【漢方用語集】


漢方を学び始めて、まず突き当たるのが漢方薬の名前です。小柴胡湯をコシバコユとか四物湯をシブツユなどと読んでいました。読めるのはいいが、読めないものもあり慣れるのに数週間かかりました。慣れると今度は意外に簡単で、薬方の適応を覚えるのもそれほど時間はかかりません。全くの素人でも漢方薬を使えるようになるには数ヶ月くらいで可能ではないかと思っています。そして、そこからが困難を極めるところです。

西洋医学の病名や症状の表記に慣れ又その言葉で通じる為、漢方用語については特に違和感がありました。巻末の索引で調べながら理解に努めましたが、誤まって記憶していたり、流派で意味が異なる場合も少なからずあります。これを踏まえた上で、自分の知識の整理を兼ねて日本の伝統漢方、中医などの用語集をもとにまとめています。

 


【あ〜お】【か〜こ】【さ〜そ】【た〜と】【な〜の】【は〜ほ】【ま〜も】【や〜よ】【ら〜ろ】【わ】

【あ〜お】

噫気(あいき) おくび、愛気ともいう。
安神法(あんじんほう) 驚悸、不眠、悪夢などの精神不安に対する治療法。
(い) 六腑のひとつで飲食物を受け入れ脾と協力して消化吸収を行う。
胃火(いか) 胃熱とも言い、美食が過ぎると胃が熱を帯び、胃痛、口内炎、歯痛などが
起る。
胃気(いき) 水穀を受け入れ、消化して栄養を運ぶ機能。
溢飲(いついん) 水分があふれる。
胃内停水
(いないていすい)
胃に滞った水分、その度合いによって生薬の配合が変わる。体を揺すれば、
振水音が確認される。水毒ともいう。食物が滞ったものは食滞。
(いん) 水分代謝異常により体の一部分に停滞する希薄な水液。
陰液(いんえき) 人体を構成する津・液・精・血などの総称。
咽乾(いんかん) 咽喉粘膜の乾燥。
咽喉不利(いんこうふり) 咽の異物感や不快感。
陰虚(いんきょ) 体の構成成分の液体(血・体液など)が不足し、消耗、乾燥状態になる。
陰虚火動(いんきょかどう) 日本漢方の用語で意味は陰虚内熱、陰虚陽亢などをいう。
陰虚内熱
(いんきょないねつ)
血虚(貧血)の状態になると陰液が不足し、相対的に陽気が余り、熱が出
るようになる。(虚熱)
陰経(いんけい) 体を巡る経絡のなかで五蔵に帰属する手足の太陰・少陰・厥陰の三経。
陰証(いんしょう) 八綱弁証で虚証・裏証・寒証の総称。日本漢方では寒証を指す。
陰陽(いんよう) 八綱(陰陽・虚実・表裏・寒熱)の大概念。陰:緩和、静止、内向、下降、寒冷、
暗、女性/陽:激烈、運動、外向、上昇、温熱、明、男性
咽中炙肉
(いんちゅうしゃにく)
のどに炙った肉片が張り付いて取れないような感じの違和感がある。類似証に
梅核気というのがある。類語:咽中炙臠
(いんちゅうしゃれん)
鬱冒(うつぼう) 意識朦朧
(うん) 温疫(急性伝染病)。温病。
運化(うんか) 脾胃の機能で飲食物から栄養物質を生成するのが「化」で、栄養物質を全身に
送るのが「運」。
営気(えいき) 血と共に脈中を流れる気。脾胃によって飲食物から産生。
衛気(えき) 脈外を流れる気。臓腑を温め、皮毛の開閉をし、皮膚を保護し、外邪の侵入
を防ぐ。腎陽から産まれ、脾胃で補充され、肺で全身に送られる。
益気法(えっきほう) 気虚を補う補法のひとつ。
嘔気(おうき) 吐き気、実際吐くことは少ない。
悪寒(おかん) 体に不快な寒気を感じること。風とは関係なく起る。
於血(おけつ) 生理的機能を失ったり、滞った血。一般で言う血行障害のようなもの。
類語:血於
悪心(おしん) 胸が苦しく、吐きたいような気持ち。
悪熱(おねつ) 不快な熱を感じること。
悪風(おふう) 風にあたると寒気を感じること。肌の陽気が低下している。
往来寒熱
(おうらいかんねつ)
寒気と熱が交互におこることをいう。午前中は平熱で、午後から夕方にかけ
微熱が出たりすることもある。
温煦(おんく) 体を温める。
温経散寒法
(おんけいさんかんほう)
温・熱性の生薬を用いて体を温め、寒邪を除き関節痛や冷えを治療する方法。
温中散寒法(おんちゅうさんかんほう) 温・熱性の生薬を用いて脾胃を温め、腹痛や冷え下痢などを治療する方法。
類語:温裏散寒法
(おんりさんかんほう)
温熱薬(おんねつやく) 陽気を補う(体を温める)温・熱性の生薬。
温病(おんびょう) 温熱の邪を感受することで発病。←→傷寒
温補(おんぽ) 温め補う療法で温薬を用い寒冷の症状に対処する。

【か〜こ】

外感(がいかん) 季節や気候、環境など外界の要素で発生する病態。
開竅(かいきょう) 五臓の機能が反映する窓ともいえる。肝=目/心=舌/脾胃=口/肺=鼻/腎
=二陰・耳
咳逆上気
(がいぎゃくじょうき)
こみ上げてくる咳。類語:喘息
開闔(かいこう) 開閉の意味で、津液・水液の代謝・排泄をする腎の機能。
回陽(かいよう) 精気を取り戻す。
鵞雁風(ががんふう) 汗疱、水虫。
火逆(かぎゃく) 温熱を加えて無理に発汗した時の副作用で温灸などの後に見られる。
鶴膝風(かくしつふう) 膝関節炎で関節が鶴の膝のように肥大したもの。
火邪(かじゃ) 火や熱の症状をひきおこす発病因子で火は熱より激しい。
類語:熱邪・外熱
