち、中性脂肪をいうが脂質と同義語として用いることもある |
脂肪酸 | 一個のカルボキシル基をもち、炭素原子が鎖状に結合したカルボン酸の総称 一般式RCOOHで表され、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類される |
脂肪組織 | 皮下や腹腔内腎臓周辺にあり、脂肪をエネルギー源として貯蔵する |
習慣性多食 | 食欲は視床下部の摂食中枢と満腹中枢によってコントロールされるが、摂食中枢が持続的 に活動するように習慣づけられると多食が起こる |
集団食中毒 | 生の食品、加工食品、調理食品、集団給食などにより広域、多人数が同時に食中毒に 罹る。家庭での発生が最も多く、次いで学校給食になる。原因は魚介類、野菜、加工 食品、複合調理食品が多く、近年では、おにぎり、仕出し弁当などの穀類によるもの が増えている。病因の約15%は不明で、84%が細菌性、1%が自然毒である。 細菌性のものでは腸炎ビブリオが最も多く、次いでサルモネラ、病原大腸菌、 ブドウ球菌などである |
シュクラーゼ | 蔗糖をブドウ糖と果糖に加水分解する酵素でサッカラーゼともいう。小腸絨毛粘膜に 局在し蔗糖がそこに到達すると同時に水解、吸収されるので、ブドウ糖や果糖として 与えるより蔗糖として与えた方が吸収は早い |
主食 | 日本では古来より主食、副食の区別が明確で、主食として穀類が利用された。これは 貧しい地域や時代に特徴的なことで、豊かになるに連れ動物性食品の比率が高まり 主食、副食の比率が逆転し、それによって生活習慣病の心配が生じる。伝統食への 回帰が叫ばれるが、肉、魚などの蛋白食が基礎にあっての粗食であることを忘れて はならず、極端な菜食で逆に健康を損なう例も認められる |
酒石酸 | 主に果実中に含まれ、又ぶどう酒などの醸造中に酒石として析出し強い酸性を示す |
術後栄養 | 手術の侵襲による消耗エネルギーの補給や創傷の治癒促進、全身状態の回復を目的に した栄養補給。術後は基礎代謝が亢進しているためカロリーで40〜50kcal/kg(体重) を与え蛋白質はプロテインスコアーの高いものを2〜3g/kg(体重)が望ましい |
術前栄養 | 手術侵襲による障害を少なくし、侵襲からの回復の促進、組織の修復、合併症の予防 を目的にした栄養補給。血色素量12.0g/dl、ヘマトクリット値40%、血清総蛋白 6.0g/dl、アルブミン2.5g/dlを最低目標とし、カロリーで50〜60kcl/kg(体重) 蛋白質1.5〜2.0g/kg(体重)を摂取する |
授乳 | 乳児の発育や健康のために乳汁を与えることを言い、母乳栄養では人乳を人工栄養では 牛乳、山羊乳、粉乳、無糖練乳などを用いる。授乳中はプロラクチンやオキシトシンなど のホルモンの影響で月経の再開が抑制される。乳児が8〜10ヶ月になれば断乳の準備に かかる。授乳中は十分なカロリーと蛋白質、カルシウムなどのミネラルの補給を心がける |
旬 | 魚介類、野菜、果物など年間を通して特に美味となる時期。畜産物には明瞭な旬はない。 野菜は出荷時期を旬としていたが、ハウス栽培の普及で通年流通するものが多い |
消化 | 食品に含まれる栄養素を水又は脂肪に溶かし、高分子の場合は低分子に分解して吸収 しやすくする。調理も消化の一段階に含めることがあり、口腔→食道→胃→小腸→大腸 へと進み、それぞれ唾液、胃液、腸液などの消化酵素が分泌される。消化管は蠕動運動に よって食物を先に送り混和運動によって消化吸収を促す |
生姜 | 熱帯アジア東部原産のショウガ科の植物の根で、香辛料として魚、肉の臭み消し、薬味、 調味料、漬物として用いる。辛味成分はジンゲロン、ショーガオール、香り成分はシネ オールシトロネラールなど |
消化液 | 消化腺から消化管内に分泌され食物の消化に関与する液体。消化酵素を含む唾液、胃液 膵液などや消化酵素を含まないが脂肪の消化を促す胆汁がある |
消化管 ホルモン |
おもに胃・十二指腸・小腸上部の腺細胞で作られ、食物摂取とその消化物の刺激により 血中に内分泌され、消化器官に作用して消化液の分泌や消化管の運動を調節する |
消化器 | 口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、腹膜と付属器官の唾液腺、膵臓、肝臓、胆道系 |
条件反射 | 生後獲得された反射。(反)無条件反射:生まれつき持っている反射 |
精進料理 | 仏教の教えに従い肉食を避け野菜、豆類、海草を主体とした料理で、寺院などで発達し 茶道の懐石などに取り入れられる |
浄水 | 地表や地下水から取水した原水を飲料水に供するよう処理する |
脂溶性ビタミン | ビタミン類の中で水に溶けず脂肪に溶ける性質を持つ。A,D,K,E,など |
醸造酒 | 醸造によって作られた酒で、蒸留酒や混成酒は含まない。(例)清酒、ビール、ワインなど |
焼酎 | 日本の代表的な蒸留酒で、原料により芋、麦、米、そばなどに分類される |
消毒 | 伝染病や細菌性食中毒を予防するため、それらの病原体を死滅させる処置。煮沸や光線 などの物理的方法と薬品による化学的方法がある |
消泡剤 | 大豆から豆乳や豆腐を作るとき泡が生じるため、それを消すための添加剤。シリコン 樹脂やアルコール、モノグリセリドなどがある |
静脈栄養 | 従来、静脈からの栄養投与は5〜10%の糖液を主に末梢静脈から行われていたが、更に 高濃度で高カロリーの輸液を静注するため、血流量の多い上大静脈(中心静脈)から行う ようになった |
醤油 | 大豆と小麦を原料とする日本独特の液体調味料。大豆と小麦に蛋白質分解力の強い麹菌 を混ぜ、約3日ほどで麹が生成する。それに食塩を加え熟成させる。麹菌によって蛋白質 がアミノ酸やペプチドに、デンプンがグルコースに、脂肪が脂肪酸やグリセリンに加水分解 されその他にも乳酸や酢酸が生成し醤油特有の味や香りとなる。化学醤油は蛋白質原料 を塩酸で加水分解した液に、糖、有機酸、香り成分を添加して作る。醸造醤油に比べ原料 の利用率も高く短期間に製造ができる。醸造醤油と化学醤油を混合したものが半化学醤油 |
蒸留酒 | 醸造して得たもろみを適当な方法で蒸留して作る酒。原料の違いによりブランデー (ぶどう)、ウイスキー(大麦)、バーボン(とうもろこし)、焼酎(芋、米)などに 分類する。普通、焼酎以外は、数年〜10数年間樽詰めし熟成後、ブレンドして製品 となる。アルコール度数は焼酎で35〜25%、ウイスキー、ブランデーで45%程度、 中には80%を超える酒もある |
食餌性繊維 | 植物性食品の細胞壁に存在する消化されない、リグニンなどの多糖類。消化管内で水の吸 収・保持、有機物質や金属イオンの吸着作用、膨潤作用を行い様々な疾病の予防に役立つ (類)食物繊維 |
食事箋 | 医師が治療の目的で発行する食事内容を指示した書類。病名、性別、年齢、体格、食事種 別、調理の硬さ、一日の栄養指示量、必要によっては回数、禁止食、治療方針や希望事項 などを記載する |
食習慣 | その場の状況に応じて適切に反応できるよう学習によって獲得した反射的食行動様式。 日常生活ではほとんど意識されることなく、無意識的に反復、継続する。食習慣は生理的 なものと同時に感性や理性が関わり、社会、経済、文化などの影響を受け形成され、形成 された食習慣を変えるのは困難である |
食事療法 | 疾病治療に対して積極的な役割を果たす食事を与えること |
食酢 | 酢酸を主成分とする酸性調味料で他に様々な有機酸、アミノ酸、エステル、糖類を含み 独特の風味を持つ |
食生活 | 人間の生活のうち食に関わる側面。食の生産、供給、加工、調理、摂食などの行為 |
食中毒 | 飲食物の摂取直後から数日以内に起こる急性胃腸炎を主症状とする健康障害。原因は 細菌、化学物質、自然毒など |
食品衛生 | 飲食が原因で発生する健康障害を未然に予防しようとする公衆衛生の一分野。食品そのも のが持つ有害成分の他、生産、加工などの過程で外部から混入する有害物質がある |
食品群 | 日常食品について栄養成分の類似した食品を集めて通常1〜6群に分類する。1群:魚介 肉・卵・大豆製品、2群:牛乳・乳製品・海藻・骨ごと食べる魚、3群:緑黄色野菜類、 4群:その他の野菜と果実類、5群:砂糖・米・小麦粉・パン・めん・いも類、6群: 食用油・バターマーガリン |
食品交換表 | 糖尿病、腎臓病の食事療法で、80kcalを1単位として、栄養上等価値の食品を互いに交換 出来るよう表示し、変化のある献立をつくる |
食品添加物 | 食品の加工、保存などの目的で、食品に使用する化学合成品や天然添加物。 甘味料、着色料、保存料、増粘剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防黴剤などがあり 1)食品製造に必要、2)食品の保存性を高め食中毒を防ぐ、3)食品の品質を向上さ せる、4)食品の風味や外観を良くする、5)食品の栄養価値を高める、などの目的で 使用されるが、同時に安全性に関する検討が必要である |
食品放射能 汚染 |
1954年、太平洋ビキニ環礁での原爆実験によるマグロなどの魚類の汚染が最初。その後 核実験や原子力発電所の運転に伴い、地球規模で汚染が広がり、穀物、野菜、乳製品、 飲料水など食品一般に及ぶ。ストロンチウム89,90、セシウム137、ヨード131などが 報告されている |
植物 ステロール |
動物のコレステロールに相当するもので、植物の油脂に多く含まれる。βシトステロール カンペステロール、エルゴステロール、ブラシカステロール、スチグマステロールなどで コレステロールを低下させる作用が注目されている |
食物連鎖 | 生態系に拡散した農薬や化学物質などが各種小動物に取り込まれ、それが捕食されること で次第に大動物に移動し濃縮され、最終的に人に取り込まれる過程 |
食欲 | 食物に対する感覚は五感(視、聴、嗅、味、触)の他、食欲、空腹、満腹、渇、嗜好、 があるが、食欲とは食物に対する願望で空腹の前段階と考えられる。心理的要素や 年齢、性、生活習慣、食体験などに影響される |
