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【薬草写真】


ドクダミ
スイカズラ
キキョウ
サフラン
ベニバナ

 

ドクダミ(十薬)

名前のとうり、毒下しとして、また10種の薬効があるとして十薬、または重薬とも、さらにその臭いから魚腥草ともいう。日本各地に自生し知名度、人気ともNO1の民間薬。内服・外用ともに効能、応用範囲も広い、特異な臭いの成分には抗カビ、抗菌作用があり、抗ウイルス作用も認められている。外用として生葉を使い皮膚病・腫れ物・蓄膿症に、、乾燥させ保存したものは、臭いが抜け、抗菌作用などはいくらか落ちる。内服すると皮膚病、便秘。利尿作用により高血圧症に応用される。排膿作用があるため濃痰や蓄膿症にも使われる

花は十字 葉は菩提樹と一茎に奇しくもそなえる 聖毒だみ   仏教哲学者 久松真一

見る人によっては、十字の花弁(キリスト教)菩提樹様の葉(仏教)をそなえる聖なる植物と映るのであろう。

 

<コラム> 薬草の薬効とは?

薬草の効能・効果または適応症には様々な表現があります。ドクダミを例にとれば、、民間薬では地方によって違いはあるものの概ね皮膚病、胃腸病、便秘、鼻炎、利尿神経痛、解熱、、、適応症も薬理作用も混在した効果が書かれています。一方。漢方薬の拠りどころとされる本草綱目では辛微温、小毒あり、脱肛、熱毒癰腫を散じ、瘡痔、おこりを断ち、石毒を解すと書かれています。辛微温なので解熱は冷ます作用ではなく発散させて解熱。皮膚病も発散させて治すという事が推測されます。自ずと服み方にも注意がいります。温めて服んで発散性を活かさなければなりません。民間薬の指示より、さらに一歩踏み込んだ病理・薬理の認識があります。

これらとは別に、生薬学という生薬の有効成分を研究する書物では、lauric aldehyde
,decanoylacetaldehyde,には抗菌作用、quercitrin,isoquercitrinには利尿作用、、などと書かれています。薬理試験で認められている訳ですから、誰が服んでもこれだけの作用は一定程度期待できます。新薬のように薬理作用によって病態に適応させる方法ですが、これも大切なことです。このように、民間、本草、薬理と、分野によって薬草の評価には違いがあります。民間薬で言われるように、なんにでも使って適応外の病まで治るなら、それはプラシーボである可能性が考えられます。薬理作用だけで使うと、応用の範囲が限られ一定の効果は得られるものの、ドクダミの持つ多彩な特性が生かせません。薬草の持つ科学的薬理効果を知ったうえで、本草綱目、ある時は民間薬の使い方を心得る
なら知識とともに治療の守備範囲も拡がるでしょう。

この事は、薬草に限らず漢方処方にもいえます。正確な?「証」を見極め適用する名人芸にも例えられる漢方ですが、そんなに頑張らなくても病名によって5〜8割でも的中率があれば、証に未熟なまま使うより、あるいは新薬を使うよりずっと良い場合だってあると思います。病名漢方とか番号漢方とか、、、揶揄する漢方家もいますが、誰しも最初は初心者。

 

スイカズラ(金銀花・忍冬)

ひとつ薬草を選ぶとするなら、私はこれを挙げる、畑で栽培しているが、冬は葉が幾分落ちるものの、幾分かは残り、冬を耐える事から忍冬とも言われる。連休明け頃から開花し始め、甘い芳香を放つ白い花が次の日黄変し、黄花(金)・白花(銀)が混在する様から、金銀花という。また、甘い香りの花部を引き抜いて吸うと、甘い味がする事からスイカズラともいう。

私は、これを薬草中の抗生物質、消炎剤と認識している。この観点からすると応用範囲は広く、どくだみをはるかに凌駕する。皮膚炎、咽頭炎、肺炎、耳下腺炎、関節炎、腫れ物、赤痢、腸炎、痔、肝炎、風邪の発熱、、、私が最も繁用するのは、副鼻腔が乾燥したり咽頭が発赤する風熱の風邪である。金銀花10〜20gほどを、1〜2分煎じそれを1日分として、保温ポットにいれ、用事うがいしながら服み下す。睡眠前に服用し布団を被って寝ていると、発汗も起り、肩こりや熱もとれ、風寒の風邪にも応用できる。また皮膚病やアレルギー性の疾患に配合し効果を上げている。花弁以外の全草は去風活絡作用が強く、神経痛、関節痛、筋肉痛などに使う。連休明けから1ヶ月足らず、朝夕、畑の金銀花を採集し、小屋で自然乾燥させ、500gくらいの収量を得る。これが来季までの常備薬となる。

 

キキョウ(桔梗)

韓国語でトラジといい、韓国では良く使われる薬草で、5方向に広がる花弁には、白色のものも見られる。薬用としては根を使い、鎮咳・去痰薬として風邪や気管支炎の咳痰に、排膿作用があるため咽喉の腫れ、膿を伴うできものや皮膚病の排膿に用いる。これはサポニンの作用によるものだが、多量に用いるとサポニンのため胃が荒れ、吐き気を催すこともある。多量、長期使用に注意。桔梗・甘草を一緒に煎じ、口中で含嗽しながら服み下すと、喉の腫れや痛みが楽になる。

 

サフラン(蕃紅花)

夏の桔梗、秋のサフラン、いずれも似た様な雰囲気の花である。スパイスとして着色を目的に使われる。ブイヤベース、パエリアの黄色はサフランの雌しべの色である。少量で深い黄色になるので衣類を染める天然染料としても利用される。水で10万倍に希釈しても明らかな黄色を呈する。1本の雌しべの柱頭が3つに別れているが、これを採集するのは根気と手間の入る作業である。そのため値段も高価で貴重な薬草である。作用は婦人の聖薬といわれるほどである。通経、鎮痛、鎮静、子宮出血などに用い風邪や頭痛、咳などにも使われる。採集したらすぐ清酒などに漬け、薬用酒として保存すれば便利である。30分もすれば色が染み出し1〜2日で服めるようになる。

 

ベニバナ(紅花)

別名は古典にも出てくる末摘花。紅花の種子を買い求め畑に蒔いてみる。放置栽培なので思ったより収穫は少なかった。花弁は漢方薬で紅花として用いられ、種子からは油が採れる。これは紅花油としてギフト製品のNo1といわれている。山形県での栽培が有名であるが、薬用種は中国からの輸入に依存している。

花弁には赤の色素カルタミンと、黄色の色素サフロールイエローがあるが、赤い色素を口紅などに利用する。古の女性の腰巻の赤はこの色だとされている。婦人に限らず冷え症、血行障害に用いるので下着類をこの色で染めたのは効果を期待しての事であろう。現在も草木染めの健康肌着として販売されているのを見かける。他にも食品の着色に用いられる。体を温めて血行を改善する稀有の薬草である。多量用いるとオケツを改善するが少量であれば養血作用が期待できる。前記のサフランと似たような作用があり用途もほぼ一致するが値段は約100分の1で紅花が断然安い。温めた酒を注いで服用するものを紅藍花酒と言い生理痛などに著効を示す。酒に浸して薬用酒としても良し。

 
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