鵞掌風(がしょうふう) 指掌角皮症
加減方(かげんほう) 症状に応じて、処方中の生薬を去ったり、新たに加えたり、分量を増減する。
鵞掌風(がしょうふう) 主婦湿疹
牙痛(がつう) 歯痛
火臓(かぞう) 心は気血を動かし、体を温めるため火に例える。
火熱(かねつ) 六気(風・寒・暑・湿・燥・火)のひとつで気候に関係し、夏に出現。
喀血(かっけつ) 気管・肺など呼吸器からの喀出する血。
活血化於法
(かっけつかおほう)
於血が原因となった様々な症状や疾患の治療法。
化熱(かねつ) 明らかな熱のない病態がやがて熱を帯び、口乾、口苦などの熱象が出現する。
(かん) 精神病を言い大人は「癲」小児は「癇」。
(かん) 虫に侵食される。他に五疳という小児の神経質や腺病質を指すことがある。
(かん) 六気(風・寒・暑・湿・燥・火)のひとつで気候に関係し、冬に出現。
(かん) 西洋医学の肝臓より広い概念で、精神・自律神経機能も含めた働きをする。
肝胃不和
(かんいふわ)
肝の機能が失調した為、胃に影響し胃の機能も失調。似た状態で肝気横逆、
肝脾不和というのもある。
肝鬱(かんうつ) 神経症、憂鬱。
乾嘔(かんおう) 吐き気を催すが何も吐けない。
肝火(かんか) 肝機能が亢進(オーバーヒート)気味で、その熱によってイライラ、怒り、
頭痛、目の充血などが起る。
乾霍乱
(かんかくらん)
食中毒などで食物が胃に停滞し、吐くことも、下すこともできずにもだえ
苦しむ。
肝気(かんき) 肝機能のことで、全身へ気を良く巡らせる働きをする。
肝気鬱結
(かんきうっけつ)
ストレス、緊張、抑うつなどにより肝機能が滞り、イライラ憂鬱、怒り、
ヒステリーなどの精神症状や胸脇部に脹りや重苦しさが起る。
肝血(かんけつ) 肝が貯蔵している血。過労やストレスなどで消耗すると肝の病態が出現する。
完穀下痢(かんこくげり) 食物が消化されないままの下痢。
寒邪(かんじゃ) 冬に多くみられ寒冷を受けることによって発症する病因。類語:外寒
寒証(かんしょう) 寒邪を受けたり、陽気の衰退によって起こる寒冷の症状。
肝証(かんしょう) 癇症または神経症や精神病。
寒疝(かんせん) 寒冷を受けたり、飲食することで起こる腹痛。
寒熱(かんねつ) 寒冷と温熱という病態を表現する対立概念。
寒痛(かんつう) 寒冷感を伴う疼痛、寒冷を受けて起る疼痛。
肝鬱(かんうつ) 気分の落ち込んだ状態、神経症、ヒステリーなど。
肝気(かんき) 肝は西洋医学で言う肝臓も含め自律神経、ホルモン系の調整機能、
血の貯蔵、精神機能などを有し、これらの機能を総称して肝気という。
肝脾不和(かんぴふわ) 肝の機能が失調すると、相克の位置にある脾胃に影響し不調が起こる。
寒湿(かんしつ) 寒と湿が結びついた病態で陽気の運行や血流を妨げ、疼痛、関節の強
ばりを引き起こす。←→湿熱
肝腎陰虚
(かんじんいんきょ)
肝と腎の陰の消耗により、目の充血、頭痛、視力障害などが起る。
頑麻(がんま) 重度の知覚麻痺
寒涼薬(かんりょうやく) 熱邪を除いたり熱症状を治す薬。
(き) 体の機能をコントロールする精微物質。
気化(きか) ある物質を別の物質に変化させる気の働き。
気機(きき) 昇・降・出・入という気の作用機序。
気血虚労(きけつきょろう) 気が衰退し、血が消耗し疲れた状態。
気脱(きだつ) 産後など..多量の出血に伴って起る貧血やめまい。
気虚(ききょ) 気の働き(推動・温煦・防御・固摂・気化)が不足した状態。疲労倦怠感、
食欲不振、泥状便、息切れ、脈無力など。
気逆(きぎゃく) 肝気の逆上で、怒りによって呼吸が激しくなったり、息切れが起ったりする。
気血弁証(きけつべんしょう) 気・血・津・液・精の病変について診断する方法。
奇恒の腑(きこうのふ) 奇恒とは「通常でない」と言う意味。腑のように中空であるが、臓のように
精血を貯蔵する。脳・髄・骨・脈・胆・女子胞(子宮)
気滞(きたい) 気が滞ると脹痛、膨満感などが現れる。肝の機能低下。風邪、飲食、水毒、
オケツなどが原因の機能低下など。
喜唾(きだ) しばしば唾液を吐き出す。
吃逆(きつぎゃく) しゃっくり
肌肉(きにく) 皮下・筋肉組織
肌膚甲錯(きふこうさく) 皮膚が滋潤を失いカサカサしている。類語:皮膚甲錯
気分腫(きぶんしゅ) 気の巡りが悪いため浮腫が起こる。類語:気腫
気分熱盛(きぶんねっせい) 熱邪による病態で、高熱、口渇、顔面紅潮、目の充血、いらいら、胸痛。
(ぎゃく) マラリア
客証(きゃくしょう) 主証に対する言葉で兼証、傍証とも言う。
逆治(ぎゃくち) 治療法則のひとつで、病の症状に逆らう治療を行う。
急痛攣急
(きゅうつうれんきゅう)
筋肉が急に引きつれて痛む。
胸脇苦満
(きょうきょうくまん)
心下部や肋骨に沿って、また脇腹から背部周辺が重苦しく脹ったり、
痛んだりする。往来寒熱と共に柴胡を配合するときの目安。
(きょ) 体に必要な機能や物質が不足。
(きょう) 人は百骸九竅あり。百骸は100個の骨で九竅は9個の穴。目・耳・口・鼻・
生殖器・肛門など外界へ通じる器官。
胸膈痰結
(きょうかくたんけつ)
胸のあたりに痰が痞える。