塩汁 | しょつつると読み秋田県特産の魚醤油の一種。ハタハタ、イワシ、イカナゴ、アジ、小サバ などの頭部、内臓を除き、魚体の40%くらいの食塩を加え樽に詰め、約1年放置し、濾過し 煮沸後、数ヶ月保管し仕上げる |
蔗糖 | 砂糖の別名で、グルコース、フルクトースからなるニ糖類 |
ジンゲロン | 生姜の根茎にふくまれる香気成分の一種で、魚臭成分と結合することで矯臭効果がある |
人工栄養 | 乳児を牛乳または牛乳加工品で栄養すること |
人工甘味料 | 人工的に合成した甘味料で、サッカリン、ズルチン、サイクラミン酸ナトリウムが 使われてきたが、毒性があるため食品衛生法でその使用が制限されたり、 禁止されている。日本ではサッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸 ナトリウム、Dソルビトール、Dキシロース、アスパルテームの使用が 認められている |
腎臓病食 | 腎臓の負担を軽減するための食事療法として、刺激物がなく、蛋白質、食塩、水分の 少ない食が好ましいが、全身栄養を考慮し、腎疾患の時期や軽重によって異なる |
シナモン | スパイスの一種で、クスノキ科の肉桂の樹皮を用いる。主成分はシンナミックアルデヒドで 特有な香りと甘味があり、ソース、飲料に利用される |
膵液 | 膵臓の外分泌部から分泌される消化液で、1日約1.5L分泌されPH7.0〜8.5と弱アルカリ を呈し、胃からの酸性内容物を中和する。αアミラーゼによってデンプンを、トリプシン、 キモトリプシンによって蛋白質を、リパーゼによって脂肪を分解する |
水産練製品 | 魚肉に食塩を加え擂り潰し、調味量その他の副原料を加え加熱して仕上げた加工食品 かまぼこ、簀巻き、魚肉ソーセージ、はんぺん、竹輪、薩摩揚げなど |
水分代謝 | 人は1日におおよそ飲料水から1200ml、食物から1000mlの水分を摂取し、これとは 別に体内で代謝され発生する水300mlを得る。計2500mlの水は皮膚、肺から蒸気と なり、腎臓からは尿となり、腸管からは糞便とともに排泄されバランスを保つ |
水溶性 ビタミン |
ビタミン類の中で、水溶性の性質を持つもの。多くはビタミンB複合体と総称され、B1 (チアミン)、B2(リボ不ラビン)、B6(ピリドキシン)、B12(コバラミン) のほか、ナイアシン、ニコチン酸、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、 ビタミンPなどがある |
ステビア | 南米が原産といわれるキク科の多年生草で、天然甘味料として利用される |
ストロンチウム | 骨組織に0.02%ほど含まれる元素で、核実験や原子力発電所の運転に伴い放出された ストロンチウム90が牧草を通じ、食物連鎖で人に取り込まれ骨髓の造血機能を害する |
スパイス | 香辛料の総称で、芳香性、刺激性を備え食品の調味、保存などのために用いられる。 種子、果実、花、葉、樹皮、根など植物の利用部位により分類され、刺激性、芳香性、 着色性などの作用を持つ。辛味スパイス:ジンジャー、ペッパー、マスタード、わさび、 山椒。芳香性スパイス:オールスパイス、アニス、バジル、セロリ、クローブ、 シナモン、フェンネル、ナツメグ。矯味スパイス:ガーリック、ベイリーフ、オニオン、 オレガノ、ローズマリー、タイム。着色スパイス:パプリカ、サフラン、ターメリック |
青酸配糖体 | 青酸を含んだ配糖体で、有名なものは梅などのアミグダリンがある |
清酒 | 日本酒のことを言い、精白された白米と米麹を用い、酒酵母を加え糖化しつつアルコール 発酵を行う。アルコール度20%くらいで終了し、濾過後加熱して仕上げる |
生体アミン | 生体に存在する生理活性を持つアミンの総称で、フェニールアミン、カテコールアミン、 インドールアミン、イミダゾールアミン、ポリアミンなどがあり、神経伝達物質やホルモン として働くものが多い |
生理的燃焼値 | 飲食物に含まれる熱となる栄養素1gが体内で吸収され燃焼し発生する熱量。炭水化物: 4.1kcal、脂肪:9.3kcal、蛋白質:5.6kcalという物理的燃焼値を元に、生体での吸収率 や燃焼率を考えて、炭水化物:4kcal、脂肪:9kcal、蛋白質:4kcalとする |
清涼飲料水 | 爽快味、清涼感を与え、アルコール(1%以上)を含まない飲料で、発泡性と非発泡性 がある |
世界保健機関 | WHO(world
health organization)とも言い、国際連合の事業の保健衛生の分野を 受け持つ |
摂食中枢 | 脳視床下部の活動によって摂食の開始、中止が調節される。体温を感知しての調節、 また糖の変化による調節、脂肪量による調節などの説に分かれている |
絶食療法 | 断食療法とも言い、毎日一定量の水は飲むが食物は摂らない。水も食物も摂らない ものを絶対断食といい、これを継続するのは危険である。古来宗教の儀式や修行と して行われてきたが、東洋医学では治療法として利用された |
ゼラチン | 動物の真皮、腱、骨などを構成する繊維状蛋白質であるコラーゲンを熱水処理して得る。 温水に溶けて粘度の高い溶液(ゾル)となり、室温まで冷やすと弾力のある個体(ゲル) となる |
繊維 | 植物細胞壁の成分で、人の消化酵素で分解されないため、利用不能とされてきたが、 最近になってコレステロール低下作用や消化管での毒物の吸着作用、大腸癌の予防 効果が明らかになり、第6の栄養素とさえいわれる |
粗蛋白質 | 食品中の蛋白質を定量するとき、濃硫酸で分解し発生するアンモニア量を測定し、それに 換算係数を乗じて算出するが、核酸などの窒素化合物もあるため正確な蛋白質量とは いえないため粗蛋白質量としている |
蕎麦 | 中央アジア原産のタデ科の植物で、耐寒性が強く、60〜80日という短期間に収穫可能で 種子を荒びきし外皮を除去し製粉する。デンプン70%、蛋白質10%を含み穀物蛋白質に 比べリジン、スレオニン、トリプトファンは多いがメチオニンが少なく、他に、ルテイン が多く含まれることが知られている |
ソラニン | ジャガイモ、トマトなどに含まれるアルカロイドで、特にジャガイモの芽にはα,β,γ ソラニンとα,β,γチャコニンの6種がある。芽や青くなった部分、古いものを食べると ソラニン中毒によって頭痛、嘔吐、下痢に見舞われ、命に関わることもある |
ソルビトール | 各種果実、海藻などに存在する糖アルコールで、工業的にはグルコースを還元して製造 する。インシュリンの作用に関与しないため糖尿病食や甘味料に、吸湿性を生かし化粧品 医薬品、繊維工業などに利用される |
ソルビン酸 | 水に難溶性のため、ソルビン酸カリウム塩を食品添加物の保存料として用いる。0.1% 前後の添加でカビ、酵母、細菌などの発育を阻止するが、乳酸菌や嫌気性胞子形成菌 にはほとんど無効 |
【た〜と】 | |
鯛 | タイ科の魚の総称で、北海道南部から九州までの岩礁地帯に棲む。タイと言う名前の 付く魚は80種に及ぶが、タイにあやかった名前もあり、すべてがタイ科ではない |
ダイエット フーズ |
肥満防止、虫歯予防などの目的で糖分を制限した食品。アメリカで作られ、ガム、 キャンデー、チョコレート、炭酸飲料などがある。(類)低エネルギー食品 |
代謝 | 生体内で行われる物理的・化学的反応で、これによって生じるエネルギーは生命維持 や運動、分泌、成長などの生活現象に利用され、熱となって放散される |
大豆 | 成育期間の短い夏大豆と長い秋大豆があり、日本では後者が多く、枝豆として未熟 のものを食用にする品種と、完熟させる品種がある。蛋白質は30〜40%でグリニシン グロブリン、アルブミンが含まれアミノ酸はリジンが多くメチオニン、シスチンがやや 少ない。脂質はオレイン酸、リノール酸、リノレン酸が多く飽和脂肪酸は少ない。 植物蛋白質として味噌、醤油、納豆、豆腐、きな粉、もやしなどに広く利用され。 大豆油を取ったカスは脱脂大豆として家畜の飼料や加工食品に用いられる |
代替食品 | 戦中、戦後の食糧配給制度の下で、米の生産が間に合わず、米の代わりに、小麦粉 サツマイモ、大豆かす、トウモロコシ粉、デンプン、ジャガイモ、コウリャン、缶詰、 砂糖などありとあらゆる食品を配給した。 米1合の代わりに何を何グラムと決められていた |
大腸菌 | 人や動物の腸内に多数存在する長さ1〜4μのグラム陰性桿菌で、ブドウ糖や乳糖を 分解して酸とガスを産生する。通常無害の菌であるが、時に尿路感染、腎盂炎、 胆嚢炎、虫垂炎を起こすことがあり、病原性の高い大腸菌も知られている。糞便に よる汚染の指標として大腸菌を検査する |
タウリン | イカ、タコなどの軟体動物の遊離アミノ酸で、スルメの表面に白く吹出す成分 |
唾液 | 耳下腺、舌下腺、顎下腺などから口腔内に分泌される。さらさらした唾液は プチアリンを含み炭水化物を分解し、粘液性のあるムチンを含む唾液は食物を潤し、 消化や嚥下を助ける |
タケノコ | 竹の幼茎で地表に出現する直前から直後のものが良いとされる。セルロースが多く 栄養価は殆どないが、旨味成分としてグルタミン酸、アデニール酸を含む |
たこ | 軟体動物頭足綱八腕類の属するものの総称でマダコ、ミズダコ、テナガダコ、 イイダコなどを食用にする。水分が81%で脂質0.7%、蛋白質16%でタウリンが 多く含まれる |
脱脂療法 | 肥満症患者の脂肪を減らすための食事療法。脂肪と炭水化物を制限し、蛋白質は 制限しないのが原則。リンゴ療法では1日に1〜1.5kgのリンゴを皮付きのまま おろし、これと番茶だけを与える。他にも牛乳療法やステーキ療法などがある |
タマゴ テングタケ |
10種以上の致死性有毒成分を持つキノコ。速効性・ファ□トキシン系毒と遅効性・ アマトキシン系毒を持ち、速効性毒は1〜2時間以内で、遅効性毒は2〜4日で 肝臓・腎臓の組織を破壊し死に至る |
たまねぎ | ねぎ類の一種で鱗茎を食用にする。褐色の皮にはケルセチンが、鱗茎には臭気成分 や催涙成分、辛味成分などが含まれる |
タール色素 | 塩基性タール色素は食品に使用できない。食品衛生法で着色料として認められ ているのは酸性タール色素で使用制限が設けられている |
