【温灸の話】


癌の温熱療法というのがある、癌の部位を40℃以上に加熱すると、熱に弱い癌細胞が消失するというものです。医療機関で行う場合はしかるべき装置があるのですが、民間療法として温灸で行われている方法があります。幾人かのお客さんから病院で見放された、腫瘍や癌などの重病が以下に述べる温灸で治ったということを聞きました。

その道具はセラミック製で随分高価なもので、患部を両方から温め治療する方法でした。もっと安くてできる方法もある筈と思っていると、たまたま手にした漢方の本で紹介されていました。少し引用します。

温知医談という雑誌に、渡辺敬甫という漢方医が次のような経験談を載せています。

ある日すこぶる重症なヨウの患者を診たが、到底治る見込みがなかったので、外科へ行けと言って断った。あまりに重症であったので、きっと鬼籍に入ったものと思っていたところある日外出すると、意外にも目の前にその患者が元気に歩いているではないか。ビックリして、どこであの病気を治したかと聞いてみると、その患者は、先生から外科へ行けと断られたが、外科へ行っても治ると思えなかったので、困っていると、ある人がヨウやチョウを治すことに妙を得た老婆のことを教えてくれたので、そこへ行って灸をしてもらって、20日あまりですっかり治ったという話をした。

そこで、その老婆のところをよく聞いて訪ねてみると、六十余歳の老婆であった。微笑していうに、お前さんは医者ではないか。自分は病気のことはなにもわからないが、ただお灸をすえて30余年、一切の内服薬も外用膏も用いずに、数千人の人々を治療したが、いまだかって不治のものがなかった。教えてあげるから、医療の一助にするがよいと言って、方法を教えてくれた。その教えに従い数人に試験したが、いずれも簡単に治ってしまった。近頃直径15cmもある右脇腹にできた悪性腫瘍に応用してみたが、これも簡単に治った。この灸は、ひとり、ヨウやチョウのみならず、いろいろの結毒、無名の頑腫、悪性腫瘍に用いて、必ず効き目がある。

「不治のものがない」「治らぬものはない」というのは、民間療法の常套句です。正しく検証すると一体どれ位の治癒率なのだろうか?しかし激しい炎症がない限り身体を暖めることで血行も良くなるし、医療機関でも温熱療法として癌の治療に取り組んでいるところもあるようです。侵襲性が少なく安価にあがれば、試みる価値はありそうです。副作用は、煙で目がしみる程度の事です。

  • 竹筒は直径7〜8cmの生竹、柄を図のように残し
    節のところを高さ1〜2cmに切る。
  • これにニンニクや大根、生姜などすりおろし、味噌
    などと練りあわせ、節に敷く。
  • その上に温灸用艾を円錐状に乗せ、火をつける。
  • 患部によく搾った濡れた布を置いて、その上から
    熱さがとおって気持ちよくなるまで行う。
  • 軽症で1日2回  重症のものは3回

参考図書:漢方養生談  荒木正胤 著

 

BACK