驚癇(きょうかん) 驚いて痙攣を起す。
胸中停痰
(きょうちゅうていたん)
胸郭に痰が停滞する。
胸痺(きょうひ) 胸が詰まり痛む。
驚風(きょうふう) ひきつけ、脳膜炎など。
虚寒(きょかん) 虚証で寒のあるもの。陽気が欠如して体を温めることが出来ない
状態。←→実寒
虚腫(きょしゅ) 浮腫、腹水などを圧迫してもブヨブヨして陥没が容易に回復
しない。←→実腫
虚証(きょしょう) 体に必要不可欠な基本物質や機能が不足した状態。病態によって気虚・
陽虚・血虚・陰虚に分類。
虚実(きょじつ) 体に必要不可欠な基本物質や機能が不足した状態を「虚」体に必要はなく、
害を与える発病因子を「実」。他に体や見かけや程度の強弱・大小・多少
などを言う事もある。
虚実錯雑
(きょじつさくざつ)
虚証と実証が入り混じっている病態。他に寒熱錯雑という用語もある。
去邪法(きょじゃほう) 外部や体内からの発病因子を取り除く治療法。
去風化湿法
(きょうふうけしつほう)
風湿の邪を発散させたり、動かして除き頭痛、関節痛、だるさ、微熱などを
治す治療法。
去風散寒法
(きょうふうさんかんほう)
辛温の薬で温め風寒の邪を体表から発散させる治療法。悪寒、頭痛、
発熱を治す。類語:辛温解表法(しんおんげひょうほう)
去風清熱法
(きょうふうせいねつほう)
辛涼の薬で冷まし風熱の邪を体表から発散させる治療法。発熱、咽痛、咽の
腫れを治す。類語:辛涼解表法
虚熱(きょねつ) 虚証で熱のあるもの。陰気が欠如して相対的に陽気が余り熱が出る。←→実熱
虚労(きょろう) 衰弱、過労による身体疲労。
金瘡(きんそう) 切り傷
駆於血剤(くおけつざい) 於血が原因となった様々な症状や疾患を治す薬。中医では活血化於剤。
類語:血剤
苦温燥湿(くおんそうしつ) 苦温の薬で、湿邪を除く。
君火(くんか) 心の陽気
君主の官(くんしゅのかん) 五臓の心の別称で、高次の精神神経活動をつかさどるため。
君臣佐使(くんしんさし) 君:病気を治す主薬、臣:君薬を助ける、佐:補佐する、使:使役する、
という薬の運用法。
経水不利(けいすいふり) 月経閉止、無月経
経絡(けいらく) 気血の通り道で、全身を網目状に走り内臓、組織、器官を結びつける。
縦に走る幹線を経脈、横に走る支線を絡脈。
解肌(げき) 発汗剤によって体表の邪を発散させること。
化湿法(けしつほう) 湿邪を動かしたり、汗や尿などで排除する治療法。
化痰法(けたんほう) 痰飲が病因となって起る咳、痰、吐き気、嘔吐、眩暈などの治療法。
厥陰(けっちん) 臓腑・経絡の三陰経のひとつ。
血虚(けっきょ) 貧血などで栄養成分が不足した状態。顔色不良、口舌が淡白、爪・
毛髪につやがない、ふらつき、視力減退など。
結胸(けっきょう) 心下部が膨張し、硬く、疼痛がある。
血証(けっしょう) 生理的機能を失ったり、滞った血。一般で言う血行障害のようなもの。
中医では血於。
血室(けつしつ) 女性の内性器系で、月経、受胎、妊娠、分娩を行う。類語:女子胞・子宮
血燥(けっそう) 皮膚や筋肉の栄養が悪く潤いや光沢弾力を失う。
血滞(けったい) オケツの一種
結毒(けつどく) 梅毒の第2期、第3期で結毒眼、結毒筋骨痛、咽喉結毒などがある。
血癖(けっぺき) 経血に見られる於血塊。
厥陰(けっちん) 臓腑経絡の三陰経のひとつ。
血於(けつお) 生理的機能を失ったり、滞った血。一般で言う血行障害のようなもの。
類語:於血
血熱(けつねつ) 熱邪が血に及び出血が起る(実熱)。貧血に伴う熱(虚熱)。
血分腫(けつぶんしゅ) 月経閉止による浮腫。
厥冷(けつれい) 手足が冷たくなる。
血脈(けつみゃく) 血管系と経絡を併せ持った概念。
下法(げほう) 大便を下すことで腹痛、腹満、便秘、食滞、熱などを除く治療法。
類語:攻下法・瀉下法
牽引痛(けんいんつう) ひきつれるような痛み。
健運(けんうん) 体に必要な滋養分や水分を全身に送る脾胃の正常な機能。
肩背拘急
(けんぱいこうきゅう)
肩から背中にかけて筋肉が引きつれて凝る。葛根湯の証として有名。
健脾(けんぴ) 脾胃の機能を正常にする治療法。
口渇(こうかつ) のどが渇いて水分を欲する。
口乾(こうかん) 口中が乾燥するが、水分はそれほど欲しない。
拘急(こうきゅう) 筋肉がひきつれる。
口苦(こうく) 口の中が苦いという自覚症状。
哮喘(こうぜん) 喘息
降濁(こうだく) 脾胃で消化された飲食物の残りを下の小腸へ送る働き。
後天の精(こうてんのせい) 脾胃で産生された滋養物質をもとに五臓が作り出した精微物質を腎に貯える。
「腎」の別称。
後天の本(こうてんのほん) 食物から脾胃で作られる滋養物質が生命活動の源になっている。
「脾胃」の別称。
項脊(こうはい) 首に後ろから背中の部分。この筋肉が凝ることを項背拘急と言い
葛根湯を用いる。
攻法(こうほう) 病邪を攻めて除去する治療法。
合方(ごうほう) 2種以上の処方を合わせて用いる。通例、重複する生薬は多い分量の
処方に順じる。
攻補兼施(こうほけんし) 病邪を除く治療と体の抵抗力などを補う治療を同時に行う。
拘攣(こうれん) 筋肉がひきつったり痙攣する。