断食 | 災害時や各種疾患や手術時にも起こりうるが、肥満や生活習慣病の治療や宗教行事 としても行われる。水だけ飲んで、体重減少が40%以上に達する50〜60日が生存の 限界とされている。水分まで断てば14日程度で水分欠乏のため死亡する |
胆汁 | 肝臓の実質細胞で産生され、胆嚢で濃縮・貯蔵し十二指腸部に分泌される。 コール酸、デオキシコール酸、コレステロール、ビリルビンなどを含み 脂肪を乳化し消化を促進する |
炭水化物 | 炭素(C)水素(H)酸素(O)からなる化合物で、一般的には糖や糖関連の化合物 のみをいう |
タンニン | 植物界に広く分布し水に良く溶け収斂性が強く、鉄と結合して暗緑色〜暗黒色を呈する |
蛋白 カロリー比 |
総摂取エネルギーに占める蛋白質摂取エネルギーの比率。この比率によって蛋白 質摂取量の適・不適や、食事の質の良否を判定する。球根や茎葉を常食とすれば6%、 動物性食品を常食とすれば30%ほどになるが、大部分の国において平均11% 前後である |
蛋白効率 | 体重増加を指標とした蛋白質の栄養価を表わす。PFR=体重増加/蛋白質摂取量 良質の蛋白質ほどこの値が高い |
蛋白質 | 生体を構成し遺伝情報や生命現象をなす本質的成分で、炭素(C)水素(H)酸素 (O)窒素(N)イオウ(S)などの元素からなる |
ダンピング 症候群 |
胃切除者の食後に見られる冷汗、動悸、めまい、しびれ、顔面紅潮、蒼白、頭重、 胸内苦満、腹鳴、腹痛、下痢、嘔吐などの症状。摂取食物が急激に十二指腸や小腸に 達し、消化管粘膜で機械的、化学的刺激が起こるためと考えられている |
チーズ | 乳、クリーム、脱脂乳を凝固させ、ホエーを除いて得られるもの、又はそれを微生物 によって発酵・熟成させたもの。脂質、蛋白質、ビタミンAが牛乳成分の約10倍に、 カルシウムビタミンBが約5倍に濃縮され、カロリーも6倍である。乳糖をほとんど 含まないので乳糖不耐症には都合が良いが、脂質などの過剰摂取に注意がいる |
中華料理 症候群 |
中華料理店で食事を摂ったとき、見られることのある一過性の食後不快感。顔面から 上肢にかけての熱感、圧迫感、しびれ感を言い、原因は中華料理に含まれる高濃度 のグルタミン酸ナトリウムと疑われたが、多くの研究でその証拠は見出されていない。 アメリカのマスメディアによってつくられた主観的な心理症状に過ぎないとも言われて いる |
中間宿主 | 寄生虫のなかには幼虫と成虫でその宿主が異なることがあり、幼虫のときの宿主をいう |
中間水分食品 | 生鮮食品の水分活性(0.85以上)、乾燥品の水分活性(約0.2)でこの中間の水分活性 (0.65〜0.85)を示す食品で含水率は10〜40%程度である。魚の干物、ジャム、 サラミソーセージ、佃煮、蜂蜜、レーズン、干し柿などが中間水分食品に該当し 保存性が高い |
中性脂肪 | いわゆる脂肪のことで、グリセリンと脂肪酸が結合した単純脂質。動物では皮下、 腹壁などに蓄えられ、植物では種子に多い。(類)油脂 |
中毒 | 化学物質に曝露することで生体に望ましくない影響があらわれること。毒物と薬物の 境界は中毒のあるなしの量的なものであり、毒性のない化学物質はなく、使用法に よって有益か有害かに分かれるが、普通は少量で強い毒性のあるものを毒物という。 自然毒と人工(合成)毒に2分され、自然毒には動物と植物と鉱物由来のものがあり 大量の毒物により起こる急性中毒と、少量、長期摂取で起こる慢性中毒がある |
腸内細菌 | 人や動物の腸内に生息している細菌で大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、変形菌などを 含むビタミン合成、消化吸収、感染の防御など健康維持に有用な菌もあれば、異常発酵 し毒素を発生させるものや病原性を持つものもある |
調味料 | 食品の味をととのえ味覚、嗅覚を刺激し食欲を増進させ、食生活を快適にする。味付け 以外にも醤油で色をつける、みりんで照りを出す、酢で組織をひきしめる、食塩・砂糖で 腐敗を防ぐなどの目的で使用される |
調理栄養 損失率 |
調理による栄養素の損失をいい、ビタミンや無機質で大きいが、食品の種類、性質、 調理方法により著しく異なる |
貯蔵蛋白質 | 易動性蛋白質ともいい、人や動物で低蛋白食や飢餓によって不足した蛋白を補うため 体の組織から蛋白質を動員する。肝臓が最も多く、筋や皮膚組織も率として大きい |
治療食 | 病気の治療を目的に病人に与えられる食事で、一般食と特別食に大別される |
痛風 | 高尿酸血症に伴い組織に尿酸の結晶が析出し、関節の発赤や腫脹がおこる |
テアニン | 茶の旨味成分の一つで、乾燥茶葉に1.1〜1.7%含まれ玉露に多く煎茶に少ない |
低エネルギー 食品 |
通常の食品よりエネルギー量を50%以下に減じ、糖尿病、肥満症などに用いる特別 用途標示食品 |
低温障害 | 青果物を低温で貯蔵すると、常温で貯蔵するよりかえって変質や腐敗しやすくなる。 熱帯や亜熱帯原産の野菜や果実に多くみられる |
TCAサイクル | 糖質、脂質、アミノ酸に由来するアセチルCoAを酸化的に分解する回路でクエン酸 サイクルともいう |
低蛋白食品 | 通常の食品より蛋白質を50%以下に減らしたもので、腎疾患などで蛋白質制限食を 必要とする人に用いる。エネルギー量は同種食品とほぼ同じか高いものもある |
呈味物質 | 味細胞を刺激し味の感覚を与える物質 |
デキストリン | デンプンを加水分解したとき生じる分解生成物で、糖に至る中間物質 |
鉄 | 成人で体内に数グラム存在し、60〜70%はヘモグロビン鉄として酸素の運搬に 関与する |
デヒドロ酢酸 ナトリウム |
微生物に静菌的に作用する保存料で、チーズ、バター、マーガリン、清涼飲料水、 味噌、あん類に用いる |
デンプン | 植物が光合成によって得たエネルギーは糖になり、貯蔵形態として蔗糖、デンプン、 油脂などになる。デンプンはグルコースの重合多糖類で穀類、芋類の主成分である |
糖化 | 多糖を酸や酵素で加水分解して、甘味を呈する糖を生じる反応 |
凍結乾燥 | 食品を氷点下以下の温度で凍結させ、その状態のまま昇華によって水分を除去、 乾燥させる方法。低温化で凍結状態のまま食品中の水分が除去されるため、 食品の理化学的変化が小さく、水を加えることで復元性のある乾燥品が得られる。 インスタントコーヒーの製造や果汁、肉、野菜などの乾燥に用いる |
糖質 | 炭水化物ともいい自然界に広く多量に分布する有機化合物であるが、重要なのは デンプン、蔗糖、乳糖だけで最終的にはブドウ糖になる |
糖尿病 | インシュリンの作用不足によって引きおこされた物質代謝の異常状態で、遺伝的素因 に発症因子が加わって発症し高血糖、尿糖、血管合併症が見られる。症状としては 口渇、多尿、多食、多飲、全身倦怠などがあり、尿中にブドウ糖が検出される。 T型糖尿病はインシュリン依存性でインシュリン注射が不可欠となる。U型糖尿病 はインシュリン非依存性で主に生活習慣が原因で膵臓が疲弊して起こり、 食事や運動、血糖降下剤やときにはインシュリンで血糖値をコントロールする。 |
豆腐 | 大豆を一晩水につけ磨砕後、水をを加え加熱、ろ過して得た豆乳に硫酸カルシウム を加え凝固させる。さらに凝固物を型箱に入れ圧搾し上澄みを除いて仕上げる。 水分87%、蛋白質7%脂質5%を含む消化の良い栄養食品で植物性蛋白源 として優れている |
動物性蛋白比 | 魚貝類、鳥獣肉類、卵・乳製品などの動物性蛋白質の必須アミノ酸含量は植物蛋白質 に比べ一般に多く、その比率も生体が利用しやすい割合で含まれている。このため、 少なくとも蛋白質の1日総摂取量の35〜40%は動物性蛋白質として摂取するのが 望ましい |
特異動的作用 | 食物を摂取するとエネルギー代謝が数時間にわたって亢進する。その亢進は糖質、 蛋白質、脂質の各栄養素によって特異的に異なる。蛋白質がもっとも亢進し 摂取エネルギーの約30%、脂質約4%、糖質約5%で、通常の食事では 7〜8%と考えられている |
毒キノコ | 日本では約30種が知られ、中毒症状は胃腸炎型や神経症状型などさまざまである。 ツキヨタケの中毒が50%と最も多い |
特殊栄養食品 | 販売に供する食品について、栄養成分の補給ができるという表示が許される強化食品 や乳児や妊婦、病人などの特別の用途に適する特別用途食品をいう |
トマト | メキシコ原産のナス科の植物でその果実を食する。赤色色素のリコピンはカロテノイド の一種で、酸味はクエン酸 |
トリプシン | 膵臓から分泌される消化酵素で、腸内で活性化され、蛋白質を加水分解してペプトンや ポリペプチドにする |
トリプトファン | 芳香族αアミノ酸のひとつで種々の蛋白質に含まれるが、含有量は少ない。動物はトリ プトファンを合成することができないため必須アミノ酸として食物で摂取する |
トリメチルアミン | 魚類、甲殻類、軟体動物など海産動物が腐敗したとき発する「なまぐさい」臭気の成分 で主呈味成分であるトリメチルアミンオキシドが細菌により分解してトリメチルアミン になる。バラ、キク、ユリなどの花にも含まれる |
【な〜の】 | |
ナイアシン | 水溶性ビタミンのB群に属するビタミンで、別名ニコチン酸アミド。蛋白質に富む食品は ナイアシン含量が高く鳥獣肉、魚肉に多く、内臓はさらに多い、卵や牛乳、乳製品 には少なく豆類、緑色野菜の一部に多少含まれる |
菜種 | 種子に33〜40%の油脂分があり圧搾法などで油分を分離し菜種油を得る。飽和脂肪酸は 2%であとは不飽和脂肪酸からなり、エルシン酸が多いのが特徴である。最近になりこの エルシン酸に心臓障害を起こす毒性のあることが知られ、品種改良により低エルシン酸 菜種油が市販されるようになった |
納豆 | 大豆を一晩水に浸けたあと蒸煮して軟らかくなったところで、納豆菌を接種する。それを室 に入れ40℃で12〜18時間発酵させる。蛋白質と脂質に富み、発酵により蛋白質、炭水化 物などは部分的に分解され組織は軟化し、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの酵素 が産生されるので消化吸収が良い |
