【カロリーで食物を考える】


栄養学では、カロリーという数字を中心に考えてゆく。糖尿病治療食に関しては食物を6群に分け交換表に基づいて食物を選択する。栄養素分類とカロリーだけ満たせば他はどうでも良いようにも感じられる。そういったカロリーを重視していながら、成分表は重量になっている。これは仕方がないとして。含有量を重量パーセントで表記する食物がある。例えば乳脂肪2%・・・重量に直すと2g/100g。そしてカロリーは、換算係数を蛋白:脂質:糖質=4:9:4として計算すると18カロリー。これを牛乳の総カロリーで割ると30%が脂質のカロリーになる。これは糖質のカロリーとほぼ同じ、蛋白よりかなり多い数字である。乳業会社は、いままで優れた蛋白源といい続けてきたのではないか?いまは、優れたカルシウム源とも喧伝するが、これも100g中たった100mgである。海藻は乾燥重量で100g中Ca1000mgを越えるものもあるというのにである。カロリーゼロの海藻のカルシウムは牛乳にも劣る食材なのだろうか?

成人病、、いまは生活習慣病と改められたが、医療のマニュアルでも常識に於いても高脂肪や高蛋白食は動脈硬化や心臓病の原因として摂取を制限される。ところがである。病院食に何故牛乳が付くのであろうか?小児の生活習慣病が増えているというのに相変わらず給食に牛乳が付き、それでも足りず、水より栄養があるとして1L〜2Lもの牛乳を、何故水代わりに飲ませようとするのか?「ご飯は残しても、牛乳は飲め!」というおかしな教師もいる。医療の現場でも脂肪食と知ってか知らずか、牛乳は飲みなさいと、栄養の専門家である栄養士が指導する。一体何を根拠に、どんな勉強をして指導しているのだろう。

牛乳に関しては、あまりにも巨大な業界の宣伝に洗脳されているといっても過言ではない。カロリーパーセントで食物の栄養を考えてみると、今まで見えなかったものが見えてくる。何の疑いもなく飲み続けているが、専門家が勧めるものが正しいとは限らず、逆に健康を損なう事だってある。私がこのHPで主張している事もこれに尽きる。自分で自分の身を守る為、医学や栄養学の素人であってはならない。以下にカロリーパーセント表記で幾つかの食物を紹介する。食物の意外な素顔が見えてくるかも知れない。

 


食品のカロリー分率表

  蛋白(%/cal) 脂質(%/cal) 糖質(%/cal)

主食類

精白米ご飯 7.2 3.0 85.9
玄米ご飯 8.4 7.4 80.5
胚芽米ご飯 7.9 4.9 84.4
押し麦(乾燥) 8.7 3.4 90.1
うどん 9.9 4.5 80.8
食パン 14.5 13.2 74.0

肉類

牛サーロイン 18.6 76.6
牛ヒレ 33.6 60.9
鶏手羽 29.4 65.9
鶏ささみ 90.2 4.3
豚バラ 11.8 83.6
豚ヒレ 64.2 30.2
豚レバー 63.8 23.9

魚貝類

あじ 51.9 43.1
いわし 36.1 58.3
うなぎ 24.3 71.0
さば 33.1 62.1
さんま 34.3 60.8
牡蠣 49.7 20.8
いか 82.1 11.8
車えび 88.2 6.8
毛がに 91.7 3.3
卵・乳・大豆製品
鶏卵 30.4 62.2 2.2
普通牛乳 19.7 48.6 30.5
低脂肪牛乳 28.2 26.5 43.9
ヨーグルト 21.3 45.0 33.3
カテージチーズ 50.7 38.6 7.2
プロセスチーズ 26.8 69.0 1.5
バター 0.3 97.9 0.1
豆腐 34.5 51.2 11.7

いも・野菜類

サツマイモ(蒸し) 3.5 1.4 93.4
ジャガイモ(蒸し) 9.0 2.1 88.6
枝豆 32.8 42.7 21.3
カボチャ 13.3 2.5 90.0
キュウリ 36.4 16.4 58.2
キャベツ 23.3 3.8 26.7
ごぼう 14.7 1.2 85.3
大根(葉) 40.0 4.5 60.0
大根(根) 17.8 5.0 75.6
玉ねぎ 11.4 2.6 86.9
トマト 17.5 5.6 82.5
なす 24.4 5.0 75.6
ねぎ 16.3 3.3 87.4
もやし(大豆) 40.0 36.7 19.3

