熊本市教組ニュース    2002年12月号

意見拝見   心のノートってなあに@


 誰にも見せなくていい。自由に思いをつづり「自分の心」と語り合って・・・−こんな思いを込めて、文部香科学省は道徳の用副教材「心のノート」を作ったそうだ。国がこうした副教材を作り、全国一律に配布するのは初めてのことで、戦前の「修身」の復活を思わせる。
 ノートには、自分の価値観や社会での役割、他人とのかかわりなどを考えるヒントになる詩やイラスト、写真がちりばめられ、いろいろな場面で思ったことが書きこむ欄が多くとられている。一見したところ、何の問題もないような内容になっている。しかし、その中には、様々な問題を含んでいる。
 17歳の少年による凶悪犯罪が後を絶たず、学校での道徳が副読本を読むだけになりがちで、効果が上がっていないと言う反省から、このノートが生まれた。原案は中学校の教諭らが作成し、心理学者の河合隼雄、文化庁長官が監修している。
 ノートが完成した頃、「心のノート」の使用については強制せず、学校現場の判断に任せる方針と言っている。ところが、7月の全国市町村教育委員会会議で遠山文部科学大臣は、次のような挨拶をしている。
 『第2は「心の教育」の推進についてです。子どもたちの「豊かな人間性」を育てるためには、道徳教育の充実を図り、しっかりとした規範意識や社会性、他人を思いやる心などを育み、道徳的な実践力を育成することが重要です。このため、児童生徒が道徳的価値について自ら考えるきっかけとなる「心のノート」を作成し、全ての小・中学生に配布したところです。皆様方におかれては、この「心のノート」を積極的に活用していただくとともに、学校と家庭・地域が連携して児童生徒の道徳性の育成に取り組まれるようお願いします。』
 11億円もの予算をかけ作成した「心のノート」、現場での活用を調査しながら、使用を強制してくるのは間違いない。これから数回に渡って「心のノート」の問題点を書いていきたいと思う。
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【 心のノートの費用 】
 <2001年度>
「未来を拓く心」を育てる支援活動の充実「心のノート」 7億3000万円
<2002年度>
「未来を拓く心」を育てる支援活動の充実「心のノート」 3億8200万円 
<2003年度予算要求>
 「児童生徒の心に響く道徳教育推進事業」として、「心のノート」や「心の先生」を活用して、全国1000校の小中学校で公開授業を計画 約3億円