ナトリウム | 成人の体内に100gほど存在し、約半分は細胞外液に、40%ほどは骨に、残りは細胞内液 に分布する。骨のナトリウムは貯蔵も兼ね骨構成に関与し、細胞外液のナトリウムは浸透 圧とPHの調節を行う |
ナトリウム ポンプ |
生体膜の透過機構は受動輸送と能動輸送が考えられ、カリウムや塩素は透過による受動 輸送であるが、ナトリウムはイオンの勾配に反してエネルギーを消費し能動輸送され細胞 内から細胞外へとくみ出される |
なめこ | 粘質物の多いキノコにつけられた名称で、エノキタケ、ヌメリスギタケ、ナメスギタケの 3種がある。粘質物はおもに酸性多糖と考えられている |
軟水 | 水に溶けているカルシウムやマグネシウムの塩の含有量により水の硬度を表わす。 水100ml中に酸化カルシウムとして1mgを含むとき1度とする(酸化カルシウムは 1.4倍の酸化マグネシウムに換算)。20度以上を硬水、10度以下を軟水という。日本は 軟水が多いが硬水でお茶を入れるとタンニン、カフェイン、その他の可溶性成分の 浸出が少なくなり味が損なわれる |
肉 | 一般に食肉のことをいい、動物の可食筋肉のすべて。牛、豚、馬、羊、山羊などの家畜、 ウサギ、鹿、イノシシなどの野生動物、家禽、野鳥の肉などの総称。蛋白質18%前後、 脂肪と水分で約80%になる |
煮凝 | にこごりといい、煮魚の濃い煮汁を冷却すると弾力のある塊になる。魚肉中に含まれる 蛋白質のコラーゲンが煮ることでゼラチンとなって溶出し、冷却によりゲル化したもの |
日内変動 | 1日を周期とするリズミカルな生理活動で、体温、酸素消費量、血中代謝物濃度、血中ホ ルモン濃度、尿量、各種代謝速度、酸素活性、細胞分裂速度、薬物感受性、睡眠、摂食 摂水行動、生殖行動などほとんどの生理活動で認められる |
ニトロサミン | アミン類やアミド類が酸性条件化で亜硝酸塩と反応して生成され、発癌性を示すが人 では実証されていない。発色剤の亜硝酸ナトリウムと魚・肉類のアミンとの反応が 知られている |
日本農林規格 | 略称JAS、1950年に公布、1970年に改正され農林物資の品質の改善、生産、取引、消費 の合理化を図る。飲食料品および油脂、農林畜水産物やこれらを原料とする加工食品の 品質の基準とその表示などを定め、JSA規格に適合しているかを確認する |
乳化 | 水と油のように互いに混合できないニ種類の液体を助剤(乳化剤)の働きによって均質に 混合する |
乳児栄養 | 新生児期に引き続いて満1〜2歳頃までの栄養法をいう。生後5〜6ヶ月を過ぎると人乳や 乳児栄養品のみでは体重が停止し栄養失調を起こすので、この時期から離乳に移行する。 栄養素を満たす消化の良い半固形食をあたえ、断乳を図る |
乳糖 | グルコースとガラクトースからなるニ糖類で人乳に6.7%、牛乳に4.5%含まれる。乳糖 にラクターゼ(酵素)が働きグルコースとガラクトースに分解される |
乳糖不耐症 | 乳糖を分解する酵素・ラクターゼが欠損又は欠乏し乳糖の加水分解が障害されて起こる。 乳糖が消化吸収されることなく腸管内にとどまると、浸透圧によって腸壁より水分を 湧出させ細菌によって乳酸となり、腸の膨満、蠕動亢進、水様性下痢を起こす。 下痢は発酵臭を放ち、吐気、嘔吐、脱水が進行し栄養障害をもたらすが、乳糖摂取 を中止すれば回復する。ラクターゼは人種により欠損や欠乏に差があり、 東洋系人種は離乳とともに欠乏し活性が低下する |
妊産婦栄養 | 姙娠すると、母体とともに胎児の栄養を考慮しなくてはならない。さらに姙娠や分娩 によって起こる特異代謝も加わるので質と量の面から十分な栄養を補う必要がある |
人参 | セリ科の植物で根を食用とする。甘味はブドウ糖、蔗糖で黄橙色はβカロテンを主とする カロテノイド色素になる |
ニンニク | ねぎ類の一種で鱗茎を食用とする。特有の臭気は硫黄化合物アイリンが分解されたもの でビタミンB1と結合してアリチアミンになる。肉の臭みを取るスパイスや薬用として 利用される |
ねと | かまぼこなど練製品の貯蔵中に、変敗により表面に発生する粘質物。主に乳酸菌が繁殖 し、蔗糖を分解し生じるデキストランである。デキストランは無害であるが、製造後 時間が経過し保存が不良だったことになる。かまぼこの表面を過酸化水素水や アルコールで洗うと防止できる |
能動輸送 | ある物質が電気的・濃度的勾配に逆らって細胞膜を通過する現象で、エネルギーを 必要とする |
農薬 | 農作物を害する菌、線虫、ねずみ、その他の動物又はウイルスの防除に用いる殺菌剤、 殺虫剤およびその他の薬剤。農作物などの生理機能の増進又抑制に用いられる成長促進 剤、発芽抑制剤およびその他の薬剤。約360種の化合物と4300種にのぼる農薬が登録 され、食品に残留しないように食品衛生法によって残留基準が定められている |
【は〜ほ】 | |
胚芽米 | 精米の際、糠層のみを剥離し、胚芽を多く残した半搗米でビタミン、ミネラルなどが 利用できる。現在では胚芽残存率80%以上を胚芽精米という |
胚芽油 | 小麦、米、トウモロコシなど穀類の胚芽から分離した油で、ビタミンEを多く含む |
麦芽 | 欧米では古くからビールやウイスキーなどアルコール飲料の製造に、日本では水飴を 製造するときのデンプンの糖化剤として利用されてきた。大麦を水に浸漬し、水を換え 温度管理をして5〜7日で幼根と幼芽が出る。この汁にβアミラーゼが含まれデンプン を糖化する |
白菜 | アブラナ科の植物で、結球した葉部を食用にする。漬物、鍋料理などに広く用い、成分 はキャベツに類似しビタミンCや繊維が多い |
バター | 乳を原料とした食用油脂で、一般的に牛乳を原料とする。乳中の脂肪分を凝固させて作り、 常温でわずかに黄色味を帯びた白色の固体である。食塩を添加した有塩バターと添加 しない無塩バター、原料乳を乳酸発酵させて作る発酵バターと、そのままの無発酵バター があり、日本で市販されているのは「有塩、無発酵」がほとんどである。乳脂肪80% 以上水分17%以下で100g中にビタミンA.2400IUを含むが、飽和脂肪酸が多く コレステロールも約210mgと高い |
蜂蜜 | フルクトースとグルコースで80%を占め、少量の蔗糖も含まれる。蛋白質0.2%、 灰分0.1%ビタミンB群(B6が多い)などが含まれている。採集された花の種類に よって色、香り、味品質が異なる |
発酵 | 微生物の働きで有機化合物を分解したり、新たな有機化合物を作り出す方法。 作り出される製品にちなんでアルコール発酵、酢酸発酵、乳酸発酵、 アミノ酸発酵などという |
バナナ | 熱帯アジア原産、ばしょう科の果物。腐敗しやすいので消費地へは未熟のものが送られ エチレンガスの充満した室温20〜30℃の部屋で2〜4日間熟成させる。 熟成過程でデンプンが糖化して果糖やブドウ糖に変わる |
ハマグリ | ハマグリ科の二枚貝で東北以南の浅海の砂地に棲む。水分84.2%、蛋白質10.4%で 呈味成分のコハク酸、ベタイン、アルギニンを含む |
ハム | 豚の腿の部分の肉をいい、腿肉の塩漬け製品についてもハムと呼ぶようになった。 日本では豚の他の部位の肉を用いて製造してもロースハム、ラックスハムなどといい、 魚肉ハムというのもある。原料肉から整形、血絞り、塩漬け、塩抜き、巻き締め、 乾燥、燻煙、水煮、冷却、包装の工程を経て作られる |
馬鈴薯 | 南米アンデス地方が原産といわれ、新大陸発見後、トマト、トウガラシなどとともに伝来。 塊茎を食用とし、14〜25%のデンプンが主成分で、水分70〜84%、蛋白質1.4〜2.5%を 含む。芽にはソラニンという有毒成分があるため、取り除いて食べる |
パン | 小麦粉やライ麦粉などを主原料とし、少量の塩を入れて水でこね膨化させた後、天火 などで焼く。発酵パンはイーストを、無発酵パンはベーキングパウダーを膨化剤とする |
半調理食品 | 簡単な調理や加熱ですぐに食べることのできる食品で、家庭用の冷凍食品は好みの味付 けはできないが、半調理食品では可能なため集団給食や業務用に用いられる |
パントテン酸 | ビタミンB複合体で、広く動植物に分布し、特に肝臓、卵、酵母などに多く、補酵素の 成分になる。欠乏によりネズミやトリで成長停止・皮膚炎などが起こるが、人での 欠乏症は認められていない |
半流動食 | 流動食から軟食に移る間の食餌をいい、一分粥、三分粥、五分粥、七分粥、全粥などが あり、これにスープ、牛乳、果汁、軟らかく調理された卵、魚、野菜などが加わる |
ヒアルロン酸 | 眼球の硝子体や関節液、臍帯、皮膚などに広く分布するムコ多糖類。多量の水と結合し て粘りのあるゲル状となり、組織構造の維持や細菌、毒物の侵入防御などに関与する |
稗 | 禾科の植物で稲に似るが、稲より葉の巾が広く草丈も高い。寒冷に強く痩せた土地でも 生育するため救荒作物として利用された。普通は稲作のときの雑草として駆除される。 胚乳より胚芽が大きいのが特徴で、約10%の蛋白質を含む |
BHA | 食品添加物、ブチルヒドロキシアニソールの略。熱にも安定なためフライ食品の 抗酸化剤として利用される |
BHC | ベンゼンヘキサクロライドの略で、DDTとともに有機塩素系の農薬として有名。 1970年使用禁止になるが、化学的生物学的に安定なため分解されることが少なく、 現在も環境中で循環し食物連鎖に関わっている |
ビオチン | ビタミンB複合体で、動物では腸内細菌によって合成され、補酵素として働く。 ビタミンHともいう。酵母、肝臓、腎臓に多く含まれ欠乏すると皮膚炎を 起こすことがある |
BOD | 生物学的酸素要求量といい、水中で増殖する好気性微生物の呼吸によって消費される 酸素量をppm単位で表わし、水質汚濁の指標とする |
比較基準 蛋白質 |
蛋白質の栄養価を比較評価する上で基準となりうる蛋白質。体内で完全に同化される 生物価の高いアミノ酸パターンを想定し、これを基準蛋白質とする。天然の良質蛋白質 である全卵蛋白質、人乳蛋白質も同列に扱われる |