呼吸促迫(こきゅうそくはく) 呼吸が速くなり息苦しい。
五更瀉(ごこうしゃ) 朝方に起こる水瀉性下痢。
穀嘴瘡(こくしそう) ニキビ
痼疾(こしつ) 古い病気、慢性病。難病痼疾という表現もある。
五心煩熱(ごしんはんねつ) 全身の煩わしい熱。
固渋法(こじゅうほう) 慢性化した汗、咳、下痢、遺精、出血などを止める治療法。
後世派(ごせいは) 後世とは言え時代は古方より古く、曲直瀬道三を創始者とした陰陽五行
を重んじる治療を行う一流派。
固摂(こせつ) 血や津液などが体外に漏れ出ないように引き締める。
枯燥(こそう) 皮膚が光沢を失いカサカサになる。
固渋法(こじゅうほう) 慢性の汗、咳、下痢、帯下、遺精などを止める治療法。
固摂(こせつ) 気の機能のひとつで、血や津液などが漏れ出さないよう引き締める。
五行(ごぎょう) 物事や物事の性質を木・火・土・金・水に分類し、相互の関係を解釈する
方法論。陰陽説と共に
陰陽五行説として有名であるが、実態にそぐわない
矛盾点の扱いに注意を要する。
五臓の精(ごぞうのせい) 脾胃で生成された水穀の精微物質が五臓に送られ、それをもとに更に五臓が
産生する精微物質。余剰の精は腎に貯蔵される。
五臓六腑(ごぞうろっぷ) 五臓(肝・心・脾・肺・腎) 六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)
鼓脹(こちょう) 腹部膨満
固崩止滞法
(こほうしたいほう)
固渋法の一つで、不正性器出血や帯下を止める治療法。
古方派(こほうは) 五行理論を重視せず傷寒論・金匱要略の処方にもとづく治療を行う一流派。
証に対応する処方を即、病名とするため、その治療を方証相対という。
狐惑病(こわくびょう) 精神病の一つで、夢遊病。
【さ〜そ】
臍下拘急(さいかこうきゅう) 臍の下の筋肉が硬くつっぱる。腎虚の証とされる。類語:小腹拘急
臍下不仁(さいかふじん) 臍の下に力が入らず、軟弱無力になる。腎虚の証とされる。類語:小腹不仁
催生(さいせい) 陣痛促進
雑病(ざつびょう) 傷寒(急性熱性疾患)以外の一般の病気。
散寒法(さんかんほう) 温める事によって寒邪をのぞく治療法。
三焦(さんしょう) 全身に広がる膜状の組織で、臓腑、組織を包み込む気と津液の通路。
支飲(しいん) 胸部や心下部に水毒が停滞し、咳嗽、呼吸困難を起す。
滋陰法(じいんほう) 陰虚の病態に陰を補い治療する方法。類語:養陰法・補陰法
滋陰潤燥法
(じいんじゅんそうほう)
陰虚のため滋養や水分が不足し乾燥したものを潤す治療法。
自汗(じかん) 自然に出る汗。
四診(ししん)
  1. 望診:体格、舌、顔、皮膚、大小便など見て診断。
  2. 聞診:言葉、呼吸、口臭、体臭などで診断。
  3. 問診:自覚症状、病歴、生活など問い診断。
  4. 切診:脈、腹などに触れて診断。

※薬局では診断行為は許されない。相談の一環として(3)番迄が限度である。

七情(しちじょう) 外からの刺激に反応して起る七種類の感情:喜・怒・憂・思・悲・恐・驚。
七情内傷
(しちじょうないしょう)
七情が限度を超えたため、体の機能や気・血・津液などを消耗したり
調和を乱す。
(じつ) 体に必要がなく有害な発病因子の存在する状態。
実寒(じっかん) 外から侵入した寒が体内の陽気を阻害する病態。
実火(じっか) 陽実証の炎症、充血、発熱で寒剤を用いて治す。
衄血(じっけつ) 鼻血
湿(しつ) 六気(風・寒・暑・湿・燥・火)のひとつで気候に関係する。夏と秋の間の
73日を長夏といい湿はこの季節に最も多くなる。
湿邪(しつじゃ) 外環境に似たものを体内環境で想定し、そのうちの湿気が発病因子となる。
湿気の多い季節や環境で受けやすい。
実証(じっしょう) 外からの病邪侵入、ストレス、体内から病理産物としての発病因子が生まれ、
それらの病邪が引き起こす病変。他に体や見かけや程度の強さ、大きさ、
多さなど言う事もある。
湿熱(しつねつ) 湿邪+熱邪が発病因子となったもの。
実熱(じつねつ) 外からの熱邪の侵襲、ストレス、飲食の不摂生による熱の発生などの症候。
(実火)
霜腹(しもばら) 霜や雪の日に冷えて起こる腹痛や下痢。
(じゃ) 体に必要がなく、有害な発病因子。外から侵入するものと体内から生じる
病理産物がある。
積聚(しゃくじゅう) 腹中の腫瘤
邪正相争(じゃせいそうそう) 病邪が体の正気と争う。
瀉剤(しゃざい) 病気を攻撃するのに用いる薬方。作用が激しく薬味も少ない傾向が
ある。←→補剤
宿疾(しゅくしつ) 持病、古くからの病気。
柔肝(じゅうかん) 肝血を補い、肝気を伸びやかにし回復させる。
渋精止遺法
(じゅうせいしいほう)
固渋法の一つで、腎虚による遺精や早漏などを止める治療法。
渋腸固脱法
(じゅうちょうこだつほう)
固渋法に一つで、慢性の下痢や失禁を止める治療法。類語:渋腸止瀉法
重鎮安神法
(じゅうちんあんじんほう)
心神不安の症状を、鉱石、貝殻など重い生薬を用い鎮め安定させる治療法。
修治(しゅうち) 薬草を加工調整する事。
粛降(しゅくこう) 肺の機能で、下降させることにより、吸気や水分を下方へ移動させる。
