【植物細密画工房】


私の住んでいる八ヶ岳の麓は宮沢賢治の風の又三郎の名前の由来とされ、昔、八ヶ岳のひとつを風の三郎岳とよび、それを祭る風の三郎神社という祠もあります。この里山は標高1000mにあり、草花の色があざやかで種類もたくさんあります。まるで童話の世界に出てくるような風景のなかで四季折々の心ひかれる植物を描いて見ます。
(野村陽子細密画集より)

 

         
 

十薬(ドクダミ)

野山、空き地、宅地..いたるところで開花が見られ、独特の香りを放って
いる。ありふれた薬草であるが、応用範囲も広く決して侮れない効果
がある。皮膚病、高血圧、鼻炎..

       

 

         

         

葛(クズ)

秋に開花する秋の七草のひとつである。蔓や花からは想像がつかない
ほど巨大な根は風邪薬の葛根湯の原料となる。花は酒の毒を消すので、
秋の開花期に花を採集し乾燥保存しておくと飲酒前や二日酔いに使える。

 

         

金銀花(スイカズラ)

一年のうちで5月は誰もが好む季節に違いない。5月の訪れを最初に感
じさせるのが、スイカズラの香りである。花、蔓、葉すべてが薬用になる。
ドクダミと並んで最も利用価値の高い薬草である。風邪、皮膚病、神経痛...

         

 

 

牡丹(ボタン)

姿は芍薬と似ているが薬効は異なる。
抗菌作用や抗炎症作用があり、熱状
を帯びた血行障害、月経不順、婦人科
疾患などの要薬である。

芍薬(シャクヤク)

芍薬は牡丹と共に花の鑑賞用に栽培
されるが、漢方では何れも根を用いる。
鎮痙作用があるため腹痛や筋肉の
痙攣に用いられる。

 

大棗(ナツメ)

ナツメとも言い、中国では処方された漢方薬を煎じるとき、各自ナツメと生姜を加
える。ナツメは胃に、生姜は腸に働き消化や吸収を助ける。繁用される薬草にも
関わらず日本では粗末に扱われることが多い。家庭に植えられた金柑やナツメ
など収穫されないまま、落ちて腐らせてしまう。ナツメには緩和、強壮、利尿、
鎮痙、鎮静などの作用があり、利用次第では貴重な薬用資源になる。蒸した後、
乾燥させて保存するか、100〜150gくらいの実をホワイトリカー1Lに漬けて薬酒
として飲用する。好みで蜂蜜などの甘味料を加える。疲労回復や神経衰弱、
滋養強壮に、サプリメントなど飲むよりよほど優れているし経済的である。
もちろん、生の実を食べても良い。

 

         
 

人参(ニンジン)

野菜の人参と混同されがちだが、野菜はセリ科、薬用の人参はウコギ科
である。根の形が人に似ているほど薬効が優れるという風聞もあり、根の
形態から属種を超えて命名されたのだろう。薬用人参は、そのまま薬用
人参と言い、他にお種人参(又はお種)、朝鮮人参、高麗人参など様々な
名称があり、蒸したものを紅参、湯通しして乾燥したものを白参、曲げた
ものを曲参、髭根を集めたものを毛人参と呼ぶ。人参という名の生薬は
いくつかあり、田七人参、竹節人参、西洋人参など類縁のものや、
○○人参などと称する別種のものもある。漢方では他薬と配合し健胃整
腸、疲労回復などに用いるが、万病、万能の薬ではない。

       

 

 

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