非経腸栄養 | 消化管を通さないで栄養を補給することで、通常、末梢静脈栄養法か中心静脈栄養法 をいう |
ひじき | 褐藻類のひとつで、北海道南部から九州にかけて自生し、岩磯地帯に多い。硬いため人 ではほとんど消化されないが、カルシウム、鉄の含量が多い。近年、ヒ素を含有する ことが知られ摂取量には注意を要する |
PCB | ダイオキシン類のポリ塩化ビフェニールの略称で、カネミ油症の原因物質として有名。 電気製品の絶縁材として使われていたが、化学的生物学的に安定なため、環境や生物 の脂肪組織中に蓄積され、食物連鎖によって濃縮されやすい。1974使用禁止以来、 汚染量は年々低下し、現在では規制値の10数分の1〜数10分の1に減少している |
ヒスタミン | ヒスチジンから合成される生物学的活性アミンで生体に広く分布する。普通は肥満細胞 や好塩基球などに不活性状態で存在するが、外傷や毒素などの侵入で活性化され、 発赤、痒み、浮腫、痛み、気管支収縮など、アレルギー症状の原因となる |
ビタミン | 生体の正常な発育や物質代謝を調節し、生命活動に不可欠な微量の有機物。ふつう動物 体内では生合成されないので、食物から摂取しなければならない。水溶性ビタミンの B群、C、脂溶性ビタミンのA・D・E・Kなどに大別され、欠乏や過剰により種々の障害 が起こる。A・B・Cの名前は発見の経緯や生理作用による分類で、 他に、化学物質名がある |
ビタミンA | 脂溶性ビタミンで肝油、卵黄、バターなどに多く含まれ、植物中のカロテンも体内でこ れに変化する。A1、A2があり、欠乏すると発育不良、夜盲症や角膜、皮膚の乾燥など を起こす(別名)レチノール |
ビタミンB1 | 水溶性ビタミンで糠、大豆、レバー、魚、卵、豚肉などに多く含まれるが、日本人は穀類 から約50%を摂取している。補酵素の成分として糖質代謝に関与し欠乏すると食欲が 減退し消化不良、疲労倦怠が見られる。(別名)チアミン |
ビタミンB2 | 水溶性ビタミンでイースト、レバー、卵、チーズ、葉菜類に多く含まれ、フラビン酵素の 構成成分として細胞内の物質代謝に関与し欠乏すると皮膚や眼や粘膜面の炎症を 起こす。(別名)リボフラビン |
ビタミンB6 | 水溶性ビタミンでイースト、レバー、肉、魚、大豆に多く含まれ、蛋白質や必須脂肪酸 の利用に関与し欠乏すると皮膚炎や貧血を起こしやすくなる。(別名)ピリドキシン |
ビタミンB12 | 水溶性ビタミンでレバー、貝類、脱脂粉乳、チーズ、肉、卵黄に多く含まれ植物での含有 は稀である。動物性蛋白因子といわれ、動物などにおける核酸、蛋白質、脂質、糖類の 代謝に関与し欠乏すると貧血、神経障害を起こす。(別名)シアノコバラミン |
ビタミンC | 水溶性ビタミンで葉野菜類に多く、そのほかピーマン、イチゴ、柿、芋などに多く含まれ 細胞内の呼吸に触媒として作用し、細胞間の結合組織を強化、副腎ホルモンの生成や 利用に関与し、病気に対する抵抗力を増す。欠乏症は壊血病で歯、骨が弱くなり歯茎の 炎症、出血が見られる。ビタミンの中では最も不安定で調理による損失が大きい。 (別名)アスコルビン酸 |
ビタミンD | 脂溶性ビタミンで肝油、レバー、卵黄、バターに多く含まれカルシウムやリンの吸収を 良くし骨や歯を丈夫にし、欠乏すると小児ではクル病、成人では骨軟化症になる。 日光に当たることの少ない人は不足しないようにする。(別名)カルシフェロール |
ビタミンE | 脂溶性ビタミンで小麦胚芽油やその他の植物油、卵黄、バター、豆類に多く含まれ生殖 機能を正常に保ち筋肉の働きを良くする。老化した動物ではEの欠乏が認められるため 細胞の老化防止に役立っていると考えられている。(別名)トコフェロール |
ビタミンF | リノール酸、リノレン酸などの必須脂肪酸をいうが、この用語は現在、使われていない |
ビタミンK | 脂溶性ビタミンでキャベツ、ほうれん草、トマト、レバーなどに多く含まれ血液の凝固 に関与する。成人では腸内細菌が合成するため欠乏症は見られないが、新生児は 欠乏しやすく血液疾患を引き起こす。(別名)フィロキノン |
ビタミンM | 葉酸の別名 |
ビタミンP | ミカンなどの柑橘類の実の部分よりも袋やスジに多く含まれ、ビタミンに近い働きを するビタミン様物質で、ヘスペリジン、ルチン、ケルセチン等の総称。ポリフェノール の一種で欠乏すると血管の透過性が高くなり、出血しやすくなる |
ビタミンU | キャベツから発見された塩化メチルメチオニンスルホニウムというビタミン様物質で傷 ついた胃腸粘膜の新陳代謝や修復を促し、胃酸の分泌を抑えるため消化性潰瘍薬や 胃腸薬に配合される |
ピータン | あひるの卵を石灰、炭酸ナトリウム、木灰などのアルカリ性物質と食塩の混合液に漬 けるか、これらの混合液に土を加えてペースト状にしたものを卵の表面に塗布する。 これを冷所で熟成させるとアルカリと食塩が卵に浸透し、卵白が黒褐色のゼリー状に、 卵黄は黄褐色に変わり独特の風味をもつ |
ビフィズス菌 | 動物の腸内に生息する嫌気性乳酸菌で10数種類が発見されている。ブドウ糖を発酵 させ酢酸と乳酸をつくる。大腸菌の増殖を抑える働きがあり、年齢が増すに伴い 存在数が減少する。(類)ビフィダス菌 |
肥満 | 全身的に脂肪組織量が増加した状態をいい、単に体重が重い、浮腫や腹水などの水分 貯留、筋肉増加による体重増加は肥満とはいえない。体脂肪は男女で異なるが平均で 体重の約15〜20%程度で、30%を占めると体重増加が見られなくても肥満とする |
標準体重 | 健康な人の性別、年齢別、身長別の標準的な体重。これを基準に各種疾患の治療や食糧 資源の確保などを行う。Broca法標準体重(kg)=[身長(cm)-100]×0.9 |
病態栄養 | 疾患時の栄養。(類)臨床栄養 |
ヒラメ | ヒラメ科の魚で体が平たく目が左側につき、砂泥地の海底にすむ。白身の魚で脂肪が 1.2%と少なく老人や病人に向いている |
微量栄養元素 | 一部、生理的意義の不明なものもあるが、生体に存在する元素のうち飲食物として 微量でも摂取の必要が認められる元素。ヨウ素、フッ素、亜鉛、銅、コバルト、 マンガン、セレニウム、クローム、モリブデン、カドミウム、鉛、水銀、ヒ素、リチウム、 ホウ素、スズ、バナジウム、ニッケル、ケイ素、アルミニウムなどでホルモンや 各種酵素の構成成分、また各種代謝に関与する |
ビール | 大麦より作られた短麦芽を加熱乾燥し、粉砕したものを65℃くらいの熱水で抽出・ 糖化し得られた麦芽汁にホップを加え発酵させる。副原料として米、デンプン、 雑穀などが使われる。用いる麦芽の焙焼度、酵母の種類、製法によって多数の 種類がある。アルコール度約4%エキス分5〜8%、炭酸ガス0.2〜0.4% |
瓶詰・缶詰 | 瓶や缶に食品を詰め、密封後加熱殺菌を行うか、あらかじめ殺菌した容器に食品を加熱 殺菌して無菌的に詰める。常温下で長期保存が可能であるが、水溶性ビタミン類の損失 が大きいので、その保持のためには20℃以下で保管するのが好ましい |
貧血 | 全血液中の赤血球容積と血色素(ヘモグロビン)が正常値に比べ減少する。鉄欠乏性貧血 の他、続発性貧血、悪性貧血、溶血性貧血などがあり、造血機能を増進するとともに全身 の栄養を高める食事をとる。蛋白質、鉄、銅、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸を 十分に含む食材を用いる。肝臓、鶏卵、豆類、種実羸、リンゴ、干しぶどう、 ほうれん草、ニンジン、キャベツ、春菊など |
麩(ふ) | 小麦粉を水と練って放置しておくと、小麦粉の蛋白質であるグルテンを形成する。 水洗いしグルテンのみを分離し水分が減少し1/3なったものが生麩で、これに同量の 小麦粉とベーキングパウダーを加えて練り、棒状や板状に焼き上げる |
フィチン | 穀類、大豆など各種植物の種実に含まれるリン酸塩でカルシウム、マグネシウムなどが 含まれる。体内で遊離のカルシウムと結合するとカルシウムの利用効率を低下させる |
ふぐ | 関東以西から熱帯に多く、トラフグ、カラス、マフグ、アカメフグ、ショウサイフグ、 サバフグ、クサフグなどがある。春の産卵期が最も毒性が強く、卵巣や肝臓に多い。 毒はテトロドトキシンとよばれマウスの50%致死量は180μg/kg(経口)で食後 短時間で中毒症状をひき起こし、軽症では嘔吐、舌の知覚麻痺が、重症になると 呼吸困難で死亡する |
複合調味料 | グルタミン酸ナトリウムにイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどの核酸系 調味料を混合したもので、相乗的に旨みが増す |
フーゼル油 | アルコール発酵の際、混在するアミノ酸の分解でエタノールより沸点の高い各種 アルコールの混合物が生じ、これがアルコール飲料を飲んだときの頭痛や悪酔いの 原因になることがあった。現在のアルコール蒸留法では完全に分留除去できる |
フッ素 | 人体の骨、歯、甲状腺、皮膚に存在し、特に歯ではフッ化カルシウムとして虫歯の 予防に重要である。1日1〜2ppmが必要とされ、飲料水に1ppmほど、他に 海産物(5〜10ppm)、乾燥茶葉(100ppm)に含まれる。飲料水のフッ素含量が 3〜5ppm以上になると成長期の小児に斑状歯を発症し、エナメル質が光沢を失い、 チョークのように粗くなり表面には小さな凹みが散在する。 成人では10ppmを超えると慢性フッ素中毒が起こる |
ブドウ | 日本では生食用が主であるが、ヨーロッパでは大部分がワインやジュースとして加工 される。主成分はブドウ糖と果糖で13〜18%、酒石酸を1%ほど含む |
葡萄酒 | ブドウの果実の搾り汁を果皮についている酵母で発酵させた果実酒だが、最近では純粋 培養した優良酵母が用いられている。果実に付着する有害菌を殺し増殖を抑え、 ブドウ酒の褐変を阻止するため亜硫酸塩を添加するのが一般的である |
ブドウ糖 | もっとも普遍的な六炭糖で、グルコースともいう |
鮒(ふな) | コイ科の淡水魚で冬が旬。煮浸し、雀焼き、佃煮、味噌汁、生では刺身、酢味噌、すし、 などにするが、肝臓ジストマの幼虫が付いていることがあるので生食は避けたほうが良い |