縮尿法(しゅくにょうほう) 固渋法の一つで、腎虚による遺尿、夜尿を止める治療法。
主証(しゅしょう) 証を判断する上で特徴的かつ必発する症状。←→客証
受盛の官(じゅせいのかん) 小腸を指し、脾胃で消化吸収した飲食物の残渣から、さらに水分と固形物
を分け膀胱や大腸に送る。
(しょ) 六気(風・寒・暑・湿・燥・火)のひとつで気候に関係し、夏に出現。
(しょう) 病気の症状。また漢方的診断と治療法。患者の症状や体質などを検討し
病態の本質を検討した結果、それに対応する薬方名を付して○○湯証という。
消渇(しょうかつ) のどが渇き水分を欲しがり、排尿回数も多い、糖尿病の症状に似る。 
傷寒(しょうかん) 風寒の邪を感受することで発病。←→温病
上逆(じょうぎゃく) 気が下腹から上部へ発作的に突き上げてくる。
上衝(じょうしょう) 気が上に昇り不快なこと。
上焦(じょうしょう) 横隔膜より上部
小腹(しょうふく) 下腹部の事。その周辺に、しこりや圧痛があるのを小腹急結と言いオケツ
の診断を下す。
小腹拘急
(しょうふくこうきゅう)
臍の下の筋肉が硬くつっぱる。腎虚の証とされる。類語:臍下拘急
小腹不仁
(しょうふくふじん)
臍の下に力が入らず、軟弱無力になる。腎虚の証とされる。類語:臍下不仁
小便不利(しょうべんふり) 小便が出難い、尿量減少。←→小便自利
少陰(しょういん) 臓腑・経絡のうち臓に属する陰経のひとつ。
少陰病(しょういんびょう) 苦痛は少ないが気力が衰え、寝たり横になっている病状。
相火(しょうか) 腎で生成され肝で旺盛になり、臓腑を温め機能を推進する。
消食導滞法
(しょうしょくどうたいほう)
食物の停滞によって起こる腹満、食欲不振、ゲップ、吐き気などに
対する治療法。
昇清(しょうせい) 消化された飲食物のうち滋養物(清)を上方の肺に送る脾胃の機能。
条達(じょうたつ) 全身の機能を伸びやかにする肝の働き。
小腸(しょうちょう) 六腑の一つで、脾胃で消化吸収した飲食物の残渣から、さらに水分と
固形物を分け膀胱や大腸に送る。
蒸騰(じょうとう) 蒸されて水蒸気のように立ち昇る。
蒸騰気化(じょうとうきか) 水分を温めて蒸気のように全身に巡らせる腎の機能。
昇発(しょうはつ) 春に若芽が伸びるように体の上部や外に向かう肝の働き。
昇発疏通(しょうはつそつう) 全身の機能をのびのびと滞りなく行う肝の機能。
消法(しょうほう) 食滞、於血、病理産物などを取り除く治療法。
少陽(しょうよう) 臓腑・経絡のうち腑に属する陽経のひとつ。
少陽病(しょうようびょう) 半表半裏(横隔膜に隣接する臓器)の病気。口苦、のどの乾き、眩暈、
胸脇苦満、往来寒熱などの症状が見られる。
小柴胡湯で代表される
方剤の適応症。
食滞(しょくたい) 飲食物が停滞し腹満、食欲減、腐臭あるゲップ、吐き気などを呈する。
暑邪(しょじゃ) 夏の炎暑が引き起こす熱性疾患の病因。湿邪を伴うことが多い。
暑湿(しょしつ) 夏の炎暑による暑邪と、内外の湿気が結びついたもの。
女子胞(じょしほう) 女性の内性器系で、月経、受胎、妊娠、分娩を行う。類語:血室・子宮
除中(じょちゅう) 死の直前に一時的に食が進み、病状が軽快したかのように見える。
津液(しんえき) 体の正常な状態の水分で臓腑、組織、器官に滋養を与えそれぞれが円滑
に機能するように助ける。(陰津・水液・水津・水湿などの別称がある)
(しん) 五臓の一つで、精神、意識、思考など高度の精神活動を行う。血液の循環
や血液の生成を行う。
(じん) 五臓の一つで、精を貯蔵し、水液代謝を行う。精から髄を生み脳や骨、
歯を涵養する機能を持つ。
辛温解表法
(しんおんげひょうほう)
辛温の薬で温め風寒の邪を体表から発散させる治療法。悪寒、頭痛、
発熱を治す。類語:去風散寒法(きょふうさんかんほう)
心火(しんか) 心の機能が過亢進して熱を帯びると焦燥、不眠、口内炎動悸などが起る。
心下(しんか) 胃部、みずおち
心下悸(しんかき) 心下部の動悸、胃の水滞によって起る事が多い。
心下逆満(しんかぎゃくまん) 下から心下部に向かって突き上げられる充満感。
心下痞(しんかひ) 心下部(みぞおち)の支え。
心下痞硬(しんかひこう) 心下部がつかえて硬い。
心下悶(しんかもん) 心下部がつかえて硬い。
真寒仮熱(しんかんかねつ) 真は寒であるが見かけは熱状を呈する。このため寒剤を与え逆治しては
ならない。四逆湯の証として知られている。
腎気(じんき) 腎の生理機能
腎虚(じんきょ) 腎の精気不足。腎陰虚:陰が虚して相対的に陽が亢進し熱を帯びる。
腎陽虚:陽が虚して冷えや精力減退を伴う。
心血(しんけつ) 心が推動する血を指し、全身の栄養と精神活動の基本物質。
臣使の官(しんしのかん) 心包を指し、心に代わって邪を受け、心の働きを代行する。
振水音(しんすいおん) 胃に水が溜まっているとき、揺すったり叩いた時などに聞こえる音。
心中懊悩
(しんちゅうおうのう)
胸脇苦満の一種で、心煩(胸苦しさ)の度合いの強いもの。
心中疼熱
(しんちゅうとうねつ)
心煩はなはだしく痛みや熱を覚える。
心中煩悸
(しんちゅうはんき)