果実類

いちご 10.3 5.1 85.7
みかん 7.3 2.0 99.0
もも 6.5 2.4 99.5
りんご 1.6 1.8 104.8
実・豆類
アーモンド 12.4 81.6 11.5
8.2 1.7 87.1
胡麻 13.6 81.4 10.2
落花生 18.1 75.9 11.4
あずき 24.0 5.8 64.2
えんどう 24.7 5.9 61.8
大豆 33.9 41.0 22.7
換算係数は蛋白:脂質:糖質=4:9:4(食物100g中)
端数は四捨五入し、挾雑カロリーなど省いて
いるので、合計は100%にはなっていません。

 

この様に見てくると、蛋白源は脂肪源でもあることが解る。ブドウ糖として必要とする基本カロリーを穀物やイモ類から摂取すれば、体の構成要素の基となる蛋白、脂肪は少量の肉や魚貝類から補給すればよい。牛乳など決して浴びるほど飲む必要はない。健康のためにはむしろ飲まないほうが良い。野菜は蛋白・糖質のカロリー含有率もある程度あるが、これで必要量を満たすには相当量摂取しなければならない。ビタミンや繊維の補給が主たる役割である。おおよそ野菜に関しては、友好的見解をもつ人が多く野菜、魚を食べている事が健康的な食生活の御旗のように思われているが、だからといって草食動物のように過剰に食べなくてもよい。動物でしか得られない栄養素は動物や魚貝類でとればよいのである。乳製品や卵などは日常の食物としては摂取に注意を要する。脂肪源でかつアレルギー源でもあるからだ。ところが、極めて禁欲的なベジタリアンや信仰食にとり憑かれた人にとっては欠かせぬ食材である。皮肉な事に、彼らが最も忌避する食材こそ、彼らにとって必要な食材なのである。また病気や何らかの都合で咀嚼が困難な時など、短期に栄養を補う上での有用性を見過ごす訳にはいかない。

良いといわれたり、誰かがしきりに勧める食材や食品について冷静に見る目、理性で対処する心を育てたい。話を拡大するつもりはないが、世の中のあらゆる出来事にも通じることである。

<PFC比率による考え方>
食物を栄養成分の重量%で表示すると誤解を招くことがある。しかし、
カロリー%で考えると、栄養のバランスがあるとされる牛乳が脂肪源であ
ったり、太るとされている穀物が意外にバランスのとれた食物であることが
理解される。PFC比率とは、まさにカロリー比率で食物のバランスを考える
ものである。蛋白質(Protein)、脂肪(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)、
それぞれの頭文字をとってPFCと表現される。好ましい摂取比率は次のようになる。

P:F:C=15:20〜25:60〜65/18歳以上

P:F:C=15:25〜30:55〜60/小学生〜18歳未満

脂肪のカロリーが高いことは重量%の落とし穴である。化学分析には適して
いるが、体の機能に対してはPFC比率で考えるほうが食物の性質が明確に
なる。わずか2%の脂肪が30%ものカロリーを供給するなら、他の栄養素は
色褪せはしないか?心臓病予防の為に脂肪の摂取は控えましょうと言いな
がら、カルシウムは大切だからと牛乳を勧める不可解、、この事がどうして
も理解できない。

ただし、言い古された言葉であるが「食はバランス」でもある。個々の食材
のPFC比率が上記を満たしていないとしても食材に不適な訳ではない。
食事内容の総量でバランスを考えなくてはならない。既に述べたが極端な
ベジタリアンや食養生に囚われた人々は、吸収効率の良い動物由来の蛋
白質が不足する。このため、卵や乳製品などの摂取でバランスをとる必要
が生じてくる。

健康食品や健康飲料に表示される重量%をカロリー%で再評価すると、
バランスとかダイエットという謳い文句に反して、脂肪や砂糖のカロリーが
高く、お勧め出来ないものがある。痕跡程度の栄養成分を主成分の如く
錯覚させるマーケティングは日常茶飯事に行なわれている。

 

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