不飽和脂肪酸 | 炭素と水素からなる脂質で炭素と炭素の結合が二重になっているものを言う(C=C)。 一重のものは飽和脂肪酸(C-C)。二重結合があると融点が低く常温で液体となり、 加熱などによって二重結合がはずれ、劣化や有害物が発生することもある |
フラボノイド | 化学構造上分類される低分子の有機化合物で、植物中に配糖体として含まれることが 多い。柑橘類の皮などから抽出されたヘスペリジン、そばのルチンなどがあり、 毛細血管の保護作用があるため動脈硬化の予防などに用いられる |
プラム | 中国原産の「すもも」のことでバラ科に属し、欧州系、アメリカ系、東洋系があり、 欧州系のものが品質にすぐれている |
ぶり | ブリ科の魚で北海道から南日本までの沿岸寄りに広く分布し、海の表面近くを活発に 遊泳する。3〜4月頃おもに九州南西部で産卵し、1年で30cm、2年で50cm、3年で 60cm、4年で70cmほどに成長する。夏になると北海道の南部まで回遊し、冬、 北から南下するものを寒ブリといい産卵に備えて脂がのり美味い |
プリン体 | 化学構造上、ピリミジン環とイミダゾール環が縮合してできる複素環式化合物である。 この構造を持つ誘導体が核酸やヌクレオチドの構成成分となる。アルカロイドである カフェインもこの構造を持つ。ヒトや霊長類では環構造はほとんど分解されずおもに 尿酸として尿に排泄される。食餌成分として摂取されたプリン体は体内で利用さ れにくく大部分が尿酸となる |
ブロイラー | アメリカの食肉業界で使われ出したが、現在では食肉用に飼育された若鶏を総称して ブロイラーという。本来は小型サイズの8〜14週齢、生体重1.13kg以下のものをいう。 運動させずに濃厚飼料で飼育するため肉質が軟らかく風味に欠ける |
プロスタ グランジン |
動物の臓器や組織に微量に存在する生理活性物質。アラキドン酸などの不飽和脂肪酸 から生合成され、化学構造によって十数種に分類される。血管拡張、血圧上昇又は降下、 子宮や気管支筋の収縮、血小板の凝集あるいはその抑制などの作用がある |
ブロメライン | パイナップルの植物組織中に存在する蛋白分解酵素で、消炎剤として用いる |
プロラクチン | 下垂体前葉から分泌される単純蛋白ホルモンで、妊娠中や授乳中に分泌が亢進する。 乳汁の分泌や乳蛋白、乳糖、乳脂肪の合成を促す一方、排卵を抑制するため生理が 止まることがある |
粉乳 | 原料乳を殺菌後、約1/3に濃縮し噴霧乾燥し粉末状にしたもので調整粉乳、加糖粉乳 全脂粉乳、脱脂粉乳などがある |
ペクチン | 果実、野菜など高等植物の細胞間物質や細胞膜の構成成分として細胞を保護する。 粘稠性がありジャムやゼリーなど果実加工品のゲル化に関与する |
ベーコン | 本来は豚の脇腹肉をいうが、一般には豚の脇腹肉を塩漬けして燻煙した肉製品 |
ヘスペリジン | ミカン、ダイダイ、ポンカン、ネーブル、オレンジ、レモンなどの柑橘類の果皮に 1.5〜3%ほど含まれるフラボノイド系色素の配糖体。ビタミンPともいわれ毛細血管 の強化に用いられる |
ベタイン | イカ、タコなどの軟体動物やエビなど甲殻類のうまみ成分で爽快な甘味を持つ。赤貝、 ウナギ、腔腸動物、植物ではさとう大根などに広く分布する |
ヘミセルロース | 細胞膜質を形成しているガラクタン、マンナン、アラバン、キシランなどの物質をいい、 ダイエタリーファイバーの一種とされている |
ペラグラ | イタリアで命名され「ざらざらした皮膚」を意味する。ビタミンの一つであるニコチン酸 アミドの欠乏症で露出部の皮膚に鮮紅色の発疹が生じ日光にあたると悪化し水疱、 膿疹、角質化し、色素沈着が起こる。その他、食欲不振、胃痛、下痢、痙攣、神経痛、 知覚異常、不眠などがみられ次第に痩せてくる |
便 | 水分が全重量の65〜85%を占め、残りは食物の未吸収残渣、腸内分泌物(胆汁、粘液、 酵素など)、消化管粘膜の剥離物、白血球などの細胞成分、消化管への排泄物、腸内 細菌などである。便の色は胆汁色素のビリルビンによるもので、胆汁の分泌が不足 すると便は灰白色や緑色を呈する |
偏食 | 好き嫌いが激しく、特定の食品だけを食べる。病的かつ体質なものは別として、健全 な食習慣のための訓練やしつけは幼児期から行う必要がある |
便秘 | 通常1日1〜2回程度、規則的な便通があるが、数日に1回しか排便がない場合をいう。 大腸の機能異常または食事で非消化性繊維の摂取不足も関係する。弛緩性と痙攣性 と直腸性の便秘があり、直腸の排便運動が低下して起こる直腸性の便秘を習慣性便秘 ともいう |
膨化 | 食品組織に気体を混入させて体積を膨張させ、多孔質化する。穀類や雑穀などの穀粒 組織は数倍に膨化し、デンプンは糊精化し消化の良いものになる。パン、スポンジ ケーキ、カステラ、ホットケーキ、蒸しパンなど |
放射殺菌 | 放射線の殺菌作用を利用して、食品の保存、病原菌や害虫の駆除を行う。主として コバルト60をジャガイモの発芽防止、穀類の殺虫、缶詰・冷凍卵の殺菌などに用いるが ビタミンの崩壊や放射線の安全性が問題になる |
防腐剤 | 微生物の増殖に起因する腐敗変敗を防止する目的の化学物質で、食品衛生法では保存料 と呼ばれている。安息香酸ナトリウム、オルトフェニールフェノール、ソルビン酸、 デヒドロ酢酸、プロピオン酸ナトリウム、ジフェニール、チアベンダゾールなど |
ほうれん草 | 緑黄色野菜の代表で、葉、根部を食用とする。カルシウム、鉄、カロテン、ビタミンC に富むが、シュウ酸を多く含むためカルシウムの吸収を妨げ、結石の形成も懸念される |
飽和脂肪酸 | 炭素と水素からなる脂質で炭素と炭素の結合が一重になっているものを言う(C-C)。 二重のものは不飽和脂肪酸(C=C)。加熱に安定であるが、血漿コレステロールを上げ 動脈硬化の原因になる |
保健食 | 健康を保持するに十分なエネルギーや栄養素量を含むように献立され、嗜好に合い、消化 の良い状態に調理された食事。6群の基礎食品を参考に組み合わせる |
補食 | 通常の3食以外に、栄養の不足を補うために摂取する食事 |
保全素 | ビタミン、ミネラルなど比較的微量で熱量素(蛋白質・糖質・脂質)の代謝を円滑にし、 健康保持に寄与する栄養素。栄養所要量が決められているのはカルシウム、鉄、 ナイアシン、ビタミンA,B1,B2,C,Dである |
没食子酸 プロピル |
食品添加物で、油脂、バターに用いられる酸化防止剤 |
ボツリヌス菌 | クロストリジウム属、グラム陽性の嫌気性桿菌で、鞭毛をもつ。嫌気性であるため ソーセージ、缶詰、魚貝の塩漬けなど酸素の少ない密封された条件下で増殖する。 産生されたボツリヌス毒素により食中毒を引き起こし死亡率は高い。芽胞は120℃の 耐熱性を持つが毒素は80℃30分あるいは100℃1〜2分で失活する |
ホメオ スターシス |
生体は外的および内的環境の変化を受けても、神経やホルモンの働きにより生理状態 などを常に一定範囲内に調整し恒常性を保つ |
ホルモン | 生体の内分泌腺で生成される微量の化学物質で、血液中に分泌されて特定の組織や 臓器へ運ばれ、その構造や機能に影響を与える。ホルモンの作用機序は細胞膜に対 する作用、細胞内酵素系に対する作用、蛋白質合成に対する作用が考えられている |
【ま〜も】 | |
マイコトキシン | カビ類の二次代謝産物で、ヒト、家畜、家禽、魚類などの高等生物に対し、急性・ 慢性の生理的あるいは病理的障害をもたらす。発癌性肝臓毒のアフラトキシン が有名 |
マーガリン | 1869年、フランス人のメージュ・ムーレによって考案されたバターの代用品。 植物油や動物油などに乳化剤(レシチン、モノグリセリドなど)と水を加えて乳化 したあと、急冷して得られる。油脂分約80%、水分約20% |
マグネシウム | 成人体内に約25g存在し、その大半はリン酸塩または重炭酸塩として骨中に、 約20%は軟組織に蛋白質と結合して存在する。エネルギーを産生する酵素の 幾つかに関与する。1日350mg程度の摂取が望ましいが、野菜のクロロフィル (葉緑素)の成分はマグネシウムを含有するので、野菜を摂取する限り不足は ないが、激しい下痢が続いて不足が起こると、抑うつ症、筋無力症、めまい、 ひきつけなどの症状がみられる |
まぐろ | マグロの総称で、メバチ、ビンナガ、キワダ、クロマグロの順に漁獲がある。日本人 に最も好まれる魚で冬が旬、腹側のトロと言われる肉は40%もの脂肪を含む |
松茸 | 赤松にのみ生える香気の高い食用キノコで、人工栽培ができない。香りは桂皮酸メチル エステルと1-オクテン-3-オールによるもので、これらを調合し人工香料とする。 呈味成分はグアニル酸である |
マトン | 生後20ヶ月以上の成緬羊の肉。筋肉繊維は細いが肉色は濃く、特異な臭気があるので 香辛料を多量に用いる。牛、豚の肉より安価なためソーセージなどの加工製品に利用 される。生後1年未満の子羊の肉はラムと呼ばれ肉質も軟らかく臭気も少ない |
マーマレード | 果実などに糖類や酸味料、ペクチン、香料などを加え加熱して作るジャム類のうち、 果実(特に柑橘類)の細片が入ったもの |
マヨネーズ | 精製植物油と食酢を卵黄で乳濁液(エマルジョン)としたサラダ用ドレッシング の一つ。油75%、酢10%、卵黄10%、砂糖2.5%、食塩1.5%、このほか香辛料を 加えることがある |
マリンビーフ | 魚肉から脂肪と水分を除き蛋白質含有量を85%以上とした粒状の魚類蛋白濃縮物。 水に浸漬すると重量で4〜5倍になり、魚臭がなく蓄肉に近い弾力と硬さを持つ |
マルターゼ | 麦芽糖(マルトース)を加水分解してブドウ糖にする消化酵素 |
マルトース | 麦芽糖とも言われるニ糖類で蔗糖液の1/3の甘味をもち、低エネルギー甘味料として 利用される |
マンナン | こんにゃくの主成分でグルコマンナンともいわれ、マンノース:2に対し グルコース:1の割合で構成される。水を加えると膨潤してコロイド状となり、 これにカルシウムを加えゲル状になったものがこんにゃくである。 血漿コレステロールの低下作用があり、食餌性繊維の一種として 注目されている |