胸苦しく動悸がする。
身疼痛(しんとうつう) 筋肉の疼痛
身熱(しんねつ) 悪寒を伴わない熱感
心明(しんめい) 心の機能で、精神、意識、思惟などの高レベルの精神神経活動。
心陽(しんよう) 心の機能のうち温める働き(温煦作用)に重点を置いたもの。
辛涼解表法
(しんりょうげひょうほう)
辛涼の薬で冷まし風熱の邪を体表から発散させる治療法。発熱、
咽痛、咽の腫れを治す。類語:去風清熱法
(ずい) 腎精から作られ、骨髄は骨格を脊髄は脳を形成する。
水飲(すいいん) 痰飲、胃内停水
水逆(すいぎゃく) 嘔吐の一種で、口が渇き、尿量が減少し、水を飲んでもすぐに吐き出す。
五苓散の証として有名。
水穀(すいこく) 飲食物
水穀の海(すいこくのうみ) 飲食物である水分や穀物を溜める胃の別称。
水穀の精微(すいこくのせいび) 飲食物の消化によって胃で生成され、脾で運ばれる滋養物質。
水剤(すいざい) 水毒の病証に用いる生薬。
水湿停滞(すいしつていたい) 水分の停滞で浮腫、下痢、尿量減少などが起こる。類語:水毒
水臓(すいぞう) 水分代謝を主るため腎臓の別称。
水道(すいどう) 津液の通路である三焦。
水毒(すいどく) 水分代謝異常や病因となるような水分。
推動(すいどう) 気の働きの一つで、血や津液の循環や分布、人体の発育、臓腑や
経絡の機能を推進すること。
水の上源(すいのじょうげん) 肺の別称。呼吸によって水分を蒸発、発散させ、五臓の中でも上部に
あるため。
頭眩(ずげん) 頭がくらむ、めまい。
頭重(ずじゅう) 頭が重く感じられる。
寸関尺(すんかんしゃく) 手首の脈で一指づつ腕に向かって寸口、関上、尺中の脈とする。この
両手首(橈骨)の動脈の状態で診断することを脈診という。
(せい) 生命の根本物質で気や血に変化し、成長、老化、生殖、死に直接関わる。
腎に貯蔵されるので腎精とも言う。
臍下悸(せいかき) 水滞などが高じると腹部大動脈を圧迫し、その拍動が腹皮まで波及する。
水滞の程度によって位置が異なる。
精関不固(せいかんふこ) 腎の機能失調のため、精を貯蔵できず、遺精、滑精、早漏、夜間頻尿、
尿失禁を起す。類語:腎気不固
正気(せいき) 病邪に対する人体の抵抗力。
清気(せいき) 肺が呼吸によって得た自然界の空気。
精気(せいき) 腎精と腎から生成する気。
精血(せいけつ) 生命活動を維持する栄養物質で飲食物から作られる。
清熱(せいねつ) 内部の熱を冷ます。体表の熱は解熱という。
清熱化湿法
(せいねつけしつほう)
寒涼性の生薬を用い、湿や熱邪(発熱・嘔吐・下痢・尿不利・腹脹)
を除く治療法。
清熱解毒法
(せいねつげどくほう)
寒涼性の生薬を用い、熱毒の邪(発赤・腫脹・化膿・高熱)を除く治療法。
清熱瀉火法
(せいねつしゃかほう)
寒涼性の生薬を用い、熱や火邪(高熱・口渇・顔面紅潮・目の充血・腹満)
を除く治療法。
清熱涼血法
(せいねつりょうけつほう)
寒涼性の生薬を用い、火熱が血に及んで出血や発熱するものを除く治療法。
切診(せっしん) 四診の一つで、脈、腹などに触れて診断。それぞれ脈診、腹診という。
泄瀉(せっしゃ) 下痢の中で、水を流すように下り、腹痛をあまり伴わない。
舌苔(ぜったい) 舌の上についた苔状の物質で、病邪の性質や部位などを推測する手が
かりにする。(舌診)
泄痢下重(せつりげじゅう) 冷えによる下痢。冷飲食によっても起こる。
譫語(せんご) うわごと
疝痛(せんつう) 発作性に起る刺すような痛み。
先天の精(せんてんのせい) 両親から受け継いだ、生まれつき備わった精。
先天の本(せんてんのほん) 腎を指す。両親から受け継いだ先天の精は腎に貯蔵され、生命の源となる。
宣発(せんぱつ) 肺の機能で、気・血・津液を全身に巡らせたり、発汗や呼吸を行う。
喘鳴(ぜんめい) 喘するとき、咽がかすかに鳴る。
涎末(せんまつ) よだれ
(そう) 六気(風・寒・暑・湿・燥・火)のひとつで気候に関係し、秋に出現。
燥邪(そうじゃ) 乾燥した秋や、乾燥した環境で乾燥に似た症状を引き起こす発病因子。
蔵躁(ぞうそう) 子宮が騒ぐという意味から、ヒステリーなど泣いたり悲しんだりする症状。
燥熱(そうねつ) 津液、血、精が不足して起こる内燥と内熱が結びついて、熱と更なる
消耗が起こる。
糟粕(そうはく) 飲食物の消化吸収後に残る粕。
臓腑弁証(ぞうふべんしょう) 中医の病態鑑別法のひとつ。臓腑の生理と臓腑間の相互関係を検討する。
疏肝(そかん) 肝気鬱結を解き、肝気を良く巡らせる。(疏肝解鬱)
疏肝解鬱法
(そかんげうつほう)
肝気の鬱結によって起こるイライラ、憂鬱、怒り、ヒステリー、
胸脇苦満などの治療法。
熄風法(そくふうほう) 内風で起こる、めまい、ふらつき、痙攣、震えなどの治療法。
類語:平肝熄風法
疏泄(そせつ) 肝の生理機能のひとつ。精神機能や臓腑の活動をのびやかに円滑に保つ。
自律神経系の働きに似ている。
【た〜と】
太陰(たいいん) 五臓に属する陰経の一つで、陰気が旺盛である。
太陰病(たいいんびょう) 虚状を帯びて腹満、下痢、吐き気をともなう病気。
大過(たいか) 気候の異常。例)暑すぎる夏、寒すぎる冬..
