【呼吸法について】


西洋医学でいう呼吸器は「肺」。上部呼吸器、鼻→鼻腔→咽頭。下部呼吸器、咽頭→気管→気管支→肺。成人の安静時の一回換気量は400〜500mlで呼吸数15〜17回/min.である。肺は呼吸によって体内に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する。

中医学では、機能面を重視しもっと広い範囲で「肺」を規定している。

  • 気を主り、呼吸を主る>清気を入れ、濁気を排出。
  • 粛降を主る、水道を通調する>腎との協力による気や水の調節。
  • 皮毛を主り、その華は毛にある。鼻に開竅する>肺は皮毛と機能を密接にする。
  • 大腸と肺は表裏の関係>肺と大腸が水分代謝などに関与する。

呼吸は生命を維持する上で重要なものであることは論を待たない。そこで単に自然呼吸に任せるだけでなく、多く、効率よく清浄な空気を取り込めばさらに健康に寄与するのではないかという考えが生じてくる。呼吸法はあらゆる療法で重視され、その数も膨大なものである。ヨーガや気功など呼吸法を重視するものでも、その流派の数だけ方法があると言われている。全てを網羅することは勿論できない。幾らか紹介するにしても、中には怪しいものもあり、多ければ混乱も起こりかねない。そこで比較的解りやすく、簡単に出来る方法を一つ紹介したい。A・ワイル著 ナチュラル・メディスンから、要点のまとめ。

呼吸は精神・身体・気分に強く影響する、呼吸の仕方はいまのままでも、ただ自分の呼吸に注意を向けるだけでも効果的である。呼吸に注意を向けるだけでもその間、雑念やストレスから解放される。さらに呼吸を意識的に制御すれば、道具も要らず、どこでもでき、費用もかからない最も効果的なリラクセーションが得られる。

練習はどんな姿勢で行っても構わないが、背筋をまっすぐに伸ばし、床か椅子に座って行うのが良い。舌の先を上の前歯と裏の歯茎の境目あたりにつけ練習が終わるまでそのままの形にしておく。これはヨーガの考え方に基づくもので、人体には2種類の気の流れがあり、一つは肯定的・電気的・太陽的なエネルギーの流れ、もう一つは否定的・磁気的・太陰(月)的なエネルギーの流れがある。この2本の流れが舌の先と前歯の背面端にはじまり、そこで終わる。それを繋げるために舌の先端を接触させて置くのである。こうして気の回路を閉じ、呼吸のエネルギーを消散させず体内に留める事が出来る。

息を吐くときは口から吐き、舌の周りから空気を出すようにする。やり難ければ、唇を少しすぼめて見ると良い。

  1. 「フ〜ッ」と言う音とともに口から息をすっかり吐き切る
  2. 口を閉じ、鼻から静かに息を吸いながら、1から4まで数える
  3. 息を止め、止めたまま、心のなかで1から7まで数える
  4. 「フ〜ッ」という音とともに口から息を吐き切りながら1〜8まで数える
  5. これを全部で4回繰り返す

常に鼻から息を吸い、口から吐き出す事を忘れないように。舌の先は指定の位置に置き呼気は吸気の2倍の時間をかけてゆっくり行う。一呼吸の時間は重要ではない。重要なのは4・7・8の比率だけである。息を止めておくのが苦しければ短めの息にしても良いが4・7・8の比率だけは守っていただきたい・練習を重ねればゆっくりした呼吸が出来るようになり、呼気も吸気もどんどん深くなる。

この呼吸法は神経系に対して天然の鎮静剤ともいうべき効果を発揮する。服用し始めは効力があっても、次第に効力が薄れてくる薬物の鎮静剤と違って、最初のうちは漠然として掴みどころがないが、繰り返し練習を続けることで効果は高まってくる。この呼吸を4回行っただけで意識に変化が生じることもある。たとえば超然とした気分、軽くなったような感じ、まどろみのような状態。この意識状態への移行感は望ましいことであり、繰り返し行えば意識の移行幅が大きくなっていく。それは呼吸が不随意神経系に作用してストレスを中和している証拠である。

毎日練習してこの呼吸法が自然に身に付くようになれば、どこででも使える便利な道具になる。何かで動揺したり、不安を覚えたり、あるいは眠れない時、、これを活用してみれば良い効果がもたらされるだろう。

これは新しい方法ではなく、数千年に渡って繰り返し行われてきたヨーガの方法である。その伝統の知恵と言うだけでも、一考の価値はある。

 

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