マンニット | 六炭糖の一種でマンノースの還元によって生じる糖アルコール。天然に広く分布し 干し柿や昆布の表面に見られる白い粉の正体である。他にもニンジンや玉ねぎ などの野菜類にも多く含まれる。蔗糖の約2/3の甘味を持ち糖尿病患者の 食事に利用される |
満腹中枢 | 間脳視床下部の内側核にあり、十分摂食したときに興奮し、摂食行動を中止させる。 また長期間の摂食行動の調節や食物探索の行動にも関与する |
みかん | ミカン科の柑橘類のひとつでカラタチ属、キンカン属、カンキツ属からなり、 カンキツ属をミカン類ということもある。日本では温州ミカンを指すことが多く、 比較的耐寒性があるため神奈川県以西の各県で栽培される。主な産地は 愛媛、静岡、佐賀、長崎、和歌山、熊本、福岡、広島などで、9月下旬から 食べられ11〜12月に成熟期を迎える。成熟するにつれて糖度が増し完熟 すると糖度9〜12%で蔗糖、ブドウ糖、果糖が甘味の主体となる。酸味は クエン酸で0.8〜1.0%、橙黄色はカロテノイド色素、外皮にはヘスペリジンが 多く含まれる。生食用をはじめ缶詰、果汁としても利用される |
味細胞 | 舌の乳頭にあり、呈味物質を受容し、その刺激を神経に伝達するための中継ぎ細胞 |
水欠乏症 | 体液の減少した状態を言うが、普通、水とともに電解質も欠乏することが多い。 軽度欠乏:体重の約2%(約1.2L)の欠乏で渇感が起こり、尿量が減少する。 中等度欠乏:体重の約6%(3〜4L)の欠乏で全身乾燥、衰弱が起こる。 重度欠乏:体重の8%(4L以上)の欠乏で精神障害を起こし、体を動かすことも できず、死亡する。治療は水、番茶を与え食塩は与えない。水分の摂取は 患者の排泄量+1Lを目安とし、一度に多く与えてはならない |
味噌 | 日本独特の調味食品で米、麦、大豆などを原料に食塩を加え麹で発酵させて作る。 麹菌の働きで原料中のデンプン、蛋白質、脂質が分解されグルコース、アミノ酸、 遊離脂肪酸を生じ、また乳酸菌により乳酸が、酵母によりアルコールやエステルが 生成し、独特の香りや味が熟成され消化も良くなる。味噌の種類としては、 そのまま嘗める嘗味噌とみそ汁に用いる普通味噌があり、普通味噌の種類は 非常に多い |
水俣病 | 公害あるいは食品公害の原点ともいえる病気で、1953年末から熊本県水俣湾周辺 でみられた。化学工場の製造工程で無機水銀が有機化し、それが廃液として河川 に放出され、藻や微生物→小魚→魚介類と食物連鎖によって濃縮され、それを 食べた人々が発症した。中枢神経の障害、四肢末端の痺れや口周囲のただれ、 知覚異常、言語障害、聴力障害、歩行障害、精神障害を始め種々の障害をもたらし、 その被害は胎児にまで及んでいる |
味醂 | 蒸したモチ米の成分を焼酎の中で麹菌の酵素により分解させて作る。焼酎に蒸した モチ米と米麹を混ぜたものを加え発酵させ、約50日くらいで熟成させ、袋に入れて 搾り仕上げる。アルコール度数約13%、糖質32%を含む甘味と粘性の高い酒で、 旨味料としてそばつゆや煮物に、照りを出すためかば焼などに用いられる |
無塩食餌 | 急性腎炎や慢性腎炎の増悪期で浮腫が見られるとき適用される。食塩の摂取を 可及的にゼロにし、食塩は野菜など自然に含まれている範囲(約2g)に抑える。 代用の食塩として塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸アンモニウムが用いられ、 無塩醤油、無塩バター、酢、砂糖などで味を付ける |
ムコ蛋白質 | ムコ多糖と蛋白質の複合体で、ゼリー状の粘質でヌルヌルしたものが多く眼、 呼吸器系、腸管などの潤滑剤の役割を果たす |
ムスカリン | ベニテングタケから分離された毒素で副交感神経末梢での興奮作用があり、流涎、 発汗、脈拍緩徐、縮瞳がおこる。人で3〜5mgの皮下注射、0.5gの内服で死亡する |
ムチン | 顎下腺、胃腸液、呼吸器官の粘液、尿などの体外への外分泌物あるいは排泄物中 の粘性の高い物質で、糖と蛋白質の複合体からなる粘液物質 |
胸焼け | 胸骨裏面やみぞおちに起こる焼けるような不快感と鈍い痛みをいい、食道裂口ヘル ニア、食道炎、十二指腸潰瘍、胃炎、姙娠などで見られ、食物、煙草、医薬品の 摂取や心因で起こることもある |
メチオニン | 蛋白質を構成する主要アミノ酸の一つで、分子内にメチル基と硫黄を含む。豆類、 野菜類の蛋白質で含量が少なく、卵などの動物蛋白質に多量に含まれ、脂質 代謝に関与し特に肝脂肪の増減に影響を与える |
滅菌 | 生育増殖できる微生物がいない無菌の状態にする操作。加熱(火炎、乾熱、湿熱 高圧、間欠など)、ろ過、化学薬品、放射線照射などの方法がある |
メープル シュガー |
楓糖のことで、主としてアメリカ東北部、カナダで植林された楓の樹幹に穴を開け (春期)液汁を集め、濃縮、精製して作る。ほとんどが蔗糖で独特の芳香があるため 菓子作りに利用される |
メラミン樹脂 | メラミンとアルデヒドを加熱縮合させた熱硬化樹脂。透明で着色性、耐薬品性にすぐれ 80〜100℃の熱にも耐えるため、加熱殺菌の機会が多い集団給食の食器類に 用いられる。粗悪品ではホルムアルデヒドの溶出がみられることがある |
免疫 | 本来は不感受性という意味で、なんらかの害物や病原体に犯されても発病しない 状態を言った。次第に微生物の感染に絞って使われ、個体の抵抗力を言うようになり 最近では、使用範囲が拡大し、病気に対する抵抗力や回復力、時には滋養強壮など を意味することもあり、健康産業の曖昧な用語としても使われる |
【や〜よ】【ら〜ろ】【わ】 |
痩(やせ) | 体重が年齢、性別、身長から判断して、標準体重より10%以上少ない状態。食物不足 による一次性のものと、内分泌疾患、精神病、その他の重症疾患による二次性のもの がある。20〜30%の減少が起こると機能障害が明らかになり、40%以上になると 生命の維持が困難となる |
山芋 | 熱帯地方原産で広く栽培され、日本では野生種を自然薯といい栽培種を長芋という。 産地や形態により、イチョウ芋、イセイ芋、ヤマト芋といい、とろろの原料や各種 食品の増粘剤として使われ、アミラーゼ活性が高いため、麦飯にかけるとデンプン の消化を促進する。実をムカゴという |
夜盲症 | 眼の網膜の杆状体細胞の視紅(ロドプシン)は光に反応し、視覚中枢に刺激を送り明る さを認識する。ロドプシンの量が少ないと弱い光では十分な反応が起こらず、夜間など 光の少ない状態でものが見えなくなる。ビタミンAの摂取量不足が原因となる |
有訴者率 | 病気やケガなどで自覚症状のある人の人口1000人に対する割合。国民の4人に1人は 有訴者といわれ、65歳以上では2人に1人になる。肩こり、腰痛、手足の関節痛、体の だるさなどが多い |
輸液 | 大量の液体(通常500ml以上)を治療の目的で血管内に注射すること。電解質輸液、 栄養輸液、血漿量を維持する輸液、血漿成分・特殊な栄養・薬品などを投与するため の輸液があり、点滴注射される |
油脂 | 天然物から各種方法によって分離した脂質成分で食用と非食用がある。煎取法、煮取 法、溶出法、圧搾法により分離し、さらに食用油脂の場合、色、味、香りを改善するとと もに、利用に不適当な成分を除去する |
湯葉 | 豆乳を浅い銅製の容器に入れ沸騰しない程度に加熱し、表面にできる皮膜を取り上げ 乾燥する。数枚を取ることができ、生で用いることもあり、蛋白質53%、脂質28%を 含み消化が良い。伝統食品として精進料理に多く用いられる |
葉菜類 | おもに葉の部分を食用にする野菜で白菜、京菜、小松菜、ほうれん草、フダンソウ、 チシャ、シュンギク、パセリ、ミツバ、セリ、シソ、キャベツなどがある。水分が 90〜95%を占め、ビタミン、ミネラルが多く、緑黄色野菜ではさらにカロテンや ビタミンAが多い |
葉酸 | 乳酸菌増殖の必須物質としてほうれん草から抽出されたが、緑の葉には多く含まれるた め葉酸と名付けられる。ビタミンMの別名があり腸内細菌によっても産生されるため、 普通欠乏することはない |
幼児食 | 成人に比べ体格が小さい割りに蛋白質、ミネラル、ビタミンを多量に必要とし、 エネルギー量も多くを必要とするため、成人の食事を体重換算で与えるだけでは 十分ではない。逆に成人の量をそのまま与えるのも注意がいる。幼児の摂食行動 は不安定で胃袋の容量も小さいため、必要があれば食事回数を増やす。間食に お菓子などを与えると通常の食事に影響を及ぼすので間隔に配慮する。 味覚形成や食習慣確立の大切な時期であるため調味料での味付けは薄く するほうが好ましい |
ヨウ素 | サイロキシン、トリヨウドチロシンなど甲状腺ホルモンの重要成分。不足すると 甲状腺ホルモン分泌不足や甲状腺肥大が起こるが、この肥大はバセドウ氏病と 異なり機能障害を伴わないことが多く、ヨウ素を与えることで治療、予防が可能 である。幼児期からヨウ素が不足すると甲状腺腫や発育障害が起こる。一方ヨウ素 の過剰投与はかえって甲状腺腫を悪化させる。ヨウ素の含有量は海産物に圧倒的 に多く、このような食品を多く摂る日本ではヨウ素不足はおこりにくい |
葉緑素 | 植物の葉の葉緑体に存在し、中心にマグネシウムを持つポルフィリン化合物。 緑色野菜の呈色成分で栄養的価値はないが、脱臭・除臭作用があるといわれている |
予防医学 | 医学は古くから病気を治すことを目標にしてきたが、19世紀中ごろから細菌学などの 発達により、病原体に感染しないための予防という考え方が生まれる。その後予防 医学の扱う範囲は逐次拡大し、様々な疾病の予防へと進み、いまや積極的に健康を 作り出すという時代に至る |
よもぎ | キク科の植物でその若葉を上新粉や餅に混ぜ草だんごや草餅にする。ビタミン、 ミネラルの含有量は多いが使用量が少ないので、色や風味付けの役割しかない |
ライ麦 | 小麦に似た一年生また越年生の植物で、小麦や大麦の作れないような寒冷地や 泥炭地でも生育するので北欧やロシアなどで古くから栽培されてきた。蛋白質 約8%を含むが小麦と異なりグルテン形成能がなくパンにしても弾力が出ない。 ところが酸によって粘着性を増すので発酵の際、造酸工程を経て製パンする。 色素成分が黒褐色を呈するので黒パンと呼ばれ保存性がよく特有の香りがある |