帯下(たいげ) 婦人のこしけ
大腸(だいちょう) 六腑の一つで、水分を吸収し残りを大便として排出する。
胎毒(たいどく) 親からの遺伝による毒や体質的な病毒。先天梅毒。
太陽(たいよう) 六腑に属する陽経の一つで、体表に位置し最初に外邪に犯されやすい。
太陽病(たいようびょう) 熱性病の初期で脈浮、頭痛、悪寒、項強などがみられる。
(だく) 不要な成分。←→清
濁飲上逆
(だくいんじょうぎゃく)
胃内停水によって起こる頭痛、眩暈、嘔吐など。
脱汗(だっかん) 瀕死状態の多汗。
(たん) 六腑の一つで、胆汁を貯蔵し、脾胃の消化吸収を助け、決断の機能を持つ。
(たん) 水分代謝の異常により停滞した湿が、体の部分に集まって出来る。
粘稠なものを痰、希薄なものを飲。脾胃で生じ肺に溜まりやすい。
痰飲(たんいん) 痰と飲の総称
胆気(たんき) 思考などの結果、決断をする機能。
痰滲利水法
(たんしんりすいほう)
湿邪によって起こる、浮腫、下痢、尿不利を尿として排出する治療法。
血の道(ちのみち) 婦人にみられる神経症の一種。
中寒(ちゅうかん) 寒冷に中る。
中風(ちゅうふう) 傷寒論では熱病や感冒。金匱要略では脳出血、脳軟化症などによる半身不随。
潮熱(ちょうねつ) 潮水が満ちるように全身にみなぎる熱。
腸癰(ちょうよう) 虫垂炎
調理(ちょうり) 病気の回復期や回復後の養生。
治則(ちそく) 治療の大原則
治法(ちほう) 具体的治療法
調和肝胃法
(ちょうわかんいほう)
肝の機能失調が胃に及び肝胃不和(嘔吐、胃痛など)の状態になったときの治療法。
調和肝脾法
(ちょうわかんひほう)
肝の機能失調が脾に及び肝脾不和(腹痛、下痢など)の状態になったときの治療法。
沈艱痼疾
(ちんかんこしつ)
難しく久しく治らない病。類語:難病痼疾(なんびょうこしつ)
天癸(てんき) 腎精の充実とともに成熟する生殖機能の基本物質。男子16歳、女子14歳
で天癸至る。
転筋(てんきん) こむらがえり
盗汗(とうかん) 寝汗
統血(とうけつ) 血液が血脈から漏れ出ないようにコントロールする気の固摂作用。
吐逆(とぎゃく) 食べたものを吐き出す。
吐瀉(としゃ) 嘔吐と下痢
土臓(どぞう) 脾の別称。血や気を作り出すので、万物を育てる土に例える。
統血(とうけつ) 血液が血脈から漏れ出さないようにコントロールする。
【な〜の】【は〜ほ】
内寒(ないかん) 陽気が衰え、温熱産生能力が低下して見られる寒冷の症状。
内湿(ないしつ) 水分代謝の異常や停滞で起こる病理産物。希薄なものは飲、
粘度のあるものは痰。
内傷(ないしょう) 日常生活や精神的な原因で体に起こる病変。
内燥(ないそう) 津液が不足して体内から起こる乾燥状態。
内熱(ないねつ) 陽気が相対的に過剰となり体内に生じる熱。実熱と虚熱がある。
内風(ないふう) 陰が不足し陽気を抑えられなくなり上昇し、めまい、ふらつき、震え、痙攣、
ひきつりなど引き起こす。
軟堅散結法
(なんけんさんけつほう)
痰や於血による腫瘤や硬結、結石などを消滅させる治療法。
二陰(にいん) 前陰を生殖器・尿道、後陰を肛門とし二陰。
尿閉(にょうへい) 小便不通
熱証(ねっしょう) 熱邪を受けたり、陽気が相対的に盛んになって起こる温熱の症状。
熱毒(ねつどく) 熱の勢いが強く、発赤、腫脹、化膿、高熱などを引き起こす。
(のう) 奇恒の腑に一つで、精が集まり脊髄ができ、脊髄が頭に集まり脳ができる。
膿漏(のうろう) 副鼻腔炎
(はい) 五臓の一つで、呼気によって気を産生する。三焦を通じて気や津液を送り
代謝する。皮膚の汗腺を開閉し体温を調節する。
肺痿(はいい) 肺結核
梅核気(ばいかくき) 咽に梅干の種のようなものがつかえて吐こうとしても、飲み込もうとしても
取れない。咽中炙肉と同じく半夏厚朴湯の証として有名。
肺虚(はいきょ) 肺の気や陰が不足した病態。
肺癰(はいよう) 肺壊疽
白苔(はくたい) 舌診の症候の一つで、舌の上に白い苔のようなものが見られる。寒湿で起る。
熱の症状があれば褐色に変化する。湿が減少すれば、舌が乾燥し赤味
がかった色になる。
八綱弁証
(はっこうべんしょう)
陰陽・虚実・表裏・寒熱の8つの対立概念に分類し病態を診断する方法。
発黄(はつおう) 黄疸
発表剤(はっぴょうざい) 病邪を体表から発散させる薬方。別に発汗剤、解肌剤とも言う。
(はん) 胸部のうち特に心臓部に熱感を覚え苦しむ。
煩渇引飲
(はんかついんいん)
口渇がはなはだしく、いくら飲んでも飲み足りない。
煩躁(はんそう) 煩悶し、もだえ乱れる状態。
煩疼(はんとう) わずらわしく疼くような痛み。
煩熱(はんねつ) わずらわしい身体の熱感。
半表半裏
(はんぴょうはんり)
横隔膜に隣接する臓器で、胃、肝、脾、肺、肋膜、心、食道気管支など。
(ひ) 五臓の一つで、胃が消化した飲食物から滋養物質と水液を分け全身に
巡らせる。気血を生成する基礎物質を供給し、血液が血脈から漏れ
出ないよう統制する。
(ひ) 風、寒、湿の病因で起こる痛みや麻痺。
脾胃(ひい) 胃は現在の胃と考えてよいが、脾は脾臓の事ではなく膵臓の働きに近い。
胃が消化した飲食物から滋養物質と水液を吸収し肺に送り、肺から
全身に巡らせる。
脾胃不和(ひいふわ) 滋養成分を上昇させる脾の機能と、粕を下降させる胃の機能が折り
合わず吐瀉や胃のつかえが起こる。
脾腎陽虚(ひじんようきょ) 脾と腎の陽気が同時に虚する病態。浮腫、尿量減少、冷え、下痢などが
起こる。
痞塞感(ひそくかん) 胸が塞がったような感じ。
微熱(びねつ) 熱が裏に隠れて表に現れないもので裏熱の一種。西洋医学で言う微熱とは
異なる。
痞満感(ひまんかん) なにかがつかえたり、いっぱいたまったような感じ。
皮毛(ひもう) 皮膚とうぶ毛。汗腺、皮脂腺を含めた皮膚の表層。
憑依症(ひょういしょう) 狐つき
病邪(びょうじゃ) 外から侵入するものと、体内で出来る病理産物が病因となったもの。
表証(ひょうしょう) 風邪などの発病初期で病邪が体表にあり、悪寒、発熱などの症状を呈
する病態。
標治(ひょうち) 対症療法。←→本治(ほんち)
(ふう) 六気(風・寒・暑・湿・燥・火)のひとつで気候に関係し、春に出現。
風寒(ふうかん) 風邪+寒邪
風寒表証
(ふうかんひょうしょう)
体表から風寒の邪が侵入して起こる悪風、頭痛、発熱などの症状。
風湿表証
(ふうしつひょうしょう)
体表から風湿の邪が侵入して起こる悪風、しめつけられるような頭痛、
関節痛、倦怠感、微熱などの症状。
風邪(ふうじゃ) 風の性質に似た症状を引き起こす病因。風のように発病も変化も早い。
肺、頭部、皮膚など上部や体表を犯し、震え、めまい、痙攣などの
症状も見られる。
風熱表証
(ふうねつひょうしょう)
体表から風熱の邪が侵入して起こる軽い悪風、高熱、咽の痛み・発赤・
腫脹などの症状。
腹診(ふくしん) 切診の一つで病人を仰臥させ腹部に触れたり、按圧して病状を診断する。
腹中雷鳴
(ふくちゅうらいめい)
腹の中で雷のような音がする。
腹皮拘急(ふくひこうきゅう) 腹直筋の緊張。
腹満(ふくまん) 腹が脹ること。
腐熟(ふじゅく) 飲食物を消化する胃の機能。
不仁(ふじん) 知覚麻痺を言う。下腹部に起るものを小腹不仁といい腎虚の症候に
見られる。
聞診(ぶんしん) 四診の一つで、聴覚(言葉、呼吸)、嗅覚(口臭、体臭)などで診断。
変証(へんしょう) 変則的な病証。←→正証
弁証(べんしょう) 病変がどのような状態であるか判断する。
亡血(ぼうけつ) 出血による極度の貧血状態。
膀胱(ぼうこう) 六腑の一つで、腎の付属器官として尿を貯蔵、排出する。
芳香化湿(ほうこうけしつ) 芳香性の生薬を用い、湿邪を発散したり利水して除去する。
膀胱湿熱(ぼうこうしつねつ) 湿熱によって膀胱の機能が失調して起こる、排尿痛、排尿困難、濁尿
などの症状。
望診(ぼうしん) 四診の一つで、視覚によって診断。
崩漏(ほうろう) 不正性器出血。突然大量の出血を「崩」、少量の出血が持続するのを「漏」
補法(ほほう) 正気の不足を補う治療法。補気法、補陽法、補血法、滋陰法がある。
奔豚病(ほんとんびょう) 発作性心悸亢進、ヒステリー発作。
【ま〜も】【や〜よ】【ら〜ろ】【わ】
麻木(まぼく) 運動麻痺、強度のしびれ。
万病一毒説
(まんびょういちどくせつ)
すべての病気は一つの毒によって起こるという吉益東洞の説で、その毒を
下すためには毒を用いて制するべしとした。
脈象(みゃくしょう) 血液の流量や血管・心臓の活動状態、精神状態などで変化する血管の拍動。
中医では脈診として基本的な診断の材料にする。
脈診(みゃくしん) 切診の一つで、手首の脈で一指づつ腕に向かって寸口、関上、尺中の
両手首(橈骨)の動脈の状態で診断する。
脈弦(みゃくげん) 脈診でぴんと張った弦をおさえたときのように触れる脈。
半表半裏(少陽)証で見られる。
脈浮(みゃくふ) 脈診で指を脈に置いただけで触れる。表証で見られる。
脈数(みゃくさく) 脈拍数が1分間に90回以上のもの。熱証で見られる。
脈遅(みゃくち) 脈拍数が1分間に60回以下のもの。虚寒証で見られる。
瞑眩(めんげん) 服薬して一時的に現れる予期しない激しい反応。長く続けば副作用として
対処すべきである。漢方独特の用語であるが、実際に瞑眩の出現する
率は低い。一説には0.3%程度。
木臓(もくぞう) 肝の別称。肝の機能がとどこおりなく、全身に伸びやかに働く性質を
木に例える。
問診(もんしん) 四診の一つで、質問によって診断。
陽虚(ようきょ) 陽気の働きが低下して、気虚の状態にさらに虚寒の冷えが加わる。
陽経(ようけい) 体を巡る経絡のなかで六腑に帰属する手足の陽明・太陽・少陽の三経。
陽証(ようしょう) 発揚、興奮、活動、温熱などの性質を持つ病態。
養心安神法
(ようしんあんじんほう)
心の陰血が不足して起こる心神不安の治療法。
陽土(ようど) 臓腑の関係である脾胃の陰陽、五行の土(脾胃)を付した胃の別称。
陽明(ようめい) 六腑に属する陽経の一つで、最も陽気が盛ん。
陽明病(ようめびょう) 実状を帯び腹満、便秘、潮熱のある腑証と口渇、熱、発汗のある経証
がある。
裏寒(りかん) 裏が冷えて下痢、腹痛、手足の冷えなどが起こる。
裏急後重(りきゅうこうじゅう) 頻繁に便意を催すが、排便は少なく、肛門部の急迫性の痛みに苦しむ。
理気(りき) 気を正常に巡らせ機能を回復する治療法。
裏証(りしょう) 病邪が体の深部や臓腑に侵入して引き起こす病変。
利水通淋法
(りすいつうりんほう)
膀胱湿熱証(排尿痛、排尿困難、濁尿など)の治療法。
六経(りっけい) 太陽、陽明、少陽、少陰、太陰、厥陰の6経絡。
淋癧痛(りんれきつう) 尿意は頻繁にあるが、尿がほとんど出ないで痛む。
瘰癧(るいれき) 頚部リンパ節結核
歴節風(れきせつふう) 関節痛、多発性関節炎。
斂汗法(れんかんほう) 固渋法の一つで、慢性の汗、盗汗などをとめる治療法。類語:止汗法
斂肺止咳法
(れんぱいしがいほう)
固渋法の一つで、慢性の咳をとめる治療法。
攣急(れんきゅう) ひきつけ
六因(ろくいん) 風・寒・暑・湿・燥・火、6種の発病因子。
労咳(ろうがい) 肺結核
六気(ろっき) 自然の風・寒・暑・湿・燥・火、6種の正常な気候の変化。
論治(ろんち) 弁証に基づいてどのように治療するか決定する。治則と治法を含む。
和胃降逆(わいこうぎゃく) 胃の機能が失調し、気が下降できず嘔吐や吐き気、胃痛が起こった
ときの治療法。
和解(わかい) 臓腑の機能を調和させて病邪を除く。半表半裏(少陽)証の治療法。
和降(わこう) 胃の機能を回復させる。
和剤(わざい) 病邪が胸郭にある場合、発汗剤でも下剤でも解決出来ないので、
和解(中和)して治す薬方、柴胡剤など。
和法(わほう) 和剤を用いて行う治療法
 
【参考図書】中医学版・家庭の医学 伊藤良 森雄材 /漢方薬の実際知識 東丈夫 村上光太郎
       中医学入門 神戸中医学研究会編 /中医学の基礎 日中共同編
       漢方診療医典 大塚・矢数・清水 /漢方治療の実際 大塚敬節

 

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