酪酸 | バターなどに含まれる低級脂肪酸で、酪酸菌の働きで糖から生成される。漬物は乳酸菌 の働きを利用した加工食品であるが、失敗すると酪酸菌が繁殖して風味が落ちる。酪酸 菌は嫌気性であるため撹拌し通気を良くすることで繁殖を抑える |
落花生 | 一年生マメ科の植物で受粉が終わると花梗の根本の花托が伸び、地中に入りそこで 殻入りの実を結ぶ。一般に殻付きのまま又は殻を外して炒るか煮るかして食べる。 実から分離した落下生油は特有な香りと味があり、酸化に安定なためサラダ油、 フライ油として利用される |
ラード | 豚の脂肪組織から分離した固形脂肪で融点28〜45℃と牛脂(ヘット)より低く、炒め物 や揚げ物に用いる。飽和脂肪酸とともにオレイン酸などの不飽和脂肪酸も多く含まれて いるのでラード加工食品は割合酸化されやすい |
ラー油 | トウガラシの辛味成分を植物油に溶出させた赤色調味香辛料で、中国、韓国料理に 用いられる。西洋料理ではタバスコ、チリソースがこれに類似している |
ランゲル ハンス島 |
ドイツの解剖学者ランゲルハンスによって発見された膵臓の中に島状に散在する数百の 内分泌細胞で、膵臓の約1〜2%を占めインスリン、グルカゴンなどを分泌する |
卵白 | 卵黄の周囲にある淡黄色の粘稠で半透明の物質で、全重量の55〜60%を占める。 90%以上が蛋白質でオボアルブミン、オボトランスフェリン、リゾチーム、 オボグロブリンなど多くの成分が分離、精製されている |
卵白病 | 大量の生の卵白を摂取するとビオチンが欠乏し皮膚炎、舌乳頭の萎縮、ネズミでは 眼周囲の脱毛の障害が起こる |
リキュール | イタリア発祥の混成酒で蒸留酒やワインなどに果実、草木の根、茎、葉、種子を漬け、 その成分を抽出して作る。日本で作られる梅酒、果実酒などもリキュールに分類される |
リグニン | 木材中に25〜30%含まれる高分子の化合物で、セルロースやヘミセルロースとともに 食物性繊維の構成成分として注目されている |
リジン | 蛋白質を構成する主要アミノ酸の一つで蛋白質中に2〜10%含まれる。制限アミノ酸に なりやすく米、小麦をはじめとする穀物蛋白質中の含量は極めて低い。しかし、動物性 蛋白質や大豆には多量に含まれるので実際の食事で不足することはない |
離乳 | 乳汁のみを摂取していた乳児にいろいろな半固形食を与え次第に硬さ量を増し、食品の 種類も増やし、幼児の固形食の形態に近づける。乳汁は4〜5ヶ月位までの乳児には最適 の栄養であるが、発育成長につれ栄養の必要量が増加し乳汁だけでは不足が生じる |
リノール酸 | 生理作用上不可欠の不飽和脂肪酸で必須脂肪酸といわれている。欠乏すると成長停止 など各種の欠乏症状を呈する |
リノレン酸 | リノール酸、アラキドン酸とともに不飽和の必須脂肪酸とされているが、その必須性 には疑問も持たれている |
リパーゼ | 動物、植物、微生物に広く分布し、トリグリセライドを段階的に加水分解し、 最終的に脂肪酸とグリセロールを生成する反応を可逆的に触媒する。 動物では膵臓リパーゼとも呼ばれる分泌性の消化酵素で、十二指腸に入り、小腸で 中性脂肪の加水分解を行う |
罹病率 | 集団における疾病の頻度。死亡率とともに集団の健康状態を把握する重要な指標である。 罹病率=1年間の罹患数(または患者数)/母集団の人口×100000 |
リボ核酸 | 核酸は細胞内の遺伝情報の伝達に関与する高分子化合物であるが、その組成によって リボ核酸(RNA)とデオキシリボ核酸(DNA)の二つに分かれる。 リボ核酸はリボースとリン酸がエステル結合で交互に繋がった長い背骨にプリンまたは ピリミジンが一つずつ付いている |
リポ蛋白 | 脂質と蛋白質の複合体であるが、普通リポ蛋白と言うときは血漿(血清)リポ蛋白 のことでコレステロール、リン脂質、中性脂肪、遊離脂肪酸などである |
リボフラビン | ビタミンB2の別名 |
流動食 | おもゆ、牛乳、スープ、くず湯、すまし汁、ヨーグルト、鶏卵、ミルクセーキ、 クリーム、飴湯、果汁、乳酸飲料、あま酒、蜂蜜、番茶、ゼリー、アイスクリーム などをいい、固形食の嚥下や咀嚼が困難だったり、衰弱のため消化能力が低下 しているときなどに用いる |
緑黄色野菜 | 色調が赤、黄、緑を呈する野菜。淡色野菜との違いはカロテン含量で、1000IU以上 を緑黄色野菜という。カロテンはビタミンAへ転換するが、生食では利用率ゼロである。 油を用いて調理することで利用率が高まる |
緑茶 | 茶葉を強い蒸気で蒸し、生葉中の酸化酵素の働きを止めたあと、揉みながら乾燥させる。 玉露、抹茶、煎茶、番茶、緑だん茶、釜炒り茶などがある。釜炒り茶は茶葉を釜に入れ 炒る揉むの作業を繰り返しながら仕上げる。テアニン、カフェイン、ビタミンCを含む |
緑葉蛋白 濃縮物 |
アルファルファやクローバーなどの牧草の緑葉中には多種多様な酵素蛋白が含まれる。 この新鮮な葉を絞り、汁に含まれる可溶性蛋白質を沈殿させ乾燥させたもの。 LPC(leaf protein concentrate)ともいい蛋白質65〜88%を含み生物価は大豆蛋白 より優れている |
リン | 成人の体内に約600g、大半はリン酸として存在し、うち約80%は骨、歯の成分である。 その他、各種リン酸化合物としてエネルギー代謝に広く関与する |
リンゴ | バラ科の果実で中央アジア原産、全生産量の半分を青森が占めあとは、山形、岩手、 秋田、福島の順になる。品種は多く7〜9月収穫のものと10〜11月収穫のものがある。 糖度は10〜14%で果糖、ブドウ糖、蔗糖で、酸味はリンゴ酸である |
リン脂質 | リンを含む複合脂質の一群。レシチン、ホスファチド酸、ホスファチジルエタノール アミン、セラミド、スフィンゴミエリンなどがある。必須脂肪酸、ビタミン性物質、 ミネラル補給源になり、代謝系、酵素系、膜の活性系などに関与する |
ルチン | フラボノールであるケルセチンにルチノースが結合した配糖体で蕎麦に多く含まれる。 ビタミンP様物質で毛細血管を強化するといわれる |
冷凍食品 | 凍結点以下の低温を保持することで腐敗、変質を抑制したり、本来の風味を維持し、 調理や加工を簡便にした食品。一般に次の4条件を満たすことが望ましい。1)洗浄、 選別、整形などの前処理で不可食部を除き、加熱処理、酸化防止などある程度の 調理加工を施す。2)凍結する際、氷結晶の粗大化を少なくし、食品組織の破壊を 防ぐため急速凍結する。3)凍結食品の貯蔵、流通の間の品質を保つため-18℃以下 におく。4)冷凍食品を乾燥、汚染、衝撃から守り、品質についての責任を明示する 包装をする |
レシチン | 代表的なリン脂質のひとつで、ホスファチジルコリンともいう。卵黄から分離され、 乳化作用があるため食品、薬品などの加工に用いられる。脳神経、肝臓、血液など の代謝と機能に関与する。卵黄をはじめ脳、肝臓、大豆、酵母などに多く含まれる |
レトルト食品 | いわゆる袋の缶詰で、44%がカレーである。袋は2種類以上のプラスチックフィルム のみで作られた透明のものと、プラスチックフィルムとアルミ箔を3層に重ねて作られ た不透明なものがある |
レモン | インド原産で主としてアメリカのカリフォルニアに多く、イタリアのシチリア島でも 生産される糖度7〜12%、クエン酸4〜7%、ビタミンC30〜60mg/100gを含み、 料理、マーマレード、ジュース、レモン油、ペクチン製造に用いられる |
練乳 | 全乳または脱脂乳に砂糖を加え濃縮したもの。砂糖を加えないものもある。 コーヒーや紅茶の添加料、イチゴや夏みかんの甘味料として嗜好品的に使われる |
老化 | 人の一生のうち20歳以降を成人期というが、成人期の後半は40歳代の更年期を境に して老年期に入る、40歳代、50歳代を初老期または中老期といい、それ以後を 老人期という。しかし、老化は生まれたときから始まり、成長の一方で老化も同時 に進行していく。つまり、老化とは加齢現象のうちの成長を除外した生理現象を 指すものである |
老人栄養 | 老人では身長や体重の減少、重要な臓器の生理機能の低下が見られ、核酸、蛋白質 脂質、糖質の代謝の速度も低下する。老化現象とともに栄養現象も個人差が 大きくなる。また、長年の生活・食習慣の相違、心理的影響、基礎疾患の有無などを 考慮しなければならない。基礎代謝も低下し脂質の吸収が若干弱くなり、過剰の 蛋白質は代謝後、肝臓、腎臓の負担になるため、機能の低下した老人では適量を 守る必要がある |
老人病 | 老年期に特有な疾患。若・壮年期にも見られるが、老年期に顕著となる疾患群。 脳血管障害、認知症(老年痴呆)、心不全、高血圧症、虚血性心疾患、糖尿病、 肝硬変、痛風、骨粗鬆症、変形性関節症、全身臓器の腫瘍化傾向など |
わかめ | 褐藻類コンブ科の海藻で形状によりナンブワカメ、ナルトワカメに大別される。 市販のわかめは原藻を熱湯に浸し、緑変したところで冷水で冷やし乾燥したもの が多い。細胞壁はアルギン酸を構成成分とするため人の消化酵素ではまったく 消化されないが、コレステロールの吸収阻害作用を持つ。カルシウムの含有量が高い |
わさび | アブラナ科に属する多年生草で清流に生育する。根茎に独特の香気と辛味を持つ。 辛味はシニグリンという配糖体で、わさびのシニグリナーゼ(ミロシナーゼ) で加水分解されアリルイソチオシアネートが分離し辛味を感じる。市販の粉わさび、 練りわさびはワサビ、ダイコンやその類似品を乾燥粉末化し、からし粉や色素や 香料を加えて作る |
わらび | イノモトソウ科に属するシダ類で春先に出る新芽を食用にする。アクが強いので 十分アク抜きをする。微量の発ガン物質や他の食品のビタミンB1を分解する アノイリナーゼが含まれているので連日の多食は避ける |
【参考図書】 総合栄養学事典 第4版 吉川春寿・芦田淳 編 同文書院/栄養士のためのデーターブック 女子栄養大出版 食品小事典 川口啓明 大月書店/食材図典 小学館/Yahoo!辞書/Wikipedia |